地下室__
今日も、私は特務課の機密書類を眺めながら暇をつぶしていた。
今日は任務が来ていないから暇。
暇だし、と紅茶を入れて物思いにふけっていた。
あの時から、私の人生は少し、いや、かなり狂って行った。
__27年前
27年前に、私は生まれた。
厄日に生まれた子供だったけど、両親は愛してくれた。
私も子供ながらに恩返しをしたいとか思っていた。
両親は特務課のエージェントだったから、私も将来は特務課になるべく鍛錬していた。
銃の扱い方、体術、優秀な頭脳、膨大な知識量を頭の中に入れていた。
だからか、私は幼稚園、小学校ともに馴染めなかった。
友達からは、
紗雪ちゃん、何か大人ぶってていや。
大人っぽくなりたいとか、今の年齢じゃかっこ悪いよ?
とか。
勿論、そんなつもりはさらさらなかった。
また、先生からも、
紗雪さん、もう少し子供っぽくできなかな?
子供は子供らしくていいんだよ?
って。
多分、先生は私が頑張って、無理をして背伸びしていると思い込んでいたんだと思う。
だけど、私にとっては余計なお世話だった。
そして、6歳で小学校に上がるころには私の家は大きく変わってしまった。
……妹が”できた”たからだ。
両親は優しかったはずなのに、料理も作ってくれず、学校も通っていなかったから、完全に育児放棄された。
毎月のお金だけ渡されて、あとは放置。完全に妹中心の家に変わっていった。
まだ6歳だったけど、特務課の娘として、家事炊事は心得ていた。
お金の管理も自分でやっていた。
関わってこないのなら、別に良いか。と割り切っていたけど、流石に耐えがたいことが7歳から始まった。
1歳離れた妹が自分の右腕をカッターで切って叫んだのだ。
私は精神に異常をきたしたのかと思い、思わず駆け寄った。
すると、妹は私にカッターを押し付けて、泣いた。
私は茫然と、ただ立っているしかできなかった。
両親が来た時の反応は知っての通り、私を信じようともしなかった。
それからだ。両親から、日常的に暴力を振るわれるようになったのは。
__6歳:自室
紗雪:イテテ….今日は酷かったな。
毎日自分の部屋で傷を治療しながら生活していた。
まだ殺されないだけマシだと思っていたが、ついに、7歳の誕生日に殺されそうになった。
__7歳誕生日
紗雪:……..((ガチャ
いつも通り静かにドアを開けると、パァンッという乾いた音が鳴り響いた。
銃声かと思ったけど、それはクラッカーだった。
紗雪:…….?何?
私は呆気にとられてしまって立ち尽くしていた。
すると母が、
母:紗雪、誕生日おめでとう。
と言ってきた。
私は単純だった。
たった一回の事で、心を入れ替えてくれたと思ってしまった。
ありがとう。と母に抱き着こうとした瞬間、ナイフが突き出てきた。
紗雪:…!
私は体の柔軟性を活かして避けた。
母:チッ、流石に上手くはいかないわね。
と舌打ちして一言。
父は事故死していたので、妹と母だけだった。
妹は、
妹:ハァ~…お姉ちゃんさ、早く死んでよ。お母さまが殺してくれようとしてるんだから。
妹は銃を持っていた。
私は何かあったらすぐ通報できるようにと警察に連絡する用の小型携帯を身に着けていた。
それで、逃げながら通報した。
母と妹を気絶させ、部屋で待っていた。
すると、そこに来たのは、私と同い年くらいのやけに大人びた男の子。
その子は
綾辻:綾辻行人。
と一言名乗った。
これが私と先生の初対面。
この出会いが、私の人生を左右するなんて、私には知る由もなかった。
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