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「うわあああっ!」
目を覚ますと同時に勢いよく起き上がると、全身が汗ばんでいた。息苦しくて、呼吸を整えるのにも時間がかかる。心臓がバクバク鳴っていてうるさいくらいだった。
あれは夢……か?だとしたら悪夢以外の何でもなかった。あの時の恐怖がまだ残っている。あんなものは初めてだ。
「……」
ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、隣にいるはずの人を見た。
「おはようございます……」
寝ぼけまなこを擦りながら、彼女が挨拶をした。
「お、おう、おはよう……」
まだ動揺していて声が上ずってしまった。
昨日のことを思い出してみる。確か昨日の夜は……あぁそうだ、あれだけ頑張ったんだから今日くらい休ませてくれよと思いつつ、学校に行ったはずだ。それで帰り道の途中まで来たときに後ろから声をかけられたのだ。振り返るとそこにいたのは同じクラスの女子だった。その子とは話したことはないが、顔だけは知っていた。名前はえーっと、なんだっけ。まあいいか。とにかく彼女が俺に声をかけてきたわけである。なんでも彼女は最近ある男子生徒につきまとわれているらしい。俺はそれをなんとかしてほしいと言われた。正直面倒くさかったのだが、頼みを聞いてくれるなら今日の放課後デートをしてもいいと言ってきたので引き受けることにした。さすがにこんな可愛い子とデートできる機会なんて滅多にないしね。そして彼女と待ち合わせ場所に行ってみると、なぜか不良どもに囲まれていた。……どうしてこうなった!?
「ちょっとあんた!早く助けなさいよね!」
不良たちに絡まれている美少女が言った。なんだろうこの状況。
「おいテメェ無視してんじゃねぇぞコラァッ!!」
今度は別の不良が怒鳴った。うるさいなぁ、一体どうしろって言うんだよ。っていうかなんで不良なんかやってんのこいつら?勉強しなくていいのか?そもそもなんで俺のこと囲んでいるの?意味わかんねえんだけど。とりあえず聞いてみた。「えーっとさあ、お前ら一体何をしたいわけ?」するとリーダーっぽい金髪野郎(仮)が言った。「てめぇ舐めてんじゃねぇぞコラ!俺たちは今からこの公園で遊ぶ予定なんだからよぉ!」なるほど。だから邪魔するなってことね。うん、わかった。よし殺そう。俺はそう決めた。だって面倒だし。そして目の前にいる金髪ヤンキーに向かって歩いていこうとした時だった。「ちょっと待ってくれ!!」と声をかけられた。振り返るとそこにいたのは同じクラスの佐藤君じゃないか。彼はいわゆるイケメン男子で学校ではファンクラブができるほどの人気を誇っている。なぜこんなところにいるんだろう。しかも後ろのほうには女子たちもいるではないか。ちなみにファンクラブ会長はあのメガネちゃんである。きっとストーカーとかだろう。まあいいか。とにかく早く帰りたい。「悪いけど、どいてくれないか?これから用事があるんだ」と言った瞬間にまた殴られた。腹パンだった。痛かった。超痛かった。まじ最悪だよ死ねばいいのに。というか死んだほうが世のため人のためになると思うぜ? それからというもの、毎日毎日いじめが続いた。まずは下駄箱の中にゴミを入れられていたり、机の上に落書きされたり、トイレに閉じ込められたりなど様々あった。しかし俺は耐え続けた。なぜなら俺には目的があったからだ。それは復讐である。あいつらに必ず復讐してやる。そのためにも今は我慢しなければならないのだ。
ある日のことだった。ついにその時が来たのだ。待ち望んでいた日がやってきた。放課後になり誰もいなくなった教室で俺は静かに笑っていた。やっとこの日がきたんだ。そう思うだけで興奮してきた。落ち着け自分。クールになれ。大丈夫だ。冷静になればいけるはずだ。まずは深呼吸しよう。すぅ〜、はぁ〜。これで落ち着いた。さあ行こう