人々の視線が交差する喧騒の中に、男は潜んでいた。ここは○○県の、ありふれた街、××市。だが、この街の片隅に、30代辺りの重要指名手配犯の男が息を潜めていることを知る者は少ない。その男の背後には、凍りつくような血の歴史があった。
彼は過去、一度や二度ではない。複数回にわたり、人の命を奪ってきた。その手で、どれほどの人生を絶ち切ったのか。闇の中で彼は、今日も静かに時を食いつぶしている。
ある日の深夜、その男は紺色のパーカーを着用し、人気の目立たない道を歩いていた。
すると、突然白い光に包まれた。
突然なんだ、と思いながら恐る恐る目を開けると、
空は明るいピンク色、そこには1人の少女がいた。
「いちご系見習い天使、降臨!!」
そのいちご系見習い天使と名乗る少女は、長髪の赤髪に緑色のメッシュが入っており、服はまるで、都会の女性が着てそうな量産系に似ている。その少女が手に持っているのはピンク色で上らへんには大きなハート形の宝石が浮かんでいた。
「…誰なんだ、テメェはァ!!」
「私は、いちごの国に住んでいる、見習い天使の苺咲ゆらだよー!!」
男は少女に乱暴に問いかけると、その少女は明るく答えた。名前は”苺咲ゆら”らしい。
「私の名前しっかりと覚えておいてね、あ、でもどうせキミは私の手によって殺されちゃうけど」
「は…?さっきから何惚けたこと言ってんだ」
男は怒りながらもそう言った。その言葉にゆらはこう言葉を放った。
「へぇ…私のこと信じてないんだねぇ…」
ゆらの声は少しトーンが低くなった。それに続けてこう言った。
「ま、いっか。さっさと仕留めちゃお」
「あァ?何言ってる。やれるものならやってみろ。というかお前は天使じゃないのかよ」
「私実は天使でありながら死神でもあるんだ!じゃあそういうことで!」
そのままゆらは自身のステッキを持ち上げ、振り下ろす準備をした。
グシャ。
夜が明けかけた頃、静かな道の真ん中でそう音をたてた。
明るいピンク色の空が一気に夜明けの空に変わった。
既にその男は死んでおり、ビクともしなかった。
「…ごめんねおじさん、これはやらなきゃいけないことだったんだ」
ゆらは謝った。
「私は、極悪人を殺すお仕事をしているの。んで、キミは確か重要指名手配犯でしょ?てことは悪い事を何度も行っているってこと。だからキミを殺した。」
少し申し訳なさそうな、怒っているような感じでそう呟いた。
「さてと、そろそろ天界に戻らなきゃ、死体は…このままでいいや。」
一応、いちごの国は天界とも呼ぶ。そしてゆらは、一度天界へ戻っていった。
「天界とうちゃ〜く!!」
自分の故郷である天界に戻ったゆらは、そう言いながら、神様の所へ行く。
そして着いた途端、近くにいる番人に呼びかけられた。
「苺咲様。今神様はお出かけ中ですよ。」
「えっ?あ、そうでしたぁ」
「全くもう…それじゃあ、ちゃんとした天使にはなれませんよ。」
「へへ〜っ、大丈夫大丈夫!」
そんな会話を交わす中、番人が言った。
「…あ、そういえば神様が苺咲様宛に手紙が…」
「え?」
え…?私宛に?手紙?まさか、、天使受験に受かった!?なんて思いながら、ゆっくりと手紙を開けてみた。
「苺咲ゆら 様へ
苺咲ゆら様には、しばらく、”人間界”に住んで、更には“テラチューバー”になって頂きます。
理由につきまして。あなたには少しアホっぽくて明るい、面白いところがあります。
なのでそれを活用してテラチューバーに挑めば、きっと売れっ子になれるでしょう。
あなたは前から、『みんなを笑顔にしたい』『有名になってみたい』などとおっしゃっていましたよね。
なので苺咲様、テラチューバーになってみませんか?検討をお待ちしております。
神様より」
ゆらはこの手紙を読んだ直後、まるで光の結晶のルビーのように目を輝かせていた。
「な…なり、たい!なりたい!!アホっぽいっていうのはちょっとあれだけど!!」
「うん。苺咲様ならそういうと思っていた。このことは僕が神様に伝えておく。だからもう人間界に行っていいですよ。」
「…!!!わかった、行ってくる!!」
そう言って、ゆらは人間界に向かって飛び舞って行った。
コメント
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絵もストーリー性もすごい⋯!想像以上だよ!