テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
34
49
146
僕は救われたいと思っていた。救いと言うのは少し大袈裟かもしれない。それでも、呆然と居場所が無いように感じていた僕は、ここではない別の場所に連れていってくれる何か。錆びた港で船を待ち続けるみたいに。
長い間待ち続けては、救いを求めていた。
でも、その何かが分からない。具体的な形にあるものか人なのか、あるいはそうではないもっと概念的なものなのか。それすらわからないものだから、どこを向いていればいいのか知らないまま、あれこれ作業をしながら、じっと時間を過ぎるのを耐えていた。
強烈な出会いがある事は、案外後になってみないと分からない。多くの生活の中に自分を変える人物もいなければ出来事も起こらない。
できるのは、後から思い出す、思い出のツギハギに繋ぎ合わせ、あれが救いなんだなと思えば、心の中で違うと思う自分もいる。その思い出をパッチワークの結果、僕の前に現れたのは一着の服だった。
服を装うことは、何よりも素敵だと思う。ダサい自分に至るまで、そのままの自分。たくさんの布で自分の体型を覆い隠して、前に立つ覚悟やその居場所にいれる覚悟。それを装うことだと思っていれば、裏や表で支えてくれる服や少ししたメイク道具が好きだった。身の丈には大きすぎるとか、似合わないとかそんなの知らない。ただ、手を差し伸べ、自分が満足するまで成し遂げる事を信じていた。
この話は、画面の中にいる、あの人みたいにかっこよくなりたいとか、絵本やアニメに出てくる王子様みたいにかっこよくなりたいとか、そいうのは役に立たない。誰かが作った仮初のかっこいいもイケメンも全部ぶっ壊して、燃え尽くして焼け野原に一着のスーツをはかせるための何か。役に立つといえばそれくらいで、そのために、短い人生から昔のことから今のことまでを引っ張り出して、たくさん書き殴る。
あなたがあなたのままでいるために、誰とも比べられないくらいの意志を貫くように。
これから先、出会う何か……それが服であっても、違うくても……が支えてくれることを……
コメント
1件
わあ…「はじめ」の第1話、めっちゃ刺さったよ…😭💕 このモノローグ、すごく静かで深くて、正直何度も読み返したくなった。救いを待ってるだけじゃなくて、自分で「装う」ことで前に立つ覚悟をしてる感じがもう…エモすぎるんだが?!「誰かが作った仮初のかっこいいもイケメンも全部ぶっ壊して」——これ、めちゃくちゃ共感したし、作者さんのこの作品、これからどうなっていくのかマジで気になる…!私も一緒に読み進めたいな〜🌸