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#高校生
コメント
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読み終わりました!塁がマウンドで笑う姿、すごく印象的でした。夏の敗戦を経て、ピンチほど落ち着いてるっていうのが、確かな成長を感じさせますね。あと福間監督の「楽しんでください」と、その後の「目標は九州一ではありません」の温度差がすごく好きです。塁と啓介くんの短いメッセージのやり取りも、兄らしくてじんわりきました。春、宮城育英との再会がもう楽しみです!
第74話 「九州王者」
2022年10月。
秋の九州大会。
センバツ出場を懸けた戦いが始まった。
柳城高校。
福岡県王者として乗り込んできた。
しかし。
チームの空気は去年と違っていた。
夏の敗戦。
あの悔しさ。
それが選手たちを強くしていた。
特に塁だった。
マウンドで笑う。
打たれても動じない。
ピンチほど落ち着いている。
甲子園での敗北を乗り越えた証だった。
準々決勝。
柳城 7-1 熊本学院。
準決勝。
柳城 4-0 鹿児島中央。
そして決勝。
相手は長崎海洋水産高校。
九州屈指の強豪だった。
試合前。
福間監督が短く言う。
「楽しんでください」
選手たちは少し驚いた。
だが。
塁だけは笑った。
兄の言葉を思い出していた。
『野球は楽しめ』
あの日の電話。
今も胸の中にある。
試合開始。
柳城打線が初回から爆発する。
史陽の二塁打。
主将のタイムリー。
3点先制。
塁も圧巻だった。
ストレートが走る。
変化球が決まる。
相手打線を寄せ付けない。
九回。
最後の打者。
ショートゴロ。
史陽が捕る。
一塁送球。
アウト。
ゲームセット。
柳城高校。
九州大会優勝。
選手たちが歓喜する。
だが。
福間監督は静かだった。
表彰式後。
選手たちを集める。
「おめでとうございます」
全員が笑顔になる。
しかし。
監督は続けた。
「ただ」
空気が変わる。
「私たちの目標は九州一ではありません」
全員が頷く。
その通りだった。
目指す場所は。
全国の頂点。
センバツ優勝だった。
数日後。
野球部部室。
選手たちがテレビを見ていた。
速報が流れる。
明治神宮大会。
中止。
全国から落胆の声が上がる。
選手たちも複雑な表情だった。
全国の強豪と戦う機会が消えた。
だが。
福間監督は言う。
「空いた時間を使います」
「春に向けて準備しましょう」
選手たちが頷く。
目標は変わらない。
センバツ。
そして。
全国制覇。
その夜。
塁は自宅でテレビを消した。
窓の外を見る。
秋の夜空。
夏の敗戦から数か月。
自分は変われただろうか。
そう考える。
すると携帯にメッセージが届く。
送り主は啓介だった。
『九州大会優勝おめでとう』
それだけだった。
塁は笑う。
短い。
兄らしい。
だが。
その一言が妙に嬉しかった。
春まであと数か月。
そして運命は再び動き始める。
柳城高校。
宮城育英高校。
まだ誰も知らない。
センバツ準決勝で。
再び両校が相まみえることを。
第75話 終