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C side
「んん………」
窓から微かに入る光で目が覚めた
朝の6時辺りだろうか
そんなことを思いながら隣で寝ている彼を見る
すやすやとどこか悲しそうに寝ていた
「いつ帰ってきたんだろ…」
まあ、考えても分かる訳ないと思いつつ腫れぼったい目を擦って瞬きをする
こんな早い時間に起きればそりゃ眠い
でもいくら眠かろうと彼から目を離すことは出来ない
だって
今日で
最後にするんだから
そして寝ている彼に向かって僕はこう言った
「ねぇ、さとくん」
「最後に1回でいいから」
「抱きしめてもいいですか…」
返事なんて返ってくるはずないと
ただの独り言だと
そう思っていたけど
彼は
眠たそうに
『いいよ』と
答えた
予想外な返答に戸惑いつつも
僕は彼を抱きしめた
ギュッ
久しぶりのハグに僕は泣きそうになった
それと同時に
抱きしめた瞬間色んな感情が溢れてきた
最後にハグしたのはいつだっけ………
知らない香水の匂い……僕以外の…
男らしくて
いつも
何かあると僕のことを
抱きしめてくれていたのに………
そんなどうしようもない思いを巡らせながら
そっと彼から離れた
彼を見ると先程とは変わり
穏やかな顔で寝ていた
そんな彼を見て
彼のことがまだ愛おしいんだと
でも愛されないことは苦しいと
僕は思った
ふたつの感情に揺さぶられながらも
何も言わず
静かに
僕はこの部屋を
後にした
S side
彼に
ころに
『抱きしめてもいいですか』
と聞かれ
俺はぼんやりする意識の中
「いいよ」
そう一言を言った
何となく、今「YES」と言っていないと
ダメな気がして
ころは数分俺の胸に顔を埋めて
優しくギュッと俺の事を抱きしめた
眠気で遠のく意識の中
ころが鼻をすする音が聞こえた
泣いているのだろうか
俺が泣かせたんだな
泣いて当たり前だよな
こう思考を巡らせている間に
眠気は深い眠りへと俺を誘ってくる
数分間抱き合った後、ころは満足したのか
俺から離れていった
そのまま
ころは
黙って
部屋を出ていった
そしてこのまま
ころは
俺から姿を消した
本人様関係なし