八左ヱ門が組頭と戦っているとき、三郎達5年生も八左ヱ門がまいた忍びたちと戦っていた。
「クソッ!邪魔だ!」
「あ~もう!三郎に追いついたと思ったら忍びがいるなんて!」
「きりがないのだ!」
次々と攻撃をくり出すが忍びたちに簡単にかわされる。
「三郎!お前だけでもいけ!」
雷蔵が三郎に叫ぶ。
「っ!でも!」
「でもじゃない!八を助けるんでしょ!」
「そうだぞ三郎!俺達はこいつらを片付けてから行く!じきに先輩達がおうえんに来るはずなのだ!」
「行け!」
三郎は目の前の敵の首をきり、走り出した。
三郎が走り出した頃。
「ハァハァハァ。」
八左ヱ門の足元には、血まみれの組頭が倒れていた。
「ヒューヒュー、ゴホッ。」
その隣に倒れた八左ヱ門は、血を吐いた。その目は死人のようだ。
「クソっ!」
ー動け、動け!ー
行かなければいけないのに、八左ヱ門の身体は動かない。起き上がれない。
当たり前だ。
八左ヱ門はここまでですでに百人以上の兵士、忍びをたった一人で葬ったのだ。身体はボロボロ、意識があることがおかしいほどに、八左ヱ門はとうの昔に限界を超えている。
ーお願い。あいつの首を取れたら何も望まない。死んだっていい。だから、動いて!ー
八左ヱ門は力を振り絞り立ち上がった。
「ゴホッ。」
ビチャビチャ
口から吐きでた大量の血が瓦に音を立てておちる。
「私の死に場所は、ここじゃない。」
八左ヱ門は一歩踏み出し、組頭が使っていたボロボロの苦無を拾い上げて最上階に向かった。
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