テラーノベル
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文化祭が終わり、片付けに追われる校舎。狂乱の熱気が嘘のように消え、長い影が廊下に伸びている。 なんでも屋「シュレーディンガー」の部室では、誠が魂の抜けた顔でイチゴオレを啜っていた。
「……ようやく終わりやしたね。もう二度と、青春なんてキラキラしたもんに触れたくねェ。指紋が汚れちまう」
「何言ってるんですか、楽しそうにカップルの相談に毒吐いてたじゃないですか」 新八が割れたメガネをセロハンテープで補修していると、扉が静かに開いた。
入ってきたのは、顔を深くフードで隠し、全身からただならぬ緊張感を漂わせた他校の生徒だった。
その生徒は、震える手で一枚の地図を机に置いた。
「……お願いだ、あんたたち。これを取り返してほしい。……街の裏側にある廃棄物処理場に、**『開けてはいけないトランク』**が持ち込まれたんだ。明日、それが解体される前に……」
「トランク……? 中身は何ですか? 危険なものじゃ……」 新八が身を乗り出す。
「……それは言えない。でも、もしそれが世に出れば、この街の『均衡』が壊れる。警察には言えない事情があるんだ……頼む」
誠の目が、わずかに開いた。死んだ魚の目に、かつての「白夜叉」……あるいは「一番隊隊長」のような、鋭い光が宿る。
「……おーおー。祭りのあとのデザートにしては、随分と味が濃そうですなァ」
「面白そう」 **レゼ(渚)**が、暗闇の中で目を細めた。 「そのトランク……私たちが開けてもいいの? 中身次第では、この街をまるごと『塗り替えて』あげられるけど」
「レゼさん! 物騒なフラグ立てないで! 誠さん、これ……本当に受けるんですか?」
深夜。3人は地図を頼りに、巨大なクレーンがうごめく処理場へと忍び込んだ。 そこには、明らかに一般人ではない「黒服の男たち」が数人、重厚なトランクを囲んで警備していた。
「……新八。ありゃあただの落とし物じゃねーですぜ。連中、目が『ガチ』だ」 誠が低い声で言い、木刀を握り直す。
「どうするの? 誠。……私が正面から『派手な挨拶』をしてこようか?」 レゼが、チョーカーに指をかける。その口元には、かつてソ連の実験体と呼ばれたレゼを彷彿とさせる、冷徹な笑みが浮かんでいた。
「待て。爆破はトランクを確保してからだ。……まずは、俺が奴らの意識を刈り取ってやりまさァ」
誠が音もなく駆け出す。その動きは、沖田総悟の俊敏さと、銀時の重厚な一撃が混ざり合ったような、不可解なまでのキレを見せていた。
黒服たちを鮮やかに(そしてドSに)翻弄し、レゼがクラッカーを炸裂させて目眩ましをする中、誠は見事にトランクを奪取した。
「……さあ、旦那。開けてやりやしょうか。街を壊すほどの『均衡の鍵』とやらをなァ……」
緊張が走る中、誠がトランクの鍵を木刀でこじ開ける。 中から出てきたのは……。
「……え、これ?」 新八が拍子抜けした声を出す。
中に入っていたのは、**『学園の理事長が密かに描いていた、超恥ずかしい中二病全開の自作漫画の原稿』**だった。
「……均衡、壊れますね。……主に、理事長の社会的地位という名の均衡が」 誠が、死んだ魚の目で原稿をパラパラとめくる。
「……うふふ。確かにこれ、世に出たら『爆発』以上の被害が出るわね」 レゼが、少し残念そうに微笑む。
「……新八。依頼人に伝えなせェ。……『この世界の均衡は、俺が守ってやった。……礼として、イチゴパフェを1年分用意しな』ってなァ」
深夜の廃棄物処理場。 超物騒な陰謀に首を突っ込んだと思いきや、結局は「誰かの恥ずかしい秘密」を守ってしまったなんでも屋。 誠は夜風に吹かれながら、どこか満足げに、いつもの「サドの笑み」を浮かべていた。
完結(←銀魂あるあるの終わる終わる詐欺です)
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