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淡希蘭央⛄💎 現在低浮上
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夜風が少し冷たい。
帰り道。
勝利は隣を歩く聡をちらりと見た。
相変わらず無表情。
静か。
姿勢も綺麗。
なんならさっきの騒ぎが嘘みたいに落ち着いている。
「……ほんと何なの」
ぽつりと呟く。
聡が視線だけ向ける。
「何がですか」
「強すぎ」
「仕事ですので」
「いや、そういう問題?」
さっきだって。
気づいた時には終わっていた。
何が起きたのか分からないくらい速かった。
しかも本人は平然としてる。
腹立つくらい余裕。
勝利は頬を軽く触った。
さっきの浅い傷。
少しひりつく。
すると隣から静かな声。
「触らないでください」
「うわ、見てた」
「見ています」
即答。
「怖っ」
「護衛ですので」
またそれ。
でも
少しだけ。
嫌じゃない。
前ほど窮屈でもない。
不思議だった。
勝利は歩きながらぼそっと言う。
「……ありがと」
聡の足が、ほんの少しだけ止まる。
「何がですか」
「さっき。助けてくれたじゃん」
少し気まずい。
こういうの、慣れてない。
でも。
ちゃんと言いたかった。
しばらく沈黙。
そのあと。
「当然のことをしただけです」
静かな声。
でも。
ほんの少しだけ。
口元が緩んだ気がした。
勝利は小さく目を逸らす。
なんか。
ずるい。
そういう笑い方。
「……ほんと、たまにしか笑わないよね」
「そうですか」
「そうだよ」
「珍しいものを見る顔をしています」
「してない!」
少しムッとして前を向く。
その時だった。
聡の視線が、ふっと動く。
背後。
気配。
足音。
速い。
一瞬。
ほんの一瞬で、空気が変わった。
聡の目が細くなる。
そして。
勝利の後ろ。
暗闇の中で、何かが光った。
ナイフ。
背中、すぐ後ろ。
近い。
間に合わない
そう思うより早く。
ぐいっ。
強い力で腕を引かれた。
「え」
体が傾く。
次の瞬間。
視界が反転した。
聡の胸元。
近い。
近すぎる。
気づけば、勝利は聡に引き寄せられていた。
背中のすぐ後ろを、鋭い光が通り過ぎる。
ひゅっ、と息が止まる。
もし、今
そのままだったら。
聡の腕が、しっかり勝利を庇うように支えていた。
低い声が落ちる。
「下がっていてください」
静か。
なのに、有無を言わせない声。
勝利の心臓が大きく鳴る。
近い。
近すぎる。
聡の手。
体温。
低い声。
全部近い。
なのに聡はそんなこと気にしていないみたいに、勝利を背に隠した。
敵が舌打ちする。
「チッ……!」
でも。
聡は一歩も動じない。
ただ静かに言った。
「……二度目です」
空気が冷える。
表情は変わらない。
でも。
少しだけ怖かった。
怒ってる。
分かる。
静かに怒ってる。
勝利は小さく息を呑んだ。
数分後。
騒ぎが落ち着く。
静けさが戻る。
聡が振り返る。
「怪我は」
勝利はまだ少し固まっていた。
「……ない」
「そうですか」
ほっとしたような空気。
そして。
少し間を置いて。
「危なかった」
その声だけ。
ほんの少し低かった。
勝利は聡を見る。
いつも余裕な人。
焦らない人。
なのに。
さっき、一瞬だけ。
本当にギリギリだった。
「……助けてくれて、ありがと」
小さい声。
聡は少し黙ってから、
「当然です」
そう言う。
でも次に、
「……あなたを守るのが仕事ですから」
少しだけ。
優しい声だった。
勝利は、さっき引き寄せられた感覚を思い出してしまう。
近かった。
近すぎた。
心臓がまだ落ち着かない。
それを誤魔化すように顔を逸らす。
「……近かったんだけど」
「?」
「さっき!」
聡が数秒考える。
そして。
ほんの少しだけ口元が上がった。
「無事なら問題ありません」
「ある!」
その反応が少し面白かったのか。
聡はまた、ほんの少しだけ笑った。
夜風が吹く。
なのに。
さっきより少しだけ
隣が安心する気がした。
コメント
1件
いやもう、最後の「隣が安心する」って一文だけで全て持ってかれた……。無表情で仕事だとクールにこなす聡が、実は勝利を守ることに徹してて、しかも口元を緩ませるところがギャップでズルい。引き寄せられた時の近さと心臓の音、めっちゃ鮮明に伝わってきた。守護と恋愛の境界線が曖昧になってく展開、好きすぎる。次も絶対読む。