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【 1話 】


※心中ネタ。二人とも恋人ちぇってーぃ

※蜂楽くん結構頭イッてます!!ヤッタネ!!

※またしても何もしらない依存されまくりな潔くん


の、三連コンボで行きます()








「いさぎ」


鈴の音色のように、綺麗な声が聞こえた。明らかに自分を呼ぶ声。振り向くと、ニコニコといつも通り笑っている蜂楽廻がいた。

蜂楽の手には、綺麗な黄緑色のアイビーの花束があった。9~12月ら辺に花を咲かせる花だったような気がする。



「なあ、そのアイビーって何?」

「ううん!なんっでもないよーん!ま、とりあえず行こうよ!俺、行きたいところがあるんだよね♪」



質問は無視され、ぐいっと勢いよく手を引かれる。潔は転びそうになったものの、蜂楽が軽々と支えてくれた。


_____今現在はデート中だ。久しぶりのオフシーズン。母国に戻ってデート地を回ったりしている。

現在はスペイン、ドイツ…と、国が違うためこのオフシーズン以外にはめっきり会えないのだ。


だから、潔は楽しかった。でもなぜか、近くの花屋さんに寄ってアイビーを買った意図はよくわからないが。まぁ、そういう奴だからいっか。と納得すると、ルンルンの蜂楽についていくことにした。



「タクシー乗ろっか!此処からじゃ結構遠いんだよねぇ…」

「おう、全然いいけど…どこ行くんだ?」

「えー?秘密♡」

「むっ、秘密が多いな!?」

「だって、サプライズは秘密の方が楽しいでしょ?」

「成る程…ってか、サプライズってもう言ってるじゃねえか…」

「それが良いんじゃん!俺らって感じがして♪」

「んまぁ……そうだな」



タクシーを呼び、車内に入る。◯◯崖までお願いします、と蜂楽は言うと、ニコニコ笑って潔を見つめた。狭い車内の中、急に見つめてくる蜂楽に潔は正直困った。付き合ってからも蜂楽の行動の意味がいまいちわからない潔にとっては、ほとんどが謎である。そういうところが、蜂楽のいいところかもしれないが。蜂楽の蜂蜜のような綺麗な瞳に、きょとん…と首を傾げている自分が見える。



ふと、潔は思った。◯◯崖と言うのは、刑事ドラマでよくみる崖だ。崖の下には勿論海が広がっていて、犯人はそこに飛び込むっていうベタなもの。


…まぁ、ドラマ以外では悪質な使い方をされている…なんて噂されているが。


最近、そこで自/殺する少年少女が多発しているらしい。区はそこの崖を閉鎖しようとしているが、まだ閉鎖されていないだそう。…なーんて、ニュースで取り上げられていた。


そんなところに、自分は行きたくなかった。いや普通に怖いし、なんだか不気味だし。そんなところに行こうとしているのなら、この車内から逃げ出したいくらいだ。考えただけでもゾッとする。




「…?どうしたの?潔」



顔をだんだんと真っ青にさせる潔に、不思議そうにアイビーの花束を抱えながら言う蜂楽。結構な量の花束を持っているからなのか、蜂楽の見せる顔面積がもっと小さくなっているように見える。



「…い、や。その……そこの◯◯崖って、最近有名なじ_____「着きましたよ、お客さん達」」

「あっ、ありがとうございまーす♪」



言う前に、もう着いてしまった。蜂楽はお金を払い、潔の手を引く。こんなに上機嫌な蜂楽は見たことがなかった。少しゾッとすると、タクシーからそそくさと出る。蜂楽の思うがままに歩いていくと、崖が見えた。ドラマでよくみる崖すぎて、なんだか、自分がドラマの主人公みたいに思えてきた。少年心が潔をくすぐる。




「ねっ!すごいでしょ?ほんとにドラマで使われたところらしーよ♪」

「へぇ…そりゃあそうだよな、刑事ドラマでありそうな崖だもんなぁ」

「ねーっ♪…それよりさ、海綺麗だよね」

「…?おう、そうだな!綺麗だな~」




コロコロと変わる話題。気分屋の彼と居たら、しょっちゅうそんなことはある。ニコニコと笑う蜂楽を見て、潔はひきつった笑みを浮かべて口角をあげる。

自.殺スポットに居るのは、なんだか不気味なのだ。物凄く早く帰りたい。蜂楽が選んでくれたところだから、そんなこと言い出せないのだ。

蜂楽はそんな潔を見た。いつもよりも元気そうじゃない潔に近寄る。片手には、綺麗なアイビーの花束があった。




「ねえ、潔。このアイビー、潔にあげるよ」

「…エッッ、お、俺のなの?」

「んふ、そうだよーん♪潔の為に買ったの!!」

「綺麗だな……ありがとう!」




ぱぁっ、と効果音が付いてもいいくらいわかりやすく嬉しそうにアイビーの花束を受け取った。いい匂いもするし、何より綺麗。潔は嬉しかった。他のやつに渡すために買ってるんだろうな、と思っていたからだ。蜂楽はにこ、と笑う。




「どーいたしまして!ところでさァ…


アイビーの花言葉、ってなんだかわかる?」

「あ、いびーの…花言葉?」




いつも通りに蜂楽はニコニコ笑って、潔を見つめた。でも潔には、その笑顔が少し不気味に見えた。


生憎、潔は花言葉なんぞに興味がない。知っているのは薔薇の花言葉位だ。サッカー以外にあまり興味を示さない潔にとっては、そんなものなくても同じだ。

だが、不思議だった。潔よりも、蜂楽の方が花言葉なんぞ興味なさそうなのにそんなことを自分に聞くなんて。メジャーな物位ならわかるが、まさかのアイビー。あまりメジャーな花言葉ではないのはわかる。潔は首を傾げた。ふわ、と風が吹く。風は潔の髪を優しく撫でた。





「…知らないな、俺メジャーな物しか知らなくて」

「あはっ♪そうだよね~!俺も”最初は”知らなかったよ!潔はサッカー以外にあまり興味をひかないもんね!


……アイビーの花言葉はね。潔。」



「”永遠の愛”、”死んでも離れない”」


「一種の呪いの花言葉なんだよ。」


「はっ?」




困惑の声を漏らす。ニコニコ笑いながら、蜂楽はもう一歩、もう一歩と潔に近づく。”どういうことだよ”と潔が疑問をぶつけるも、呆気なくスルーされてしまった。




「ねえ潔。俺のこと、好き?ね、好き?」




追い詰められているような感覚だった。好きだよ、といつもなら即答できるこの質問に、すぐ答えることが出来なかった。

蜂楽の大きくてゴツゴツした手が、潔の頭を優しく撫でる。もう一度確かめるように”俺のこと、好き?”と聞いた。



「……すき、すきだよ、ばちらの…事。」



じろ、と蜂楽の瞳を見つめた。脅迫されたのか、というくらい半強制的に言うと蜂楽は声を出して笑い出した。だんだんと照れ臭くなり、”な、なんだよ!!”と反論してしまった。



「…っは!はははっ!そっか、そっかぁ!」



とても愉快そうに笑うと、潔の手を引いて崖の方向へと歩き始めた。

……嫌な予感がした。その予感は大体当たるものであり、潔はすぐにその手を振りほどこうとした。でも、振りほどこうとしたが全くと言っていい程動かなかった。ぶんぶん振り回しても頑なに離れない。”いや、嫌だ。その崖にだけは”と潔が悲痛の叫びを漏らすも、聞いてはくれなかった。




「じゃあ、一緒に死のっか!」

「二人だけの世界にランデブー!しちゃおっ♪」




「ちょっ、まっ_____!」





そういうと、蜂楽は潔を抱き締めた。決して離さない、といわんばかりに。とても強い力で抱き締めると、崖から自ら潔を抱えて落ちた。

嫌だ、と否定も出来ないまま、海底へと落ちてしまった。









潔と蜂楽は、深い深い深海に落ちていった。苦しそうに悶えて、必死に呼吸しようとしている潔を蜂楽が抱き締めるように抑え込んだ。バタバタバタバタと、必死に暴れていたが、数秒後にはもう息を引き取っていた。





(……かわい。もう死んだのにかわいいとか、潔一種の才能持ってるんじゃないの?)




蜂楽は目を開けると、冷たくなった潔の唇にキスをした。だが、もう麻痺し始めたので感触はない。もう、蜂楽も限界だった。




(さよなら、世界。サッカーよりも大切なものを見つけたから、もう必要ないよ。)





「これからは、潔とふたりきりの世界でとびっきり愛し合うからさ!」




ゴボコボと泡を口から出しながら、一人叫んだ。きっと、聞こえているのは海に住んでいる魚達だけだ。


奥に奥に沈んでいく。もう、息ができない。

蜂楽は目を閉じた。口角を上げ、幸せそうに。











ある日、とある二人のダイバーが白骨死体を見つけた。


死体解剖の結果、見つかったのがかなり早かったので身元がわかったようだ。



世界的に有名なサッカー選手である


蜂楽廻

潔世一


が、自殺していたことが明らかになった。


二人は抱き締めあって死亡していたという。

……奇妙な話だ。


警察は、この事件を自殺事件ということで、捜査を進めている。

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