TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

oh!片付け

一覧ページ

「oh!片付け」のメインビジュアル

oh!片付け

2 - 第2話 主婦にも定年を!

♥

35

2025年04月10日

シェアするシェアする
報告する

◻︎主婦だって定年退職したい!



「人生100年時代かぁ…」


ワイドショーの特集を見ていた夫の光太郎が呟いた。今月で60歳、この度めでたく定年退職になる。その日まで残り二週間ほどだ。


「ってことは、あと40年くらいあるね。ねぇ、何をしようか?」


夫は、まるで遠足前の子どものように、ニコニコしながら私を見た。

会社員として定年まで勤めた夫には、感謝している。結婚して30年余り、そこそこの女遊びもしていたらしい(本人はうまく隠し通していたつもりだろうけど)が、特に家庭を放り出すこともなく、私の夫であり子どもたちの父親でいてくれた。だから、定年退職したらのんびりしたいという夫の数年前からの希望も叶えてあげたいとは思う、が。



「え?40年も?うわ……大変だっ」


思わず本音が出てしまった。あと40年も夫と二人で暮らすのかと思うと、ゲンナリしてしまう。夫が定年退職をしてずっと家にいるようになると、妻が体調を崩してしまうことがあると聞いた。


わからなくもない。これまでは朝ごはんを食べさせて会社に行ってもらえば、夜帰ってくるまで自分の時間があった。いかに要領よく家事を済ませるか?で自分の時間に余裕を見つけてからは、近所でパートも始めた。

食事にしても、自分一人の分くらい残り物でも冷凍ものでも、なんなら抜いてしまっても構わない。それが、夫が定年退職してずっと家にいるとなると、夫の三食作って、オヤツも出してお茶も淹れて、昼寝でもしてくれないと掃除もできやしない。


___待てよ、私はパートに出るのに夫は家にずっといるの?



子どもたちも独立して、やっと気ままに時間のやりくりができるようになったのに、これじゃあ残りの人生、夫の身の回りの世話で終わってしまう。


___そもそも、夫にだけ定年退職があるってズルくない?



主婦業にも定年退職があってもいい、ないのならば作ろうと思いついた。それはもちろん、我が家だけのマイルールだ。



私が画期的(?)な主婦業定年退職制度を作ろうと思い付いた時、夫は別のことを考えていたようだ。ワイドショーを見終わった後、いろんな書類を入れてある引き出しを引っ張り出して、何かを探し始めた。



「ん?何探してるの?」


「あ、いや、もしかして?と思ってさ」


「何が?」


「ほら、あの、アレだよ、こんな書類でさ……」


「だから、なんの書類なの?」


「……離婚…とど…け?」


「は?何でよ?」


「よく聞くからさ、旦那が定年退職した途端に、離婚届を出して退職金も半分にして出ていく嫁さんの話」


「…?!」


私は、一瞬呆気に取られて言葉を失ってしまった。


「え?なに、それって、私がそういう準備をしてるんじゃないかって疑ったってこと?」


「ま、まぁ、そんなとこ。ほら、今のテレビでもそんな話題があったからさぁ。別に涼子ちゃんがそんなこと考えてるなんて思ってもないけど、念のためってことで」


夫は私のことを涼子ちゃんと名前で呼ぶ。子どもがいないところではママとかお母さんとか呼ぶな、昔とキツく言ったからだけど。


「はぁ……」


とため息が出る。


___私は長年夫婦としてやってきたこの人に、そんな風に思われてたんだ…


「あっ!ごめん、涼子ちゃんがまさかね、そんなこと考えないよね?」


私があからさまに不機嫌になったと気づいたようで、肩をすくめて謝ってきた。少し前かがみになった夫の頭頂部を見て、こんなにさびしかったっけ?と関係ないことを考えてしまう。


「私のことをそんなふうに考えていたって知ったから、今、離婚したくなった」


「え?うそうそうそ!冗談だから、ね!」


___そうだ、このタイミングだ



引っ張り出した書類を片付けている夫に、思っていることを告げる。


「私も、定年退職したい」


「ん?なんのこと?パートの定年退職?」


「ちがーーーう!主婦業の定年退職だよ」


夫は、私の顔を見て目をぱちくりしている。私は大真面目だと言わんばかりに、両手を腰に置く。


「えっと……どういうこと?」










この作品はいかがでしたか?

35

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚