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「プロローグ─無陀野─笑顔が似合う君」
start
バシン!
「何度言えば分かるんだ!自分の感情なんぞ捨てろ!冷徹になれ!」
「ごめんなさい、…ごめんなさい…!」
ある部屋の前を通る時聞こえてきた声。新人の教育が行われているのだろう。またかと思いつつも気にする素振りを見せず通り過ぎる
心配ぐらいする優しさはないのかと思うかもしれないが、これは普通で当たり前の事だ
むしろ気にしたやつも同じ目に合うことになる
無陀野「っ…、」
ふと、昨日の罰の傷が痛んだ
仲間の1人が敵を逃してしまい、連帯責任という形で受けたものだ。肩を中心的にやられたせいで腕を動かすたびに痛みが走る
けれど、これもほぼ当たり前の事。命令を実行出来なければ罰を受ける。最初は少し抵抗したりもしたが、今では素直に受け入れるようになった。出来なかった自分たちが悪いのだから
だが、流石にこれ以上痛めつけられると色々と支障が出てくる。だから今日の任務は失敗しないようにしなければな
無陀野「…任務完了」
やっと任務が終わった
終わったと同時に疲労が押し寄せてくる
戦闘中に痛めていた肩をやられ、さらにズキズキとした痛みに襲われる
…これは本当に不味いな
このままでは明日使い物にならないかもしれない
早く戻ろう
後ろを振り返ると、全滅したはずの敵と戦闘が行われていた。敵の別の部隊が来たのだろうか
俺も加勢に…
無陀野「っあ゛…」
血を使おうと腕を動かした瞬間激痛が走った。思っていたよりも限界に近くなっていたのだ
無陀野「早くっ…血蝕解放を…」
痛みのせいで集中出来ず、上手く血を出すことが出来ない。前からも後ろからも敵が近づいてくる気配がする
どうするか
…いや、このままやられてしまえば楽になれるんじゃないか?
そうすれば毎日仲間の断末魔のような叫び声を聞くことも、失敗して罰を受けることも無くなる
それならいっその事、死んだ方が…
そんな事を考えていると、敵からの攻撃が飛んできた。避けようと思えば余裕で避けられる。けれど俺は迎え入れるように、抵抗も何もせず目を閉じた
気づけば見慣れない景色が広がっていた
白い天井、自分が寝ているベッド、巻かれた包帯、どうやら病室のようだ
攻撃を受けた後運び込まれたのだろうか
何にせよ、戻れば罰は免れないな
無陀野「…はぁ、俺は一体何をしているんだ…」
独り言を呟いた時、勢いよくドアが開かれた
「あ、意識戻ってる!おはよ〜」
腑抜けた声が聞こえてきた
こんなやつを戦場に出したらすぐに死んでしまいそうだな
そいつは俺に近づいてきて顔を覗いた
「腕痛くない?気分はどう?」
無陀野「…問題ない」
そいつがあまりにも優しい雰囲気を纏っていたからだろうか。それとも初めて心配の声を掛けられたからだろうか
無意識に言葉を返していた
いつもは無視か警戒をしている筈なのに
…何なんだ、こいつは?
周りとは明らかに違うこいつをもっと知りたくなった
無陀野「お前…誰だ?」
「俺は四季!戦闘部隊所属だ!」
同じ戦闘部隊だったのか
この様子だと、まだ教育されていないのか?
だが、怪我をしている所を見ると、新人では無さそうだ
四季「そっちの怪我も痛そ〜、、よく泣かなかったな〜」
相手の怪我の心配…普通は誰もしない筈なのに
よくこんなんで生きてこれたな
四季「……」
無陀野「…何だ」
急にじっと見つめられ、警戒の姿勢を取る
数秒間、2人はじっとお互いを見つめていた
…よく見ると綺麗な顔だな
長いまつ毛とくすみ青の色をした瞳、すっと通った鼻筋にもちもちと音でも出そうな頬。それら全てが合わさって、全体的に柔らかな雰囲気を感じる
って、俺は何を考えているのだろうか
しかも初対面の知らない男相手に
けれど、四季の瞳は水面のように透き通っていて何故か目が反らせない
儚く、触れれば消えてしまいそうだ
四季「…なぁ、なんでそんなに無表情なの?」
沈黙を破るように問いかけてきた
無表情の理由を聞かれたのは初めてだ
無表情は自ら作っている訳ではないが、「感情を捨てろ」と何度も叩き込まれてから笑ったことは無い。頭で理解する前に身体で覚えたせいか、知らないうちに無表情を常時保てるようになっていた
しかし、それは俺に限った話じゃない
他の隊員もほぼ感情なんてものは持っていないし、中には自分の意思さえも手放してしまった奴もいる
だから当たり前だと思っていたのだが…
四季「笑った方が楽しいよ?ほら、にっこり〜!」
俺の頬をつまんで笑顔にさせようとする四季。だがそんな事をしても俺は笑えないだろう
笑い方なんて覚えていないし、そもそもあまり笑わない性格だから知らない
四季「…何でつまんでも笑ったように見えないんだ?表情筋固すぎない??」
無陀野「…ひょうがないだろ。あまり笑っはことが無いんら」
四季「…ぷっ、あはは!しっかり喋れてねーぞ!」
眩しい笑顔で笑う四季
太陽みたいで、キラキラ輝いていて
これが目を奪われるということなのか
無陀野「…綺麗だ《ボソッ」
四季「ん?何か言った?」
無陀野「いや…何でもない」
四季「そっか〜…..ね、俺もっとそっちの事知りたい!名前とか誕生日とか!」
自分のことを言うのは普段はしないが、四季には何故かいいと思った
それでもベラベラとは話せないが、名前だけなら許されるだろう
無陀野「…俺は無陀野だ」
四季「無陀野…じゃあムダ先だ!」
無陀野「…..は?」
四季「無陀野先輩だから、ムダ先!俺結構ネーミングセンス良くね?天才だわ」
あだ名はあまりつけられたことがなかったが、自分専用の特別なものみたいで少し照れくさくなる
四季「これからよろしくな!ムダ先!」
無陀野「…(少しぐらいなら付き合ってやるか)」
無陀野はしょうがないというように四季の話し相手になったが、その表情は柔らかく少し嬉しそうだった
投稿遅くてごめんなさい
またね
次回 ♡500⤴︎︎︎
コメント
8件

絆されくむだ先が良いねぇ( ◜ᵕ◝) 続きも楽しみに待ってるね︎︎〜👍
無陀野さん!四季くんの優しさにもっと包まれていいんだy((殴 最高すぎたねっ(。•ㅅ•。)♡ 続き楽しみっ!!!!