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当作品に登場する各名称や人物は、実在する組織、国、史実との関係は全くございません。
また、作品内で無理矢理に近い性愛の表現が見られますが、こういった行為やそれに準じる行動を賛美する、あるいは助長するような意図もございません。
キリスト教カトリック信者の皆様を侮辱するような考えは毛頭ございませんので、ご留意ください。
どうか上記の注意点をご承知になり、その上で読みたいとお思いになられた方のみ、ご閲覧ください。
全ての宗教、神、伝説、事柄を信仰される方々に心の底より深い敬意と尊重の意思を捧げます。
それではどうぞ。🇻🇦🇯🇵の🔞(無理矢理系)です。
あぁ、神よ。申し上げます、申し上げます。
貴方はなんと酷いお方だ。
いえ、貴方は素晴らしいお方だ。美しいお方だ。
しかしひとつ、ひとつだけ御失敗をなさった。
私はそれを、知っています。
***
「あれっ、珍しいですね。おはようございます、バチカンさん。」
ふわり、と胸の内に花が咲いた。
特に会議のない日に、籍だけを置いている社内で彼と出会うとは。
確かに奇跡のようだ、とひっそり主神に感謝する。
「おはようございます、日本。教会内のゴタゴタがようやく落ち着きまして。皆さんにご挨拶をと。」
「なるほど……?」
彼がきょとんとこちらを見上げる。
小鳥のような無垢な所作が愛おしい。
「まぁ、貴方には馴染みがないでしょうね。」
自嘲気味なものを含んだ笑みを向ける。
「すみません……。」
「構いませんよ。私は祈り続けるだけです。」
バツが悪そうに縮こまる彼の頬に触れる。
と。けたたましい足音が聞こえた。
「おっ、バチカンじゃん。」
軽快なステップを踏んで現れたのは、陽気な笑みを浮かべる男。
当然のように日本の肩を抱く男に笑みを深めた。
「元気そうで何よりです。アメリカ。」
「おかげさまでな〜。」
十字を切ると、彼は少し頭を下げた。
日本の唇がおぉ、と動く。
今時ヨーロッパでも珍しい光景だ。彼の好奇心が刺激されたのだろう。
思わぬ収穫に頬を緩めて、楽しげに語らう彼らに背を向けた。
ほんのり頬を染める彼が、妙に頭にこびりついていた。
***
「……珍しいことが続きますね。」
そう言うと、彼は今朝方のように身を縮こまらせた。
長く続く自宅の廊下を先達していると、彼は口を開いた。
「すみません。門外漢の案件が来まして……やはり専門の方に、と。」
何やら宗教絡みの案件が来たらしい。
謝罪を重ねる彼の慎ましさに、またひとつ琴線が震える。
「バチカンさんくらいしか頼れる方がいなくて。」
「……嬉しいことを言ってくださる。」
咎めるような眼差しを向ける天使像や、じっとこちらを覗く神々の絵をくぐり抜け、大理石の上を進んでいく。
私室の扉を開くと、月明かりで小さなステンドグラスが床の上に伸びていた。
「凄い……夢の中みたい………。」
お邪魔します、と扉をくぐる彼の背を見ていると、不意に胸が疼いた。
まるで、神の御前に醜い欲を曝け出すような……。
小さく被りを振る。
罪深い考えが脳裏に浮かんでは消えていく。
だが、しかし。
いや、いっそ。
「………私の方こそ。貴方が来てくださるとは。夢のようですよ。」
報われないのであれば、こんな罪深い想いなど、今夜ここで断ち切ってしまおう。
「そんな…。」
「お茶でも淹れてきます。……どうか、ごゆっくりなさい。」
あぁ、神よ。
原罪とはかくも語りき。
貴方の御失敗。
それは、この子羊を私の元へ彷徨わせてしまったことですよ。
「すみません、ありがとうございます。」
そう言い、彼はとぷりと揺れる紅茶に唇を寄せた。
抱えていた問題が解決したようで、安心したように日本が笑う。
そのまま談笑を続けていると、不意に涼やかな声が途切れた。
「………日本?」
どうやら、飲み切った紅茶が効いたようだ。
初春の風のように穏やかな寝息を立てる彼を覗き込む。
清らかな泉のような寝顔を撫でると、ん、とひとつ声が聞こえた。
揺らぎ続ける理性をダメ押しされ、情動に任せてキスをする。
革張りのソファが少し軋んだ。
覆い被さるように細い体躯を抱きしめて、徐々に徐々に、ふれあいの濃度を高めていく。
ぴくり、と微かに動いた指を自分の手と絡め、花びらのような舌を釣り上げるように口内を犯す。
「日本……罪深い私に、御赦しを。」
欲を孕んだ声で呟いて、だらんと横たわる足を広げた。
***
淫らな水音の合間に、吐息のような喘ぎ声が聞こえる。
彼の肌を彩るガラスの虹色に背徳感を覚えながら、何度も何度も奥で繋がった。
心よりも先に体で繋がる皮肉に唇を歪めながら、ひとときの熱を激しく求める。
「……ぁっ…♡………………っ…///」
少し汗ばんだ薄い腹にはぽっこりと自身の形が浮き出ていて、えもいわれぬ興奮に襲われた。
艶やかに火照った寝顔にキスを降らせて、甘やかに締め付けを強くする肉壁の中に深く沈む。
「ふ………あッ、ん………ぁ〜〜〜〜♡」
日本の腰がカクリと震えて、押し出されるようにして白濁がシミを作る。
「ふふっ……寝ているのに……。彼が知ったら、どう思うでしょうねぇ?」
カプリと首に噛みついて、やわらかな肌を吸う。
舌なめずりをしながら彼の体内を味わっていると、不意にきゅっ、と強く締め付けられた。
余裕をなくして律動を速める。
果てても果てても、欲は沸々と湧き上がってきた。
一方的な愛を押し付けるのが、たまらなく気持ちいい。
「好きっ……好きですっ……、日本っ………。」
仕方ない、仕方ない、仕方ない。
そうやって、心の中で免罪符を呟く。
日本、にほん、と健気に締め上げてくるそこにたっぷり欲を吐き出した。
長いまつ毛がふるりと震える。
仕方ない、仕方ない。
ガクンっ、と一際大きく震え、心なしか日本が嬉しそうに嬌声を漏らした。
もう建前だとも、罪だとも思えない。
すっかり癖になった快楽に身を任せ、堕ちぶれた魂で愛を叫ぶ。
仕方がない、仕方がない。
だって私は、貴方のことを愛しているのだから!
(終)