「 ″ 好きになんてなりません ″_ 」
𝑠𝑡𝑎𝑟𝑡_
いきなりだが、
この世界では、α(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)と言う3つの性が存在する。
まぁ…..ここで簡単に説明をしよう。
その中でもあるΩ(オメガ)とは、
最も少数派の性であり、男女問わず妊娠可能な身体構造を持っている。定期的な発情(ヒート)により無自覚にαとβを誘惑してしまうことから社会的弱者となる傾向の強い性。
そして、一方α(アルファ)は、
Ωに次いで少数派の性であり、Ωに対して急性的に発情(ラット)することがあるが、優秀な遺伝子を持つとされており、社会的地位の高い人物が多い性でもある。
そして、最後にβ(ベータ)とは、
最も多数派の性であり、特に何の変哲もない一般的な性となっている。
これらはいわゆる″ 第2の性 ″と言うもの。
そんな中でじゃあ僕は一体なんの性なの?
って疑問に思った人も少なからず居るとは思う。
そんな僕はと言うと….
この中でも最も数が少なく、社会不適合者でもある、
なんの期待もされない哀れな”Ω”だ。
いわゆる、自分で言うのもちょっとあれだけど…..“Ωの人気男優”と言った方が良いかもしれない。
初めてこの仕事を始めたのは、今から約3年前の話。デビューをしてから1ヶ月が経つと否や、「お前はこの仕事に向いていない」や、「Ωの男優とか有り得ないんだけどㅎ」とか、「こんな奴が売れる訳ないじゃんㅎ」など、散々世間の笑い者として扱われて来た。
心無い言葉や、僕の見えない影で陰口を言われる日々。
そしてスタッフさんなどにも、「お前は社会のお荷物だ」なんて言われた事もあった。
それでも、「ここで挫けたらいけない」なんて心に決心して、血の滲む努力で沢山のファンの方と出会い、物凄い知名度を得る事が出来て、この頂点まで上り詰めて来た。
昔みたいな嫌がらせや、陰口も少なくはなったものの、まだこの業界でもΩの事をよく思わない人が居るからか、まだまだ苦情は絶えてはいない。
まぁ….僕はあんまり気にしてないけどね?ㅎ
なんならΩよりも、Ωが放つフェルモンのせいで勝手に体が言う事を聞かなかったかのように発情して、欲のままに動いてしまい、Ωからあまり良くない印象を持たされるαの方がよっぽど可哀想だと思う。
なんて胸の奥で思いながら、重たい体を広いベッドへとほおり投げる。
🐥「はぁ…..」
無意識に深いため息をしてから、手に持っているスマホへと目を落とす。
特にやることがなくカレンダーを開くと、そこには10月13日と言う文字が記される。
そう。今日はなんと僕の23歳の誕生日。
朝からスマホには鳴り止まない通知が次々に送られて来て、ファンの皆さんからは「お誕生日おめでとう!」や、「これからも頑張ってね〜!」などの沢山の暖かいお祝いメッセージを貰うことが出来て、自分で言ってもなんだけど….凄い笑顔が絶えない一日になりそうな予感がして堪らないㅎ
それに….おまけとでも言うかのように、昨日、仕事帰りの僕にマネージャーさんが「明日誕生日なんだろ?明日ぐらいゆっくり過ごせ」と、急遽言われ、珍しくお休みを頂く事になった。
だからその為に、今日は久々にソウルから自分の地元である釜山へと戻り、実家にお邪魔している。
まぁ…お休みって言っても….1日だけだけどねㅎ
でもまぁ…滅多にお休みなんて簡単には絶対貰えないから、今日ぐらいは….ちょっとゆっくり過ごそうと思うㅎ
なんて、心の中でぽつりと呟くのと同時に自分の頬が緩む感覚がした。
🐥「ㅎㅎ…」
それからはと言うと、特に溜まっている仕事などもなく、やることも無いため自分のスマホを長らくいじっていると、
オンマ「ジミナ〜?ちょっと入るわよ?」
突然オンマがドアをノックしながら僕に声を掛けて来た。
はぁ…なんで今来るんだよ….もっとゆっくり過ごそうと思ったのにっ….
なんて心の中で睨みつけながら、
🐥「うん。」
と、聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で曖昧な返事をすると、
オンマ「じゃあ…入るわね〜」
と、ガチャと言うドアノブの音と共に部屋の中へズタズタとやって来た。
🐥「何?疲れてるから休みたいんだけど…」
オンマ「…はいはい、わかったから、あ、ここちょっと座るわね」
そう言って、心底呆れるような顔をしつつも、僕の目の前の椅子へと重たい腰を下ろして座って来た。
オンマ「えっと…今から言う話は凄い大事な話だからよく耳をすましておきなさい」
🐥「え、あ、うん。わかった…」
いつもの穏やかな雰囲気とはどっと変わり、窓の外では冷たいそよ風が吹き、部屋には真剣な空気感が漂う。
オンマ「えっと….それでなんだけど…あ、てか、まずちゃんと座りなさいよ、じゃないとお話出来ないでしょ?」
🐥「ん、わかったよ…」
そう言いながら、だるい体を頑張って起こし、面と向かって座る事にした。
オンマ「それでなんだけどね…真剣に聞いて欲しいの」
🐥「う、うん」
オンマを見ると、物凄く真剣な顔をしていて、緊張しているからか手がブルブルと少し震えている。
はぁ….なんか僕までもが緊張するんだけど…
オンマ「ジミナ」
🐥「は、はい」
いきなり名前を呼ばれ、急いで返事をすると、
オンマ「あなた、”結婚”する事になったのよ」
🐥「……….は?」
何がそんな大事な話なんだろうと関心を持って聞いていると、まさかの予想を遥かに超えた結婚の話をしだした。
え?け、結婚…..?
う、嘘でしょ…..
ぼ、ぼく…まだ23歳だよ….?
い、いくらなんでも早過ぎない…?
突然の事過ぎて頭が真っ白になって聞きたいこともいっぱいあるはずなのに言葉がひとつも出てこない。
オンマ「しかも、あの大手企業の息子なのよ」
へ….大手企業の”息子”….?
で、でも僕男…だよ…
じょ、女性じゃないの….?
なんて次々に疑問が出てくるばかり。
オンマ「それに…αだし…これと言った問題も特に無いでしょ?」
🐥「……ッ」
あ、α?
あの…..誰からにでも好かれて、優秀な遺伝子を持っていて、自分勝手で、でも何故か人から信頼される….あのα?
な、なんで….
なんで….αなんだよ….
なんで…βじゃないんだよ….
ぼ、僕は…αなんか….αなんか….
🐥「大っ嫌いなのにッ….」
そう、誰にも聞こえないようなか弱い声で呟いた。
オンマ「はいはい、とにかく…そういう事だから。もう籍も入れてあるし、あなたともあまりお年は変わらないから、安心して暮らせると思うわよ」
ぅぅ….そう言う問題じゃないのに….泣
オンマ「まぁまぁ…すべこべ言わずに…早く荷物をまとめなさい」
🐥「へ、な、なんで….」
オンマ「え、な、なんでって….一緒に住むからに決まってるでしょ?」
え….一緒に住む…..?
そんな1回も会ったこともない、顔も知らない見ず知らずの他人と?
まだ自分には受け止め難い現実が次々に頭へと注ぎ込まれていって、いまいち何が起こるのかが理解出来ない。
それに…..男とか….はぁ….マジで最悪なんだけど。
🐥「で、でもなんで…いきなり…」
オンマ「まぁ….元はといえばあっちから話を持ち出してきたのよ」
🐥「え?」
あ、あっちから…..?
オンマ「それも2ヶ月前ぐらいからね」
へ….に、2ヶ月前….?
こっちから持ち出したのならまだ理解出来るけど…..あ、あっちから….?
え、う、嘘でしょ…..
そんなに僕の何が良かったんだろ….
オンマ「まぁ….とにかく…そう言う事だから…早く準備しておきなさい」
オンマ「もうすぐであちらの専属運転手さんが迎えに来てくれるみたいだから…なるべく早くね…?」
🐥「え、あ、うん…わかった」
オンマ「よし、じゃあこれで私の話は終わりにするわね」
そう言って、最初の様子とは裏腹に安心しきったかのように座っていた椅子から立ち上がり、またまたガチャと言う音を立ててドアを開け、足音を立てながら部屋を出て行った。
つもりだった….
オンマ「あ、もう1回言うけど….なるべく早くしなさいよ?」
🐥「あ〜…はいはい、わかったよ」
最後にそう僕が返事をするのと同時に今度こそ言う事が無くなったのか僕の部屋から出て行った。
🐥「はぁ….」
誰も居ない広い部屋に不安な気持ちを誤魔化すかのように深いため息をひとつ零す。
だいたい….なんで結婚なんかする事になったんだろ…..
それに…相手は見ず知らずの他人。
おまけに….Ωの僕なんかの何処がいいのかも分かんない….
なんて思いながら、さっきまで座っていたつベッドから飛び起き、ベッドのすぐ横にへと置いてある黒色のスーツケースへと手をかけた。
まぁ…色々と気になる事もあるけど….とりあえず今は準備しないとダメだよね….
ふとそう思い、急いで部屋の隅っこに置いてあるクローゼットの目の前までスタスタと歩く。
🐥「……….」
やがて、クローゼットの目の前まで来ると、持っていく服を決める事にした。
う〜ん…..一応多めには持って行くけど….足りなかったらまたあそこに着いてから買いに行けばいいよね….
なんて思いながら、クローゼットの1番手前の服を手に取る。
あ、このオーバーオールの服….
オンマからプレゼントしてもらったやつなんだけど….めちゃくちゃ好きなんだよね….
特に…この柄とかが凄いお気に入り。
まぁそうと決まれば一応これ持っていくか….
あ、あとこのワイシャツと、あ、後これも、
なんて言う調子でしばらく持っていく服をひたすら選んでいた。
5分後….
🐥「よしっ服はこれぐらいで良いよね」
全部の服は持っていかないと心には誓っていたものの、結局クローゼットのだいたい半分ぐらいの量の服を持っていく事になってしまった。
ま、まぁ….少ないよりかは断然こっちの方が…いいよね….?
なんて思いながら、自分の胸を安心させるかの如く優しく撫で下ろす。
最後に大きいスーツケースを閉めてから、今日着て行く服を選ぶことした。
まぁ…もうすでに選んでるんだけどね?ㅎ
なんて思いながらも、ベッドの上にきちんと丁寧に並べて置かれている黒色の長袖の服にへと手を通す。
やっぱりこの服….この季節にぴったりだなぁ…
なんて思いつつ、
黒色のジャンバーを羽織るのと同時に、同じく黒色のデニムパンツに足を通す。
友人からプレゼントしてもらった帽子を深く被り、スーツケースを手に持つ前に、
最後に、スマホやパソコン、仕事で必要なものなどが入っている黒のリュックを背負ってから、今度こそスーツケースを手に持った。
あ、後ちなみに….なんで全身黒コーデなのかと言うと…一応…ほら、男優だから、
いくら車に乗っていたとしても身バレの可能性だってあるでしょ…?
だ、だから…外に出かける時は、普段絶対に黒コーデにするって決めてるんだよねㅎ
えっと….てか、これでもう着替えは終わりなんだけど…まだ迎え来てないのかな…
と、ふと気になり、2階の窓から自分の顔をチラつかせる。
や、やっぱり…早すぎたかな…ㅎ
なんて思い、しばらく外の空気を吸っていると、
🐥「……..」
キーと言うブレーキの音と共に家の下にこれでもかと言うほどめちゃくちゃ大きい車が停車した。
あ、あの車なのかな…..
なんて言うか….オーラとかもすごいし….
て、てか当たり前かもしれないけど…..めちゃくちゃ高そうな車だな….
僕もそこそこ稼いではいるけどやっぱりレベルが違う…
なんて1人で関心しつつも、
🐥「あ、は、早く行かないとっ」
と、思い、急いで簡単な身支度を済ませてから、手に大きいスーツケースを持ち、焦りながらも部屋のドアを開けてから、足早に2回の階段を降りた。
🐥「………..」
階段を降りたら、玄関の所に綺麗に並べてある自分の靴を急いで履く。
オンマ「あら、もう迎え来たの?」
🐥「うん、」
オンマ「そっか。じゃあ…不安な事とか、慣れない事とかも勿論あると思うけど….そっちでの生活も頑張るんだよ?」
そう言って、頭を被っている帽子の上からワシャワシャと少し乱暴に撫でられる。
🐥「わかった。ありがとっ」
そう言うのと同時に、もう片方の靴を履くと、
🐥「それじゃあ….行ってきます」
と、最後に言葉を交わしてから扉を開け家を出た。
……………………………………
🐥「………..暑っ」
いくら10月と言えど暑い事は勿論変わらない。
はぁ…やっぱり上着着ない方が良かったかも。
なんて少し反省しつつも、目の前にある車の方へと向かう。
🐥「あ、えっと、すッすみませんパクジミンです」
やがて車の目の前へと来ると、後部座席の方の窓にコンコンとノックをしながら聞こえないのにも関わらず声を掛ける。
🤵「あ、ジミンさん…..お待たせしました。では中へお座り下さい」
と、中から返事がきた事を確認してから、目の前にあるこの高級車に傷を付けないようにとゆっくり丁寧に扉を開ける。
🐥「し、失礼します」
やがてそう返事をすると、まだ開いている扉を閉め、後部座席の端っこに借りて来た猫かのように丸まって身を潜める。
🤵「で、では出発致しますね」
🐥「は、はい」
僕がそう返事をするのと同時に、エンジンをかけてから車が動き出した。
🤵「ジミンさん….?」
🐥「あ、は、はい」
車が出発してから約30分が経ち、どうやらようやくその大手企業の息子さん…?の家に着いたみたいだ。
それに….出発しだしてから全くと言っていいほど運転手さんと全然喋らなかったからなんとなくだけど…ちょ、ちょっと気まづいかもㅎ
ま、まぁ…初対面だし…仕方ないよね。
🤵「えっと、無事到着致しました」
🐥「あ、はいありがとうございます」
そう言って、車の扉をゆっくりと開けてから、またもやゆっくりと閉めた。
🐥「…..ペコリ」
最後に届けて下さった運転手さんにお辞儀をすると、
車が過ぎ去ったのを確認してから、早速の目の前の家へと目を向けた。
🐥「….え?」
目の前を見ると、物凄く大きい窓グラスや、茶色、黒や、白などで綺麗に統一されているとても綺麗でお洒落な豪邸が目に映し出された。
いやいや、そ、そりゃ大手企業の息子だからそこそこいい所に住んでいるのは分かってたけど…流石にここまでとは思わなかったな….
予想だにしていなかった程の大きな豪邸があまりにも綺麗で思わず息を呑みこむ。
🐥「ま、まぁ…とりあえず早く行かないとだよね」
思わず見とれてしまっていた自分の意識を立て直してから、
周りに華麗に咲いているチューリップや、薔薇などを誤って踏んづけてしまわないように注意して歩き、どでかい豪邸の目の前へと向かう。
🐥「…….ッ」
豪邸の目の前まで来ると、やはり綺麗である部屋の中が窓の外から良く見える。
や、やっぱり内装も、
外装と同じでめちゃくちゃ綺麗だな….それにさっきちらっと見ちゃったけど天井にシャンデリアも飾られてあったし…
改めて思うけど…す、すごいな…
あ、て、てか….早く行かないとだよね….
そう思い、自分の周りを見渡す。
と、とりあえず….ここのインタホーン押せば良いのかな?
な、なんか緊張するけど….
よ、よしっ….早速押してみるか。
と思うのと同時にすぐ横にあるインタホーンへと手をかけた。
一旦切りますね笑
えっと…まずどこから話していいんだか笑
ま、まず皆さん中々投稿出来なくてすみません。
実はですね….私インフルにかかってたんですよ
いや〜もうね。うん。めちゃくちゃ辛かったです。
だから長らくの間勝手ながらも投稿を休んでしまっていました。
本当に申し訳ないです🙇♀️
そして初めて「オメガバース」の作品を書くんですけど…
一応色々調べて勉強したのですが…もし間違っていたら教えてくれると助かります🙏
そして今日からは普通にいつも通り投稿していこうと思うのでよろしくお願いします
この作品結構自信作なので皆様も楽しんで頂けると嬉しいです😊
後、頑張ったのでハートください!
次回♡×700
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