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卓が舞台袖から、司会席の英治を手招きしているのが見えた。彼らの会話はここにも聞こえた。
「もう、はじめるしかないよ」と卓。
「となると」と英治。
「もう、それしかないだろう」と卓。
「それじゃ、健太さんが勝ち誇ります。そうなると、下級生がおさまりつかなくなりますよ。表にいる連中も大騒ぎするでしょうし、そうなると、このサークルとミューズ社の信頼関係は一気に壊れますよ。サークルからの、就職率も下がります。幹事長はそれでも、いいんですか」と英治。
「でも、今はまずこの場を収めないと」と卓。
係が、会場の外にまで騒ぎが広がっていると伝えてきた。
「しょうがないですね」英治はうなだれた。
続いて、卓が俺を呼ぶ。
「段取りが変わった。今からバックバンドに退却してもらって、『出雲健太バンド』が登場する。細かいことはあとだ。俺も今から急いでスタンバイにはいる」
とうとう、社長の登場は夢に終わったか。でもこれで俺は不戦勝になり、ロックの灯は吹き返っていくことだろう。