テラーノベル
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「はぁっ、はっ…!!っ…!」
「ど、どうしたのシオン?」
「顔がかなり青いですが…」
ホテルZへ着くなり、どこか様子のおかしいシオンに気づき心配そうに近寄るデウロ達
ふと腕を見るとあの人に掴まれた所に跡がついてしまっていた
「っ、う……ぅ…っ」
「え!?え!?大丈夫!?一旦そこに座り─」
〖チャ!!〗
涙目のシオンに驚いたデウロが慌てて横のソファに案内しようとした時、シオンに引っ付いて来ていたのだろうかシオンの涙を拭うようにシオンへ頭を擦り付けるアチャモ
「うっ…?」
「え!?なにそのポケモン!?」
〖アチャチャッ!〗
シオンに泣きないで!というように何度も頭を擦り付けるアチャモに次第にシオンも笑みが零れる
『ごめん、ありがとう。大丈夫』
スマホで文字を打ち込み、涙を拭ったあと心配する3人それぞれに大丈夫というように頷いた後『今日はもう寝るね』と書き記し、そのまま自分の部屋に戻った
〖アチャ!アチャ!!〗
「(可愛い…それにあったかい……)」
ベッドに横になると、嬉しそうに鳴きながらシオンの横に座るアチャモ
「(…それにしてもあの人……)」
あの表情は確実に私の存在を知っている表情だった
もしかして病院で寝ていたのも、カラスバを殺す際にしくって眠っていたという可能性もある
そら自分を殺そうとした人間が生きてるんだから必ず殺してくるはず…
そういうことなら、全て合点が行く
しかしそれと同時にゾッと恐怖で怖くなった
「(記憶が戻れば、安心するのに)」
きっと今は命を狙っていないと伝えようとしても、文字を書いてる間に撃たれて殺されるのが末
嗚呼…やっと自由になれたのに
やはり外なんて出るものではなかった
そう思いながら心配するアチャモを抱きしめ現実から逃げるように眠りについた
──数日後 サビ組
「チッ、なんでどこにもおらんのや」
相当苛立っているのか、タバコを吸う量がいつもより多くタバコ皿には吸殻が飛び出す程置かれている
その様子を見たジプソとアザミが目を合わせる
「ジプソさん、これ姉さん会った瞬間カラスバさんに噛み殺されそうで怖いんですけど…」
「いや流石に噛み殺しはしないと思うが…」
「おい、聞こえてんで」
カラスバの言葉にハッ!として慌ててそれぞれ持ち場に戻る
「そういやMZ団のガイのヤツ、利子増やしといて。そもそもアイツら怪しすぎやろ、偵察って事でも1度顔見とかんとな」
「かしこまりました、ではまたMZ団の方にご連絡入れておきますね」
「ん、」
そう言うとカラスバは立ち上がりそのままサビ組事務所を出ていった
「……はぁ〜…やばいパワハラが横行してるこのブラック企業」
「仕方ない、やっと見つけたと思ったら逃げられたんですから」
「まぁそりゃ苛立つのも無理は無いかもですね」
アザミとジプソが溜息をつきながら近くのソファーに座る
「ジプソさん、私今週弟達の様子見に行くのやめましょうか?」
「気にするな、弟達もお前が来るのを楽しみにしているはずだ」
「ご迷惑お掛けします、ジプソさん」
「こちらこそ」
そう言いながら、2人してタバコに火をつけ煙を吐く
「はぁ、姉さん…生きていてくれたのは本当に良かった…」
アザミが安心したように顔を手で覆う
そんなアザミに対し、アザミの背中を撫でるジプソ
「けどあの姉さんがカラスバから逃げるなんて、どうしたのかしら…」
「気が動転したにしていても、おかしな話だな」
「はぁ……カラスバもずっと何も食べずだし、心配ですよね…」
「そうですね…もう何日も徹夜してますし、ポケモンバトルの方もあまりされてないようで…」
はぁ…と2人のため息が重なった
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