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ダレイが男のバイト先であるスーパーマーケットから出てくると、複数人の捜査員がその場駆け足によってきた


「ダレイさん、どうですか?なにか情報は…」


捜査員の言葉に首を横に振る

電話から戻ってきて、その後質問しても何も話してくれなくなった

大抵事件に関わりのある者は黙秘を続ける

エイデンは関係ないのか…または犯人


「事件については黙秘だ.」


「成程…犯人の可能性が上がりますね」


捜査員の言葉にまたも首を振る

まだ犯人と盾つけるのは不十分だ


「いや、もう少し調査しよう。決定的な証拠もまだ見つかってない」


「証拠……?」


ダレイがコートのポケットから一枚の写真を取り出す

先程の現場写真だった


「まだ凶器が見つかってない」


その場にいた全員が頷き、ダレイの言葉の元、捜査が再び始まろうとした…その時


「…?なんだ……?」


ダレイの目の前に無数の小さい紙切れのようなものが風に吹かれながら通り過ぎる


(紙…?)


風はそんなに強くないが…明らか妙に動きのおかしい紙切れだ,まるで自我があるような


「……では私達はここの捜査を…」


(この紙切れが見えていないのか…?)


紙切れはそのまま何処かへ向かって行った

見覚えのある方角にダレイはハッとする


(あの方角は事件現場…)






深夜のBARの厄介事🥀𓈒 𓏸



_命懸けの仕事__🥀𓈒 𓏸



紙切れは事件現場である路地裏に辿り着く.が、そのまま通り過ぎさらに奥へと進んでいく

真っ暗だった路地は、やがて人通りの賑やかな都市へと変化した


紙切れは動きを止めることはせず、

さらにそのまま奥へと人混みを潜りながら前へ進む

なかなかに素早い動きで… _


そのうちピッタリと動きを止める

また別の路地だ


紙切れは小刻みに震えるとそのまま,砕けた

地面へと落ちていく紙切れを眺めるのは、あのBARの男


「随分移動範囲が広い犯人ですね」


路地を目の前にして、男はなにか考え込む


しかし、吹っ切れたように目の前の路地へと足を踏み込んだ





かなり長い道を1人で進む

薄暗い路地はゴミ一つ落ちておらず,綺麗に掃除されている

まるで誰かが掃除しているかのよう




(1人暗い道を歩くと…思い出しますね

星もないような真っ暗なあの夜に…あの方に助けられた頃を)


何かを思い出しふふっと微笑むと同時だった。

男は誰かに呼び止められる





「お兄さん…占っていくかい?」


路地に突如現れたのは占い屋

店主であるお婆さんは笑顔で男に語りかけてくる

男もにっこり微笑むとお婆さんに話しかける


「おばあさん,占い師なんですか?」


「ええ……お兄さんの事も、周りの人の事も占えますよ…」



「……占い屋と言うのであれば…大抵黒や紫の服を着てるものだと思ってました…真っ白なんですね、」


そう、とても真っ白な服を身にまとったお婆さんは大切そうに数珠を握りこんでいる


「では…ひとつ占いたい事が…」


「なんでもどうぞ……?」


か細い声でお婆さんが答えると、手元の数珠が緩み始める

水色の目が、お婆さんをジッ……と見つめ,不気味に笑い、一言_


「人を殺した経緯について…お聞きしたいのですが?」


お婆さんの細い目が大きく見開き……そして口元が三日月に変わる。

その瞬間,占い屋からお婆さんが飛びかかってきた


「アンタ…警察かねぇ……?だとしたら死んでもらうよ」


手元にはガラスの破片が握られている、それも鋭い刃物のように薄暗く光っていた


刃物が男の首に刺さる……



その時




お婆さんが何かに襲われ、大きくバランスを崩し……吹っ飛んだ

ガラスの破片は床に音を立てて落ちる


危機一髪の所で刃物が刺さることは無かった……

倒れたお婆さんに尽かさず手錠を初めに嵌めたのは、ダレイだった


「大人しくしろ!!!」


「……ック…!!」


無線機に手をかけると、応援を呼んだ


「ダレイだ。捜査員に告ぐ!すぐに応援に来てくれ!場所は…__」


BARの男はその様子をじっと眺める


(優秀ですね…)


首元に血が伝う。…刺さりはしなかったが、掠ってしまったのだ


視線を店に向けると、奥の方に血が付着した複数の破片と、靴上の形をしたものがいくつも見つかった

ある話に出てくる、ガラスの靴に似ている


(……シンデレラ…?)



「おい!アンタ!血が出てるじゃねぇか!」


お婆さんに馬乗りになり,ダレイはコートを脱いだ

コートはBARの男に投げつけられる


「これは…?」


「抑えてろ!クリーニング出したばっかりだから綺麗なはずだ」


「クリーニング…」


一体……こんな事態に、何がおかしいのか男は笑い始めた


「ふふっ…あははっ」


(何がおかしいんだ…全く…!!)


笑う声にイライラしながら男に視線をチラつかせる。まるで無邪気に笑う子供のように見え思わず息を呑む。

初めて彼が素で笑ってるのを見たからだ


「あんた…」




「……アンタ達……恵まれてるわね…」


押さえ付けられているお婆さんが急に大人しくなり、ダレイ達に話し始める


「恵まれもしなかった私の人生…!苦労した事のないあんた達には分からないでしょうねぇ」


小馬鹿にしたようなその態度にその場にいた全員が静かになる


「……何バカ事言ってんだ!」


路地裏にダレイの叫ぶように声が響く

その場に居たものが一瞬静かになる


「どんな人生だったのか他人の俺にも分からない!だが、それで人を殺していいのか!?」


男の言葉に、今までの苦労から出た涙なのか、お婆さんの目から涙が溢れる

ダレイは言葉を止めることをしない


BARの男はダレイと、言葉に集中してるように見える


「俺ら刑事は!…毎日アンタら、厄介な奴らに…命掛けてんだ!!見縊るな!」




すると外から、サイレンが聞こえ始める


「ダレイ先輩!!!」


「ダレイ!!!無事か!!!」



レオンとノアを先頭に、捜査員達が駆けつけてくる



「犯人はここだ!!それと!そこの男を至急病院へ!」


ダレイの指示にそれぞれバラバラに動き始める

レオンが吹っ飛ぶようにダレイに駆け寄った


「ダレイ先輩!僕が容疑者を連れていきます!」


その間、ノアは男を呼ぶ


「あんた、外に俺の車がある!直ぐに乗りな!」


「私は結構ですよ」


首から血を流しながらニコニコ笑う

不気味な男にノアは引きながら,腕の裾を引っ張る


「はぁ?何言ってんだよ…子供じゃないんだから!」



そのまま半場強引に引きずられ男はノアによって車へと連れてかれて行った

容疑者であるお婆さんも複数人の捜査員と刑事によってパトカーへと連行されて行った









昔から容姿のせいでまともに生きれなかったお婆さん

シンデレラのお話に、心奪われ…美しい女性を見つけては靴を履かせようとした。

今回の女性もそうだが、断る女性が居ると、その靴で…



「婆さんは無事逮捕された…今回もダレイのお手柄だな?」


ノアがダレイに嬉しそうに話しかける


「……あの男は?」


「病院に連れてったさ、怪我も浅くて問題は無いってよ……あとこれ」


ノアがダレイにコートを渡す

コートにはシミひとつ着いてなかった


(アイツ……抑えろって……!!)


怒りに震えるダレイにノアは不思議そうに見つめる


「どした?ダレイ」


「……なんでもない」


警察署から出ると、空はもう夕日がかっていた


(エイデンに謝らなければ……)


あとからの情報になったが、今回の被害者の女性は,一命を取り留めた

深夜のBARの厄介事🥀𓈒 𓏸

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