テラーノベル
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こちらを見つめる水晶のような、深い海のような鮮やかな青。その瞳の青が大好きだった。
優しいその青がいつも俺を包み込んでくれるから。
「お父さん、俺お父さんみたいな桃太郎になれるかな?」
「きっとなれるさ。」
その言葉に嘘はなかったように思う。でも、俺の額に現れた黒い角がそれを壊したんだ。
「ねぇ!お父さん!なんか変なのでたよ?これ、桃太郎になれた証かな?」
ワクワクして聞いてみた。きっと自分は桃太郎なのだと思った。
「なんで…お前は鬼じゃないか……」
その瞬間、父は母の喉を掻っ切った。
きっと母が鬼の可能性を想定してたのであろう。結果、母は鬼ではなかった。
「嘘だ嘘だ嘘だ……」
「お父さん…なんでお母さん…血が…?」
「ごめん、ごめんな。ごめん…」
なんで忘れてたんだろう。忘れちゃダメだった。俺は幸せを壊した張本人だったのに。
気がつくと病院の中だった。
「お父さん?お母さんは?」
「…離婚したんだ。もう会えないよ。」
「え?なんでなんで!」
「…ごめんな。」
その時から俺の大好きな青は黒く濁ってしまった。
それから数年後父はある人に俺を任せて俺から離れていった。
「恋太郎。好きなことをしろよ。…いつ死ぬかなんて分からねぇんだから。」
それきり彼と会うことはなかった。
彼の言葉が忘れられなくて、俺はフィギュアスケートを始めてみた。
始める理由は単純だった。テレビで見たスケート選手は派手で目を離せなくて。あの青のように夢中になってしまう。
今思うと、きっと俺は寂しかったんだろう。
少しでいいから俺の事覚えててくれないかな。少しでいいから気にかけててくれないかな。
馬鹿な妄想ばかりする。
寂しいよ。俺の事見ててよ。俺のこと覚えててよ。
この一心でフィギュアスケートを頑張った。するといつの間にか変な肩書きまで持つようになってしまった。
だけど空っぽなのはなんでかな。
大好きな青が忘れられない。俺の瞳は酷くあの青を連想させる。
いつしか前髪を伸ばすようになっていた。
いつの日か急に人が家に駆け込むようになった。桃太郎だ。俺を殺しに来たのだろうか?
酷く混乱する頭でふと彼の言葉を思い出す。
「いつ死ぬかなんて分からねぇんだから。」
貴方は知っていたんじゃないか。俺がこれからどうなるか。だから俺を置いていってしまったのか?
貴方だってきっとただじゃ済まない。機関に追われるに決まっている。それならなぜ一緒に逃げてくれなかったんだろう。
一緒に生きようって言ってほしかった。
一緒に逃げようって言ってほしかった!
生きることを勝手に諦めないでほしかった!!
俺と一緒に生きる人生を諦めないでほしかった…
俺さ、まだ貴方の青が忘れられないよ。
コメント
2件
続き書いて欲しいです!!めっちゃ面白くて最高過ぎました!!続きと願いします!待ってます!!