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三歳
と言えば大抵の者は読み書き計算ができる程度には知能が発達しており、前世の記憶を取り戻す時期でもある。そしてこの世界の文明レベルは低い。
しかし、だからこそ彼等は己の知識をフル活用できるチャンスが多い。
前世の記憶が蘇る事で子供らしい好奇心や探究心を刺激され、新たな知識を得やすい環境にある。
その分、多くの者が”飽き性”になる傾向が強く、特に”テンプレ”に関しては一定数存在する為にどうしても読者ウケが悪くなる。結果、早々にエタってしまうのだ。
「俺は違う!」と声高々に主張する者もいるだろうが、それはあくまで少数である。大多数はエタるか消えていく運命なのだ。
そしてまた一人、テンプレ”俺スゲー”系転生者の少年が消えた―――
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この度は最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。
よろしければ感想・評価いただけますと幸いです。今後の作品作りに生かしたいと思います。
(本当に励みになります)
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異世界に転移した俺は、神さまである少女と出会い、ある使命を与えられる――
その使命とは、『勇者として魔王を倒すこと』だった! しかしそれは既に終わっていた。
この世界は平和になり、魔王は既に倒されていたのだ。
そして物語は終わった。
これはまだ何も始まらない、ある意味幸せな物語である。
******************************「嫌だよぉ! まだ何も成し遂げていないんだ!」
おっさんの魂の叫びが虚しく響く中、『三歳児』達はその無力さを噛み締めていた。
彼等は今まさにこの瞬間、新たなる転生への扉を開きつつあった。
「ではまた会おう」
「さよならー」「バイバーイ」「頑張って下さいね」「応援しています」
次々と消えていく仲間たちの声を聞きながら俺は最後の挨拶をした。
「皆ありがとう。また会おう!」
そして視界は暗転し意識を失った。
※※※※※※※※※※ 目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。
部屋の中を見渡す。どう見ても病院ではない。どちらかと言えば西洋風の豪華な家具類が目に入る。
ベッド脇に置かれたベビーベットの上には一人の赤ん坊がいた。
「これが僕なのか!」
僕は感動に打ち震えていた。前世では到底ありえない光景だったからだ。
(これは異世界転生物の小説にあるパターンじゃないか)
まずは状況を整理する事にした。
僕の名はリムル・テンペスト。この世界において魔王として君臨しているらしい。そして魔族の頂点に立つ四人の魔王の一人でもあるようだ。
その強大な力を恐れられ、今は亡き先代魔王の娘でありながら勇者として育てられた少女がいた。彼女は、魔族の中でも最強を誇る種族であるドラゴンの血を引いていた。そして、歴代最強の力を持つと言われるほど強くなった頃、魔王軍の幹部たちが反乱を起こした。それを機に、魔王軍は崩壊の危機を迎える。しかし、彼女の活躍もあり、なんとか壊滅は免れた。
その後、彼女は仲間と共に、世界を脅かす脅威と戦うため旅に出る。それが、長い旅の始まりだった。
道中様々な困難があったが、仲間達との絆を深めつつ遂に王都へと辿り着いた俺は勇者として国王陛下からの謁見を受けていた。
「勇者殿、此度の働き誠に大義である。魔王軍を退けたその功績を讃え褒美を取らせる」
「ありがたき幸せ」
「して、勇者殿は今後どうなさるか決めておられるのか?」
「まだ決まっておりませぬ」
「ならば勇者殿に提案があるのだが、この国の近衛騎士となってくれまいか? 勿論給金は弾むぞ」
「それは出来かねます。私は既に王国に仕える身でありますゆえ」
「そうであるか。では勇者殿に頼みたい事があるのだが聞いてくれるだろうか?」
「私に出来る事でしたら」
「うむ、実は近々隣国との戦争が起こる予定なのだ。そこで我が国最強と名高い聖剣使いの聖女殿と共に戦ってくれないかと思っていてな」
「承りましょう。しかし私の他にも優秀な者は沢山居ますでしょうに何故私が指名されたのですかな?」
「それについては後程説明させて頂こう。して勇者殿はこれから如何するおつもりなのかな?」
「まだ何も考えておりませぬ」
「では我が国で働いてみてはどうかな? 勇者殿の力があれば我が騎士団は今以上に強くなるだろう。無論報酬は弾むし待遇も良いぞ」
「それも悪くはないかもしれませんが少し考える時間を下さい」
「良いとも、ゆっくり考えて貰いたまえ。私はしばらくここを離れようと思う」
「どうしてですか? 僕が何か悪いことをしましたか?」
「違う。ただこの世界を見たいだけだ。私はまだ三歳の子供に過ぎない。この世界の常識も知らぬ。それではいくら私が凄くても意味がない。この世界で生き抜く為に、そして成長するために世界を知ろうと思っている」
「わかりました。僕はどうすれば良いんでしょうか?」
「好きにするが良い。別にここでずっと暮らす必要もない。どこか別の場所に行ってもいい。ただし外の世界には危険もある。一人で出歩くことは勧めないがな」
「ありがとうございます。実は少しだけ考えたことがあるんです。僕の固有スキルは”現代知識”というものでしたよね。でもこれはあくまで異世界の知識であって、元の世界でも使えたらもっと多くのことが出来るんじゃないかなって思ったんです」
「ふむ、それは面白い考えだ。確かに私の知る限りその様な能力は無かった。しかし試してみる価値はあるだろう。今ある知識だけで出来る事はなんだ? 答えられるか?」
「えっと、農業の改革と、衛生学、あと簿記ですね。他には…………」
「まあ待て、焦らず考えるんだ。これから先どんな人生を歩むのか。その時何が必要か。全てはその時にわかることだ」
「はい、わかりました!」
「よろしい。それでは次の質問だ。君はどこで生まれた?両親はどんな人だ?」
この世界の常識として、異世界からの転移者は例外なくその世界の住人である。つまり異世界転生者の子供はその世界で生まれてくる事になる。これはある意味当然の事だった。しかし、その当たり前を知らない者がいる事もまた必然なのだ。
「僕は地球という星の日本と言う国で生まれました。父はサラリーマン、母は専業主婦です」
「なんだそれは? 聞いたことがないな」
「僕もよくわかりませんが、ご主人様は何か考えがあるのですね?」
「勿論あるとも、まずはお前らに新しい名前を付ける」
俺は前世ではありふれていた『お約束』の一つの名前を提案した。
「お前の名は『ニーナ・アスターシャ』とする」
「わあ! 素敵な名前です!」
「気に入って貰えて良かった。それと今のうちに言っておくがこの世界では苗字が無いんだ。だからお前にも苗字は無い」
「そうなんですね、でもニーナは可愛い響きなので気に入りました」
「うん、ニーナは良い名だ。そしてお前の名前は今後一切口に出す事は許されない。これは命令である」
「どうしてですか?」
「それはこれから説明する。まずはこの世界で生きる為に必要な力を身に付けてもらう。その前にお前達には特別な力が備わっている事を自覚してもらう必要がある」
俺は異世界で定番の力――ステータスについて説明を始めた。