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(個人の好みは妄想です)


最近、ふうはやが色々なお菓子を持ってくる。

撮影の時に渡されるそれらは甘いものからしょっぱいものまで多岐にわたり、期間限定の味も多い。

俺は甘いものがわりと好きだ。

パフェとか、チョコとか、和菓子も好きだ。

だから、ふうはやが持ってくるそれらのお菓子を実は楽しみにしているんだ。


「これ、あげるよ」

「お、コンビニ限定のやつじゃん」

「そうそう!だいぶ探し……いや、そこのコンビニで売ってたからしゅうと喜ぶかな〜ってね」

「うん、めっちゃ嬉しい!ありがと」


もらった俺よりニコニコしているふうはやの前でお菓子の包みを開封する。

ちょっと前に気がついたんだけど、何故かふうはやは買ってきたお菓子の感想を求めてくることが多い。

しかも俺が開けるまでソワソワ待ってたりするから、良く分からないけど目の前で開けることにしているんだ。

甘い香り。

コンビニ限定キャラメルフレーバーのチョコだ。

少しお酒の香りがして口の端が緩む。

こう言うチョコって特別感あるよな。


「うまっ!これ好きだな」

「ん~~っ!そ、そう?良かったね!」

「ん、やば。中身が出てきた……」

「へ!?あ、ちょっと、ティッシュ要る!?」

「大丈夫……舐めちゃうから」

「ひぇ……」


口の端を伝って行こうとするキャラメルソースに苦戦しながら1つ食べきって、ようやく顔をあげるとすでにふうはやは側にいなかった。


「……あれ?」


今日は感想要らなかったみたいだな。



******



実況の合間に差し出されたスプーン。

そこにはチョコミントフレーバーっぽい色のアイス。

かざねって甘いもの食べるイメージ無いんだけど、よくカップアイスを買って来るんだよな。

で、1つしか買ってこないけど、それを俺に分けてくれる。


「はい」

「ありがと……あ、これ普通のチョコミントじゃないんだ」

「御名答。ブランデーミックスのチョコミントだよ。はい、もう一口」

「うっま……いや、これ。かざねさんまだ食べてないんじゃないの?」

「良いの良いの。ほら、口開けて」

「んぐ。……いや、俺ばっかり食べてる。かざねさん、食べてって……」


雛鳥みたいに開けた口にアイスが運ばれる。

蓋を開けてから俺しか食ってない状況にストップをかけるも、かざねはスプーンを俺の目の前に立てて笑った。


「スプーン1つしかもらってないから」

「え?」

「俺が口つけちゃったらしゅうとが食べられないでしょ?」

「ん?どういうことだ……?」

「最近は1つしかアイス買ってないとカトラリーも2つは頼みづらくってね〜」

「……だって、それで俺は食べちゃってるけど、かざねさんもそれで食べるんだよな?」

「うん、まあ。俺は気にしないから」

「……俺も気にしないけど?」

「へ……?あ、そ、そう……!?」

「それ、本当に美味いからかざねさんも食ってよ」

「えっと……じゃあ遠慮なく……」


買ってきたのはかざねなのに遠慮するなんておかしな話だが、本当に食べて良いのか分からない様な雰囲気でスプーンに乗ったアイスとにらめっこしていたかざねは、意を決した様にアイスを口に入れた。


「これ、美味しいわ……」

「美味いよな」

「……も、もう一口いる?」

「うん」


さっきと同様に雛鳥よろしく口を開けて待つ。

かざねの視線が突き刺さるようで少し恥ずかしい気もするが、スプーンはかざねが持っているし、今更自分で食べるって言うのも面倒くさい。

遠慮なく口を開けて待つ俺にかざねがどう思ったのか知らないけど、もしかすると何か悪いことをしてしまったのかも知れない。

かざねは顔を真っ赤にしてアイスを山盛りのせたスプーンを俺の口に突っ込んで、カップを俺に押し付けた。


「ごちそうさまっ!!!」

「んんっ!?」


かざねは結局、一口しか食べてない。

ご馳走様は俺が言う言葉だったけど、口いっぱいに入ったアイスのせいで呻くことしか出来なかった。



******



りもこんはいつもポケットに飴を持ち歩いているらしい。

チョコとかガムとかも出てくるけど、飴が1番多い気がする。

その四次元ポケットから何が出てくるのか、ちょっと楽しみにしている俺がいる。

今日は何かな?

実況が終わって一息ついたところでりもこんに声をかけた。


「お疲れ様。りもこん、今日のお菓子なに?」

「んん!今日の一粒は〜〜」

「うんうん」

「こちらでぇーす!」

「お?」


ポケットから出された手に乗せられていたのは小さな四角い飴が2つ入った飴だった。

これは懐かしい!

色々なカラーが入ってるんだけど全部味が違うって言う、なかなか食べごたえある飴だ。

値段が安いのに結構入ってるから親がよく買ってきてた。


「これめっちゃ懐かしい」

「ね〜。久しぶりに食べると美味いよ」

「分かる。うわぁーちっさくて可愛い……」

「うんうん、ホント可愛いねぇ。……で!選べるほど持ってないけどどれにする?」

「ううん……」


追加でポケットから取り出された袋は2つ。

3つの袋の中身は驚いたことに全部色が違った。

ちょっと迷って、俺は赤と緑が入った袋を1つ、りもこんから受け取って開けた。

りもこんも同じ様に1つ開封して手のひらに転がす。

黄色とオレンジ。

何だか宝石みたいだ。


「これ、黄色いからレモン味かと思ってたんだけど、実は違うんだよね」

「そうだっけ?」

「ほら」

「むぐ……」 

りもこんはつまみ上げた黄色い方の飴を俺の口に押し付けた。自分で食べられるけど、と思わなくもなかったが結局素直に口を開ける。

りもこんは満足そうに笑って俺の口に飴を放り込んだ。


「……パイナップル、かな」

「かなぁ?レモンっぽくないのは分かるけど、なんだ?って言われると怪しいのがこちらの飴です」

「じゃあ俺はコレあげる」

「んえ?」


赤い色の飴をつまんでりもこんの口に押し付けた、と思ったらちょうど口が開いて、指が中に入ってしまった。

びっくりしたりもこんの目がウロウロと泳ぐ。

俺は慌てて手を引いた。


「ごめん……。ちょっと勢い余った」

「これは……しゅうと味かな?」

「ごめんってっ!」

「あははっ。ありがとね」


『しゅうと味が食べたいわ〜』

そうやってしばらくの間メンバー全員からからかわれ、お菓子を食べさせる羽目になったのは非常に恥ずかしい思い出になった。

愛されは赤のひと

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