7月?日
小鳥の囀りと暖かい光で意識が浮上してくる。それと同時に左肩に鈍い痛みを覚える。
「ぐ……」
私は痛みで顔をしかめながら起き上った。まっすぐにユニットバスの鏡に上着を脱いで左肩を映した。何ともなっていない。鈍い痛みだけが鮮明に脳に響く。
午前中は、滅多に乗らない自転車で何軒かの整形外科や外科に顔をだし、治療をしてもらいたかったのだが、外傷どころか骨にも異常がなく相手にされなかった。医者はみな厳つい顔で、仮病と診断してきた。
けれども、痛みは本物だからたまったものではない。私のその日の気分は、一日もはやく治ってほしくて常に陰鬱だった。
午後の1時になってから、直っていた携帯が鳴った。
「赤羽さん。左肩の怪我はどう?」
物事をはっきり言う呉林だった。とても心配そうな声色をしている、私は一瞬頬が赤くなるが、痛みで歪む。
「最悪だ。午前中は医者にあちこち行ったが、外傷も骨の異常も何もなくて、それでいて、痛みは常に酷い状態だった。今でも痛いが、仮病と診断されてとても困っているよ」
私は苦虫を噛み潰した顔をして訴えた。
「やっぱり」
呉林は心配することを、どこかに置いて真面目な声色になった。
「で、どうやって治すんだ」
呉林は慎重に言葉を選ぶように、
「解らないわ……。でも、何か考えるから二時半にイースト・ジャイアントで落ち合いましょうよ」
私は諦め半分の気持ちを声にだして、
「解った」
午後2時30分。私は呉林と呉林の友人の安浦に会うために牛久駅の近くの「イースト・ジャイアント」に行く。昼食は摂らなかった。
電車の中では、この前の体験のためか極度に緊張していたが、牛久の改札口を通る頃には大分落着きを取り戻し、腹も空いてきたので、痛む肩を放っておいて今日は何を注文しようかなどと気楽に考えるようになった。
コンビニ弁当もいいが、たまには外食? も良い。
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