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洞窟の奥からやってきたフェレットは俺の顔をじーっと見つめている。
「えっと、もしかして俺の次の相手はお前なのか?」
「うん、そうだよ。僕の名前はフェレットルコ石。見ての通りフェレットだよ」
「トルコ石か……。えっと、たしかターコイズとも呼ばれてるよな?」
「そうだね。でも、それはトルコ石を意味するどこかの国の言葉が語源だからトルコ石の方がしっくりくるね」
「そうか。で? お前は俺と戦うのか?」
「僕はそういうの嫌いだから鬼ごっこで僕に勝てたら君に力を貸してあげるよ」
「鬼ごっこか。分かった。やろう」
「そっか。じゃあ、始めようか。あっ、分かってると思うけど、君が鬼だよ」
「りょーかい」
君、やる気あるの? まあ、いいや。
「それじゃあ、行くよ。よーい、ドン!!」
「はい、捕まえたー」
「……え?」
俺に抱きかかえられているフェレットルコ石は今にも「どうしてこうなった?」と言いそうな表情をしている。
「おーい、大丈夫かー?」
「ねえ、君はいったい何者なの?」
「そんなの俺にも分かんねえよ。けど、俺は俺だ」
「答えになってないよ。いや、一応それも答えの一つだね。はぁ……スピードにはちょっと自信あったんだけどなー」
「スピードか。うーん、それって進行方向と一秒間でどれくらい進むのか分かってれば、あとは網張るだけだからもう少し考えて動いた方がいいぞ」
「え? 君もしかして僕がどう動くのか分かってたの?」
「そんなのお前の筋肉が全部教えてくれたぞ。今からこっちに行くぞー! って」
なるほど。どうやら、いい目を持っているようだね。
「そっか。そういうことだったのか。ふふふふ、君なかなか面白いね」
「え? そうか?」
「うん、とっても面白いよ。正直、期待以上だよ」
「期待以上、か。別に特別なことは何一つしてないんだけどなー」
無自覚な天才か……。うん、面白い。
「えっと、これからよろしくな。フェレットルコ石」
「うん、よろしく。ナオト」