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「よくそいつの味方の振りができるよね……」と通り過ぎていく途中で、まるでナチス帝国に言うような口ぶりを見せた。
少し怪しいと思った合衆国は、拳銃を構えながら、その声がした方向へ向かった。その方向はと言うと、古びた街並みにある路地裏のようで、所々にレンガが剥がれている部分があった。
不気味に思いながらも、その声の主を辿って行くと、行き止まりのせいで逃げきれなかったのか、大きな布を覆いかぶさった人物が目の前に立っていた
「お前……誰だ?スパイか?それとも……?」と問いかけながらその人物が被ってる布を取ると……
「嫌だなぁ……忘れたの?第1次の時世話になったイタリア王国だよ」と笑いながら、彼は言った。
帝国は、イタリア王国を少し警戒しながらも彼に様々な質問を投げかけた。
どうやら、イタリア王国は戦勝国になってアフリカ全土を制覇できた。だが、そこから日帝とナチスによる競走が始まってから、枢軸国というものが崩壊し、3人それぞれが別々のグループとなって、今に至ったらしい。
その中でもイタリア王国は、これ以上2人のうちのどちらかの領土に入り込んだら、死ぬだろうと思い、ずっと大人しくしていた。つまり……誰の味方では無い、中立国となっていたのだ
フードを被っていた理由としては、アフリカで所々に自治区ができ、そんな自治区から独立を求められ、終いには殺されそうになったため、誰にもバレぬよう、布を被って世界のあちらこちらを歩き回っていたとの事。
イタリア王国の事情を知った帝国は、僅かに考えていた「希望」が叶うのではないかと思い、その希望をイタリア王国に話した
「なぁ……イタリア。」
「ん?」
「お前……この世界を変えてみたいか?」
その質問を受けたイタリア王国は……笑った。今の自分たちがあの二人に対抗できるのか、世界がこうなったのは、一体誰なのか……そう言いながらも彼はこう言った。
「確かに、世界を変えてみたいさ……混沌の渦に晒されてるこの世界をね。」
「それで……思ったんだ。大ナチ……いや、アメリカ、君たちの方が「まし」だったってことが」
「正解」ではなく「まし」という言葉。その言葉を帝国は、あまり気に入らなかったが、だんだんその意味が分かり、何も言えずただイタリア王国が座り込んでいる隣に座り込んで、ひとつ大きなため息を出した。
「よっぽど疲れたんだね。アメリカ。」
「ああ……もう、休む暇がねぇってぐらい……本当に息が詰まるぜ……ほんと」
「そうだろうね……だって、ずっと味方の振りをしてきたらさ、疲れるのもわかるよ」
ああ……イタリアもこんな気持ちでアイツらと一緒にいたんだな……と思った瞬間、気がつけば空に星がポツポツと現れるようになっていた
「そろそろ行かねぇと、またあいつに言われる」
「ありがとな、イタリア」
「いいよ、それじゃ僕もそろそろ行くね。敵に見つかってしまうだろうし」
「また逢える日まで……」
そう言いながら、イタリア王国はフードを被り、また世界の何処かへと身を隠した。
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いつまで待っても帰ってこない帝国に、少し疑惑を抱きながらも、書斎室にある机の前で行ったり来たりを繰り返していたナチスだったが、その時ドアをノックする音が聞こえ、少し驚きながらも、「入れ」と言うと……待っていた帝国が何ともない様子で帰ってきた
「おい!帝国!貴様、一体どこでほつき歩いていた?!」と問いただすと、「ちょっと…長話になってしまって……申し訳ありません」と嘘をついた。この時ナチスは少し怪しいと思ったが、これ以上警戒しては「あの計画」を実行出来ないと思い、一旦そこで許した
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パラオと海で遊んだその翌日、その日は暑い季節にしては珍しい涼しい日だった。その日は特に何も無い日で皆が皆自分たちのやりたいことをやったり、もしもの時に備えて機械の製造や点検、それぞれで作戦会議をしたりとまだ警戒を怠っていない者たちもいた
そんな中、合衆国はと言うと……浜辺に立って、照りつく昼の日光を浴びながら、行ったり戻ったりを繰り返す漣の音、カモメが遠くからなく声、小さなウミガメが海へ旅立とうと海まであゆむ砂と足が擦り合う音……海にある全ての音を一音一音聞き逃さず、今いる「世界」に立っていた。
そんな時…………
続く
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