ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

ブラウスの胸元に指の一本がかけられ、覗いた胸の谷間に唇の熱で触れられて、両方の手の平で彼の胸を軽く押し返した。

「……もう、やめてほしい？」

その甘ったるく少しハスキーな低音ボイスは罪作りで、そんな声で問いかけられたら、到底断ることなんて出来なくなってしまう……。

「拒まないのなら、いいと受け取るよ」

背中にあてがわれた片手で半身がきつく抱き寄せられると、彼との密着度が増して厚い胸板に胸の膨らみが押し潰されそうなくらいだった。

「……顔を、上げて」

顎の先が仰のかされ、唇が真近に迫り寄る。

「口を開いてごらん」

言われるままに開いた下唇に、濡れた舌が薄く触れる。

彼の唇が、食（は）むように私の上唇を捕らえて、微かに開いた隙から舌の先が口内に挿し入れられた。

「んん……」

あたたかく温もりを感じる舌に、先端が緩く絡め取られ唇の外に引かれる。

「あっ、ふ…」

「少しだけ深いキスをさせてもらえるか…」

「……うぅ、ん…」

「嫌かい？」

図らずも否定するような言葉が漏れて、彼がにわかに唇を離すと、私の目をじっと見つめた。

無言で首を左右に振ると、

「嫌ではないんだね？」

濡れた舌の感触が、口の中の粘膜をゆっくりと探るようになぞった。