テラーノベル
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「ぎゃぁあ!」
私は街中に響き渡る、我ながら最高の悲鳴を上げた。
──元をたどれば、あのシンデレラが原因よ。
彼女に魔法をかけて王子様とのマッチングを見事成功させて以来、世間は大騒ぎになった。舞踏会が開かれるたびに、「私も!」「俺も!」老若男女が「人生を変える魔法」を求めて私めがけて押し寄せてくるのだ。
もう嫌気がさして身を隠し、人知れずひっそりと暮らしていたというのに、最近は至る所に罠が仕掛けられている。
文字通り、「魔女狩り」が横行しているのよ!!
毎日、罠、罠、また罠!
正直、この一ヶ月で身につけたサバイバルスキルは、本職の魔法レベルを完全に超えているわ。
「やっと捕まえたわ!」
私の目の前で仁王立ちしている娘は、もはや意中の人との結婚が約束されたかのように満面の笑みを浮かべている。
いや、あなた。まだ私を捕まえただけよ?
正直なところ、シンデレラは中身も外見も超絶美人だったから上手くいったのだ。そんじょそこらの娘が同じようにいくとは限らないっての。
……まあ、そうは言っても、これほど手間暇かけて私を捕まえる努力とその情熱たるや、大したものである。このエネルギー、もっと別のことに使えないのかしら。
「はいはい、わかったわよ…」
私はため息交じりに、彼女が夢見た未来へと続く『一発逆転おまけ付き魔法』をかけてあげた。ドレスは最新流行のパステルカラーだ。
「ありがとう、魔女さん!…私、絶対、幸せになってみせる!」
彼女はキラキラのカボチャの馬車に乗り込むと、窓から身を乗り出し、いつまでも手を振りながらお城に向かっていった。
魔女を捕まえるためにあれだけ手の込んだ罠を張れるような努力家は、魔法に頼らずとも自分を幸せにする力を持っている。本人はそのことに全く気が付いていないみたいだけれど…。
「魔法のちょっとした後押しで、一歩前に出られるなら…たまには捕まってあげるのも悪くないわね」
満足げに彼女を見送ると、私は大物風にうんうんと頷き、颯爽と徒歩で帰路についた。
──そして、10分後。
カチッ! ガツン!
左足首に、またしても巨大なトラバサミが炸裂した。
「ぎゃぁああああ!」
本日二度目の絶叫が、夕焼け空に虚しく響き渡る。
あぁ、もう…私の今日の業務は、まだ終わらないみたいだわ。
コメント
5件
ぎゃぁあ!! 罠仕掛けるなら、イケメンに仕掛けなさぁ~い!!(笑)
(^ω^)⊃(罠💣) 私にも魔法かけて下さいッッッ!👰
「ぎゃぁあ!」で始まって「ぎゃぁああああ!」で終わるの、構成としてめちゃくちゃ好きなんだけど🥀 シンデレラの一件からずっと追われる魔女の立場、笑いながらも結構しんどいよな…って思ったら、最後のトラバサミでもう「本日二度目!」ってなるのが完全に日常になっててウケるw でも“捕まってあげるのも悪くない”って達観した台詞、めっちゃ沁みた。魔女さん、人間出来すぎてる🤍