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「これから、お前だけじゃなくて、みんなが何事も起きないように神様に祈ってニコニコしていなければいけない。そうすれば、何か起きても警察の人も関わっているし、近所の人たちもみんな顔見知りなんだし。きっと、安心してみんなで暮らせるんだよ」
「うん……解った」
おじいちゃんの言うことは解るのだけれど、何だか、おじいちゃんに丸め込まれたような感じになった。
例えば近所のちょっと変わった田中のおじさんが犯人だとする。すると、夜な夜な人形の手足とを畑に埋めている。となると、確かに何かに憑りつかれているんじゃないかと傍目には思える。それは、田中のおじさん自身も知らないうちに、憑りつかれてしまっているか。それとも、精神が病んでいるんだ。
まだ、僕にはバラバラにされても生きている子供たちと人形の関係は解らない。
これから起きることは、きっとみんなでニコニコしながら神様に祈っていないといけないことなのかも知れない。
それか、何も起きずに、ある日。ぱったりと何も起きなくなるのかも知れない。
後、もう裏の畑では遊べない。藤堂君と篠原君にもこの話は伝わるんだ。
これからの調査はじっくりと考えながら慎重に行わないと。多分だけれど、この調査は僕自身の身を守るためでもあると思うんだ。
「だから、辛いだろうけど、もう裏の畑では遊んではいけないんだよ」
「うん。仕方がないね」
僕は涼しい顔に微笑みを張り付けた。
教室で僕と藤堂君と篠原君は、放課後の掃除の時間に教室の隅で野球の遊びをしていた。裏の畑で遊べなくなったからだ。
篠原君が紙とガムテープを丸めただけのボールを投げる。藤堂君は箒を野球のバットのように構えていると、担任の羽良野先生が血相変えて教室に入ってきた。
「みんな! 急いで体育館へと移動! 掃除道具を片付けて廊下に整列して!」
羽良野先生は髪が短いおかっぱ頭の女性だけれど、この時は髪が全て立ち上がっているかのように見えた。
箒で打ち出された紙とガムテープのボールは教室の隅にあるゴミ箱に見事に入った。
かなり背の高い羽良野先生の誘導で、クラス全員は掃除道具を一斉に片付けると、廊下に整列をして校舎から少し離れた体育館へと移動した。
「何か起きたのかな?」
前を歩く篠原君はロッカーから掃除道具と引き換えに、持ち出したタイガースの帽子を握りしめたいた。
「さあ……」