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「うん。それならうちでも話題に上がってるよ。」
『やっぱり?さすがSnow Man、流行に敏感だね。』
「でも、どうして急に?」
『Snow Manとdominator、協力関係にあるわけだからさ、情報共有はしといた方がいいかなって。』
「ありがと、すごい助かるよ。」
『この噂、1人の人物をきっかけにすごい広まってるみたいだ。俺らもその噂を信じて悪さしてるやつから話聞いたんだけどさ、全員”共通”してることがある。』
「共通…?」
『みんな口を揃えて言うんだ。”あの女に言われた、あの女が、他人の心を利用しろって言った”…ってね。』
「…やっぱり、女性か。」
『そこにさ、岩本くんもいるんでしょ?ぜひ、この情報を役立ててね。また、何かあったら連絡するよ。』
「うん。こっちもなんかあったら連絡する。ありがとう。」
そう言って、電話を切る。
岩本と深澤は顔を見合わせる。
かなり危険なことになりそうな予感が、2人の間に流れていた。
一方で、カフェの中は緊張に…
包まれていなかった。
「阿部ちゃんと佐久間くんさぁ、付き合ってたなら言ってよ~!」
「ほんとに知らなかった。」
「怪しいとは思ってたでぇ?」
ラウール、渡辺、向井を中心に阿部と佐久間の関係性を深堀していた。
「みんな~」
わいわいしていた7人に、深澤が声をかける。
電話が終わり、外から帰ってきたようだ。
ふらふらと手を振りながら、深澤は笑顔で伝える。
「面倒かもしんないけど、これからは1人で行動しないようにっと。」
軽く言いながら、岩本と席に戻る。
深澤の言い方は軽い。
だが、その一言だけで緊張が走る。
“単体行動禁止”
敵は1人でいる時に狙ってくることを予想してだろう。
「それって、どこまで?任務中?それともプライベートも含めて全部?」
自分のテリトリーは守りたい渡辺が強めに聞く。
「出来ればの話だよ。翔太が1人でいても狙われない自信があるなら、問題ないよ。」
深澤は渡辺がこのように反応することを予測してたのだろう。
あくまで命令ではないことを伝える。
岩本は、渡辺だけではない、他6人にも向けて言う。
今度は、厳しい目で。
「たしかに命令ではないよ。でも、チームとして、今は何をすることが1番最適かをよく考えて。」
Snow Manのボスとして、メンバーに言う。
「…じゃあ、一緒にいる相手固定しようぜ。な、翔太?それならいいじゃん?」
佐久間が渡辺に話しかける。
渡辺は、すっかり拗ねた5歳児みたいな顔をしていた。
「ん。それならいい。」
佐久間の提案に、まだ唇を歪ませながら賛成する。
「はいはーい!俺はめめと一緒な!」
すぐに向井が手を挙げる。
久しぶりに見た向井の行動に、全員の頬が緩む。
戻ってきたんだな、と。
相談の結果、ペアはこのようになった。
阿部、佐久間、ラウール。
目黒、向井。
岩本、深澤。
宮舘、渡辺。
「じゃ、これからはこのメンツで行動するように!あ、でも遊びとかは全然誘ってね。俺、いつでも暇だから!」
深澤が軽く締めて、今夜の会議は解散となった。
(dominator側)
「願いが叶う…か…」
深澤との電話を終えた颯馬は、改めて入手した情報を整理していた。
あの日の戦いから1ヶ月ほど経ち、Snow Manとdominator、ほとんどは深澤と颯馬だが…
そこは”協力関係”にあった。
お互いに入った情報を共有する。
今回もその一例であるが…
「こっちの噂は、共有しなかったけど…深澤くんに聞いておけばよかったかな…」
颯馬は、ひとつのメモを手に取る。
“漆黒の龍”
噂では、この龍の力こそが最強とか言っているが、誰も目撃はしていない。
それなのに、噂になっている。
「漆黒の龍…一見、式神みたいにも感じるけど…」
颯馬は、フードの男との戦いの深い内容は知らなかった。
それもそのはず。
大烏が、フードの男と9人以外を別空間へ避難させていたのだから。
そのはずだが…
なぜ、深澤の闇から生まれた漆黒の龍の話が漏れているのか……
「颯馬、話しは終わった?」
そこに真白も現れる。
「まぁな…まだ気になることはいくつもあるけど…」
伸びをしながら颯馬は答える。
「俺がdominatorのボスなのに、なんでふっかくんは颯馬ばかりを頼るんだろうね?」
電話の相手が深澤ということに気づいて、真白が不思議そうに言う。
「深澤くんってお前のおきにだったっけ…相方くんがお前のこと気に入らないからでしょ?」
颯馬は、きっと通話中にも隣にいたであろう岩本の姿を想像する。
「俺は、ふっかくんも岩本くんも好きなんだけどなぁ~。」
真白が苦笑しながらそんなことを呟く。
そんな雑談をしながら、2人も裏社会を守る者として、見回りへ向かう。
(渡辺視点)
「今日はお願いします。」
俺は、今日もいつも通りに仕事に来てた。
今日は雑誌の撮影。
最近限定発売を開始したケアクリームの宣伝。
美容アンバサダーの仕事は、めちゃくちゃ楽しい。
俺は美容が好きだし、商品を無料で貰えちゃったりする。
最近は歩いてて、ファンに声をかけられる事だってある。
そういうの、めっちゃ嬉しい。
この仕事は、俺の天職だと思ってる。
撮影が終わったあと、俺は颯爽と現場から出る。
任務後とかもそうだけど、俺はとにかく早く帰りたい。
メンバーにも、お前早すぎ!!って言われる。
逆だろ。
お前らがおせーんだ。
でも、今日は早く帰りたいからじゃない。
涼太のカフェに行くため。
新作メニューができたから、俺が食べに行くの。
今日は水曜日だから、カフェは閉まってる。
21:00からは、メンバーも入ってこれるけどね。
これは、俺だけの特権。
今日は、やけに人が多い。
前に進みたいけど進めねぇ…!
イライラしながら歩ってたら、
ドンッ!
「うおっ、ってぇ…」
誰かとぶつかる。
「うわっ、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
どうやら、ぶつかった相手は女性だったみたいで、心配そうに俺に手を出してる。
めっちゃ美人じゃん。
俺は、涼太以外の人間には興味無いけど、美人とかはちゃんとわかる。
「いえ、俺の方こそすいません。」
撮影の時と同じ笑顔で、女性に謝る。
差し出された手を、失礼ながら掴んで立ち上がる。
「いえいえ、怪我がないなら良かったです。」
女性はにっこりと笑って、それでは、って去ってく。
「やべっ。」
俺は時間を見て焦る。
そろそろ涼太との約束の時間だ。
俺は駆け足でカフェに向かった。
(阿部視点)
「よし、あべちゃん。ここであってる?」
「うん、あってるよ。ラウもちょうど終わったって。」
俺と佐久間は、ラウの迎えに来てた。
今日は、佐久間も俺も予定がないから、ラウも誘って映画に行く予定。
運転は佐久間に任せて、俺はそのサポート。
駐車場にしっかり停めて…
「あ!いたいた。2人ともありがとね!」
ちょうどぴったし。
ラウが自動ドアから出てきた。
「お疲れ様。はい、希望通りのココア。」
「阿部ちゃんナイス!ありがと!」
ラウにココアを渡して、後部座席に促す。
「ラウ、シートベルトした?」
「うん、OK!準備万端!」
佐久間が、ラウにシートベルトをしたか確認する。
「出発進行!!」
「いや~、面白かったなぁ!!」
佐久間がニコニコ話しかけてくる。
映画鑑賞後、3人で余韻に浸りながら映画館を出る。
「え!?ラウ、ポップコーンLサイズ全部食べたの!?」
さすがのラウ。
成長期で食いしん坊なラウは、俺らとふた周りくらい大きいポップコーンを完食してた。
「映画も面白くてポップコーンも美味しいなんて最高じゃない?」
ラウは、無邪気な笑顔で笑う。
「…っと、あべちゃん危ない。」
佐久間に、ひょいっと裾を掴まれて引っ張られる。
「あ、ほんとだ。ありがとね、佐久間。」
「いえいえ」
佐久間に引っ張られてなかったらぶつかるとこだった。
「さすが佐久間くん。恋人が恋始まりそうになるの防いだね。」
ラウが面白そうに言う。
「あ、バレた?」
佐久間も笑いながらラウの方をむく。
「あんな美人の人とぶつかったら阿部ちゃんでも惹かれちゃうかもね。」
ラウの視線の先を見てみると、
あぁ、確かに美人さんではあるけど…
「俺は佐久間のが好きだよ。」
…?
2人の動きが止まる。
俺、なんか変なこと言ったかな?
佐久間の顔が、どんどん赤くなってく。
「よーし!!次!!次はどこ行こっかなぁ!!!」
照れ隠しかな?
佐久間は大きな声を出してラウの手を引く。
そういうとこ、可愛いよね。
それと、
「……」
視線を後ろに向ける。
やっぱりあの女性、俺らのとこ見てるな…
警戒しながら、俺も2人の元へ行く。
(目黒視点)
遅い…
もう、家まで迎えに行こうかな?
俺は、今日一緒に出かけることを約束した相手を待ってた。
俺は、浮かれて待ち合わせの1時間前に現場に到着…
でも、相手が来ない。
そろそろ痺れを切らして、迎えに行こうとしたら…
「めめ!遅れてごめんな!」
後ろから、愛しい声が聞こえてきた。
「服、選んでたら遅くなってもうて…」
息を切らしながら、こーじは俺に謝る。
「…可愛い…服、真剣に選んでくれてたんだ。それに、走ってきたんだね。俺に早く会いたかった?転んだりしてない?ほんと可愛い…」
「ちょ、めめ!?急に抱きつかんでや~!!」
こーじと付き合ってから、俺らの立場は”逆転”してた。
好きは、こーじから始まってたはずなのに、今になったら俺の方が重い自信ある。
俺は、とにかく自分の思ったことは言葉と行動で示すように意識してる。
そのおかげもあって、こーじの照れてるところがいっぱい見れて幸せ…
「もぉ、わかった!わかったから恥ずいやん!!!」
ほら、今も顔が真っ赤。
こーじが俺の顔が好きなことも知ってるから、いっぱい顔を近づけてあげる。
それだけでこーじは耐えきれなくなっちゃうよね。
「早く行こうな!な!」
こーじが何とか俺の腕の中から抜けて、俺の手を引く。
「……」
「…うわっ!何するん?!」
前から人が来てるのに気づいて、こーじがぶつからないようにしてあげただけなのにな…
「……チッ」
「………」
今、舌打ちしたな。
ぷりぷり怒ってるこーじを一旦置いといて、今ぶつかりそうになった女性に視線を向ける。
あとで、みんなに共有しとこう。
とりあえず、今はこーじとの時間を楽しむんだから。
(深澤視点)
「ん~♪んっん~♪」
鼻歌交じりに、俺は珍しくキッチンに立ってた。
これから、照が家に来るんだ~♪
せめてなにか用意しよう!って思って、だったら普段やらない料理をしよう!って思った。
俺、手先は器用ではあるから、きっとなんとかなるよね?
「早速やりますか!!」
…って、思ったんだけどなぁ…?
「ん?包丁ってどうやって持つんだっけ…?」
「めぶんりょう…?まぁ、こんくらいでしょ!」
「油は…いっぱい入れといた方がいいでしょ!って、おわあああ!!なにこれ!?めっちゃ跳ねたんだけど!?」
もう、途中からは見てもいられなくなった大烏に止められた。
それに、何とか出来上がったものは…その…
とてもじゃないけど、食べ物とはいえないもの…
やばい…そんなつもりじゃなかったのに…!!
こう考えると、舘さんってすげーんだね…
そもそも、俺の味覚はまだ戻った訳では無いし、味見もできないんじゃん…!
うわ、やばい…
浮かれすぎてたの、かな…?
なんも考えてなかった…!!
「照、まだ来ないはず…だよね…?」
時間を確認…する前に
ピンポーン
やっべ…!!!
『ふっか、来たよ。』
うああああああ!!!
照だぁ…!!!
近くにあった姿見を見る。
朝早く起きて料理してたから、若干寝癖残ってるし!
エプロンせずにやってたから、服に脂がついたまんま!!
これじゃ出れないって!!!
俺が焦ってドアを開けるのを躊躇ってたら、大烏が、やれやれって顔をして、
玄関に向かう。
ちょ、ちょっっっっと!!!!
なんでここは味方してくんないの!!!?
「待っ!!!」
ガチャ
大烏の開けた鍵で、中に入ってきた照と目が合う。
「……ふっか…?」
「照…あはは…やっほー…わら」
まーずい…
実にまずいぞ、深澤辰哉…
ビジュは、とてもいいとは言えないし…
それ以上に、背後ですんごい主張する匂いにも気づいてるだろ…
やっぱり…慣れない料理なんてしない方が良かったかな…?
今更、不安になってる。
俺、料理全然出来ないんだ…
初めて…本当に人生で初めて才能を求めてる。
ねぇ、神様…
なんで俺に、”料理の才能”はくれなかったの!?
「ふっか、怪我、してない?」
「…へ?」
照は、心配した顔で俺の身体に目を向けてる。
そっか、俺油まみれだから…
照、優しいなぁ…
こういう時も俺の心配してくれる。
ほんとそういうとこ…
「…っ!!///」
今、今、俺…!!
なんてことを、思ったの…!?///
「ふっか?やっぱりどっか火傷したんじゃ?」
うああああああ!!
待って待って!!
今、頭パンク中なの!!
さすが消防士なだけあって、火のことへの心配は人一倍大きい。
なんとか、なんとか火傷してないことを伝えて、今までに起こったことを話す。
「んー…ふっかに料理は早かったね…」
照にも、苦笑いされる。
そりゃそうだ。
俺の作っものの有様が酷すぎる。
「……ごめん…」
さすがに、照に申し訳なさすぎる…
せっかく、来てもらったのに……
やばい、どんどん気分が沈んでく…
うぅ…しんどいかも…
って思ったら、頭にあたたかい感覚。
照の、おっきい手…
「まぁ、ふっかにしては頑張ったんじゃない?普段キッチン立たないくせに、こうやって用意しようとしてくれたんでしょ?」
照が、優しく笑ってくれてる。
「…って、おえ!?ちょ、なにしてんの!?」
照に目を向けて、また、俺の失敗作(努力の証)に目を向けたら…
大烏が、食ってる。
いや、照も言葉失ってるって…!
でも、なんか美味しそうに食べてるな…
やっぱり、大烏は俺らと味覚が違うのかな…?
俺と照は、お互いに顔を見合せて笑った。
~Royal cafe~
今日も、9人はいつものカフェに集まっていた。
「とりあえず、今日何かあった?」
岩本が、メンバーに問いかける。
本日は、情報共有と見回りを行う予定だ。
早速、阿部と目黒が手を上げる。
「…めめが先でいいよ。」
「いや、阿部ちゃんのが先に手を上げたから…」
お互い譲り合う2人。
「じゃあ、せーので言う?」
「そうする?」
結局、目黒のせーので言うことにしたらしい2人。
「…せーの、」
「怪しい女性を見つけた。」
目黒のせーのに合わせて、2人の発言はしっかり重なった。
“怪しい女性”。
恐らく、恋愛泥棒たちが話していた女だということに気づく。
阿部と目黒は、その女性が自分たちを見ていたこと、そして、自分たちに接触しようとしたことを話す。
さらに警戒を強めるメンバー。
その中で、1人…
「……」
渡辺は、表情を歪めていた。
(…伝える、べきか…?)
渡辺は、まだ確信を持てていない。
今ここで、自分が接触したことを伝えるとより状況を混乱させるのではないか…
そんな不安が、渡辺の頭に過ぎる。
それと同時に…
(俺…気づかなかった…)
自分だけが気づけなかった悔しさが、渡辺の心の中を支配していた。
「…翔太?」
宮舘は俯く渡辺に気づき、周りにバレないように耳打ちする。
「なんもねぇよ…」
渡辺は、冷たく答える。
「…そう?」
宮舘は心配しつつも、渡辺の話しかけんなオーラに気づいて、これ以上は何も聞かなかった。
「じゃあ、今から見回りだな。また2チームで別れようぜ!」
佐久間が緊張した空気を和らげようと、少し大きめな声で言う。
「そうだね。グッパー?」
深澤が自分の手をフラフラ振る。
その様子に、ラウールが心配そうに言う。
「ふっかさん…岩本くんと一緒じゃないの?」
他の7人も、心配そうに深澤を見つめる。
「…うん。やっぱり、もしもの時のことを考えてさ…照がいなくても何とかできるようにね。あとは、俺がどのくらい回復できてるかって確認したい。いいかな…?」
深澤は、少し不安げに周りを見渡して、最後に岩本の顔を見つめる。
他のメンバーと同じように、心配そうに深澤を見つめている岩本。
しばらくして、岩本は息を吐き、
「…なんかあったらすぐ言えよ。」
とだけ、深澤に伝える。
「…うん。ありがと!」
深澤は、笑顔で答えてみせる。
「じゃ、いくぜ!!」
佐久間の掛け声で、9人は手を前に出す。
「ぐっとぱーでわっかれましょ!!!」
大きい掛け声を合図に、綺麗にわかれた。
岩本、目黒、阿部、宮舘、ラウール。
深澤、向井、佐久間、渡辺。
綺麗に相方でわかれたのだ。
「…佐久間。」
チームに分かれて行動する前に、岩本は佐久間に声をかける。
「…照、どした?」
佐久間は、岩本の真剣な表情に真剣に向き直る。
「プレッシャーかけるようで悪いんだけど…ふっかのこと、頼むぞ。」
岩本は、佐久間に深澤を託した。
佐久間は、それに答えるだけだ。
「おう、任せとけ。」
強気な表情で、岩本の胸に拳を突きつけてみせる。
岩本はそんな佐久間を見て、ようやく口元を緩めた。
(深澤視点)
正直、照と離れたことは怖い。
もっと深いところで繋がってるのは分かる。
でも…
任務中はずっとそばにいてくれてたから、1人じゃないのに、1人みたいに感じる。
俺は…少しでも変わらなきゃいけないのに…
『今は幸せかもしれないが、この先はどうなんだ?』
「……」
『もし、任務でどちらかが死んだらどうする?』
「……」
『もし、相手がこの世界から消えた時…君は』
恋愛泥棒に、言われた言葉。
俺は…どうしたらいいんだろう?
あの日から、ずっと考えてる。
俺は、歪んだ関係でも幸せだよ。
でも、それはいつまで続けられるの?
いつかの終わりを…俺は受け入れられるの…?
守られるだけは嫌だ。
俺も、誰かを守りたい。
でも…それで俺に何が起こったら、照はそれを許さない。
絶対無茶する。
それで…もし、照が……
こんなこと、考えてるほうがよくないと思う。
俺は、やっと幸せの形を手に入れた。
それだけでいいはずなのに…
“最も強い力を持つものが、願いを叶えることができる”
これに、”あの人”…
フードの男も関わってくるなら…俺は向き合える?
また、しんどい戦いになると思う。
それに、今回は心理戦でもある。
俺は…強くならないといけないんだけどなぁ…
(岩本視点)
「岩本くん…本当に良かったの?」
ラウが、心配そうに俺に聞く。
ふっかのこと、だよな。
「…全然、大丈夫ではないかな…」
俺は、ふっかのことが心配でしょうがない。
本当は、止めたかった。
でも、ふっかの意思を止めたくない…
初めて、自分から”やりたい”を伝えられたんだ。
それを否定したくなかった。
ふっかは、今の関係に満足できてない。
それは、薄々気づいてた。
心のどこかで、守られるだけは嫌って思ってることくらい分かる。
俺がふっかを守る。
それが当たり前になるのが嫌なんだ。
ふっかは、まだ誰かを頼ることに慣れてない。
それこそ、俺以外から守られるってなるとふっかは俺なんかにってなる。
俺は、この関係に満足しちゃってる。
ふっかが特別を求めてたみたいに、俺も”ふっかの特別”を求めてたから。
ふっかには俺だけっていう、そんな満足感。
俺は結局、優越感に浸りたいだけかもしれない。
ふっかを独占できてる、優越感に…
それに、俺はやっとふっかをこの手で掴むことができたんだ。
もっと、綺麗な救い方もできたんじゃないかっても思う。
…でも、俺は間違ってなかったっていえる。
だからこそ、この手で掴み取った幸せを逃がしたくない。
…ふっかは、俺から離れたわけではない。
少し世界と触れてみてるだけ。
本当に、それだけなんだ。
だって、ふっかはもう俺から離れられない。
俺も、ふっかとはもう離れられないんだから。
「誰かいるみたいだね。」
俺の思考を遮るように、阿部が声をかける。
その瞳には、心配の色が滲んでた。
さすがだな。
阿部は、俺らの関係性に気づいてたのか。
俺の、醜い感情が吹き出そうになったのを抑えてくれた。
阿部にも、敵わねぇよな。
「本当だ。話、聞いてみる?」
宮舘も前方に見える3人の人影に気づく。
5人が近づいてみると…
「…だから、いるんだって!!」
「そんなわけないじゃん。」
1人の男が、2人に何かを伝えようとしているみたいだ。
「”漆黒の龍”は、本当にいるんだよ!!」
男の発言に5人は、息を止めた。
「この世界で、いっちばん強いんだぜ!?その龍さえ捕まえられれば、俺らだって最強になれるかもしんねーんだぞ!!」
男は、興奮気味に話していた。
だが、5人、特に岩本は思う。
あれは、そんなに興奮できるものではない。
醜く、歪みきって漆黒に染まってる。
あれは、最強の象徴のような美しい存在なんかじゃない。
苦しみを集めた、絶望の象徴だ。
「…どう、する?」
3人の男が去った後、目黒が重々しく呟く。
「情報漏洩…?でも、ありえない…」
阿部も、少しだけ不快そうな顔をする。
「なんで、龍の噂が広がってるの?誰もいなかったはず…」
宮舘が、顎に手を添えながら考える。
「…フードの男、もしくは誰かが見てた…」
ラウールが、警戒しながら言う。
「…ふっかに、伝えよう……」
岩本は、噂が深澤の耳に届く前に、自分たちで伝えることを決意する。
きっと、知らない人から憧れの目を向けられていることの方が、深澤は傷つくと思ったから…
「今日もおつかれ!そっちはなんかあった?」
見回りを終えて、合流する。
深澤が、岩本のチームに問いかける。
この様子だと、深澤には何も無かったのだろう。
岩本は少し安堵して、表情を重くする。
今、キラキラしている笑顔は、きっと崩れるだろう。
「…ふっか、聞いてほしいことがあるんだ。」
岩本は、覚悟を決めて深澤に全てを話した。
「……」
深澤は、最後まで岩本の話を聞いた。
漆黒の龍の噂が広まっていること。
龍が最強だと言われていること。
狙われていること。
そして…
願いを叶えるための存在として、憧れの目を向けられていること。
「…なんだよ、それ…」
その話を聞いて、真っ先に反応するのは佐久間たちだった。
3人も、龍の正体を知っている。
それが、綺麗な想いから生まれていないことも。
深澤は、俯いたまま反応をしない。
「……話してくれて、ありがと…」
深澤は、ようやく言葉を発する。
まだ、頭の中で整理はできていない。
困惑もしているだろう。
それでも、まずは伝えてくれた感謝をする。
重い空気が流れる。
沈黙がキツくなる。
そして、渡辺は迷っていた。
(ここで、伝えるべきなのか…?)
もし、渡辺が接触した女性がこの件に関わっているのなら、深澤に危険が及ぶ。
それは、何としても防がないといけない。
確証は無い、本当に関係が無いかもしれない。
それでも…
「…俺も、話しときたいことがある…」
静かに、渡辺は手を上げた。
「…ほぼ確定だね。そいつだ。」
渡辺の話を聞き、阿部が断言する。
「…ごめん…」
渡辺は、素直に謝る。
今回の件に関しては、”自分のミス”だ。
自分のミスが、チームのミスに繋がるかもしれない。
渡辺の申し訳なさそうな顔をしている。
不安でいっぱいだったはずなのに、それでも勇気を出して話してくれたのだ。
「翔太、頑張ったね。」
宮舘は、渡辺がどんな思いで伝えてくれたのかが分かる。
だから、この言葉をかけるのだ。
「……うん…」
渡辺も、少しだけ肩の荷が軽くなった気がした。
「…これから、どうする?」
次の話に進めるために、阿部が呼びかける。
本当はこのまま解散の予定だったが、今の状況で誰も帰る気にはならない。
「さらに、単体行動は危険になったね。」
ラウールが、厳しい顔で呟く。
「それに、情報漏洩もしてる。」
目黒が鋭い瞳で呟く。
「優先するのは、ふっかさんとしょっぴーやんな…」
向井が、深澤と渡辺に目を向ける。
「…また、俺らに接触しようとする可能性がある。」
佐久間が厳しく周りを見渡す。
「…舘さん。ここにしばらく泊まることって可能?」
深澤が、左手で唇をいじりながら、宮舘に問いかける。
「…裏に、俺の家があるよ。それなりに大きいから、多分…」
宮舘は、深澤の意図を感じ取って答える。
深澤は、宮舘の答えに安心して、
「じゃあ、今日から舘さんの家に住もっか。」
と、提案をした。
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