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文化祭当日。大江戸高校は、もはや「学校」という名の巨大なテーマパークと化していた。 廊下を埋め尽くす模擬店の呼び込み、中庭で爆音を響かせる軽音部、そして手を繋いで歩くカップルたち。
その喧騒から最も遠い場所――屋上の貯水槽の影で、坂田誠は膝を抱えて丸まっていた。
「……無理。もう無理でさァ。あんな多幸感の暴力、俺の体質じゃ10分も耐えられねェ。……俺ァ帰って寝る。後のことはパチ公に任せやしょう」
誠の「銀時自認」が、文化祭という「青春の権化」に対してアレルギー反応を起こしていた。普段のドSな余裕はどこへやら、今の彼はただの「人混みが苦手な引きこもり侍」である。
「銀さーん! どこですかー! お客さん来てますよ、というかレゼさんが『誠が出てこないなら校舎を花火に替える』って火をつけ始めてるんですよー!」
階下から聞こえる**新八(新)**の悲鳴。
「……あァ、聞こえねェ。俺の耳は今、江戸の風の音しか拾わねェ仕様になってるんでさァ。……さらばだ、青春。俺は暗闇(自宅)へ帰りまさァ」
誠は、壁を伝って裏門から脱走を図ろうとした。
しかし、裏門には漆黒の壁が立ちはだかっていた。
「……逃げるか、銀時。この『祭りの破壊者』である俺を差し置いて」 **高杉(晋)**が、豪華な着流し(自前)を翻して立っている。
「高杉君、どきなせェ。あんたもあのはしゃぎっぷりは苦手だろーが。一緒にネカフェでも行って、世界の破滅(という名のジャンプのバックナンバー)について語り合いやせんか」
「フッ……生憎だが、俺は今日、模擬店でメロンを100玉売るという使命がある。お前がいないと、レゼの爆発を止める奴がいなくなるんでな」
さらに、隣の植え込みから「ズバァッ!」と、長い黒髪の男――**桂(小太郎)**が飛び出してきた。
「逃げるな坂田! 文化祭とは戦いだ! さあ、このエリザベス特製のハリセンを持って、共に模擬店の客引きという名の革命を起こすのだ!」
「ヅラ、お前は蕎麦を茹でる以外にやることねーのかィ! 離しなせェ、俺は今、心が折れてるんでさァ!」
結局、誠は高杉に肩を掴まれ、桂に足を持たれ、新八にメガネ越しに説教を食らいながら、引きずられるように「なんでも屋」のブースへと連れ戻された。
ブースの中では、**レゼ(渚)**がニコニコしながら、文化祭の装飾用風船に「何か」を詰め込んでいた。
「おかえり、誠。……逃げたら、学校中の風船をいっせいにパチン、ってしちゃうところだったわ」
「レゼさん! その『パチン』が窓ガラスを割る威力なのを隠してないですからね! ほら銀さん、座ってください!」
「……あーあ。結局これですか。……いらっしゃいやせ。悩みがあるならどうぞ。……ただし、『彼女が欲しい』とかいうノロケ相談をした瞬間に、俺の木刀とレゼの火薬が火を吹きやすぜ」
誠は死んだ魚の目をしながらも、いつも通りの「沖田口調の毒舌ツッコミ」を再開した。 はしゃぐ生徒たちへのツッコミを燃料に、彼はなんとか「文化祭」という戦場を生き抜く覚悟を決めたのだった。
「……まったく、江戸の祭りは物騒でいけねェ」