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こんにちは主です!
今回の物語も大分長くなりました。
読んでくださると嬉しいです!!
⚠
とま×のじゃ BL
微エロ、微グロ(血表現あり)
長い
⚠︎
では!
◇◇◇
今日はとーますとのオフ会
のはずだったのに。
2人で何も考えずに、ブラブラと騒がしい町を、水族館を、動物園を、歩きたかった。
手を繋いでみたりして、もしかしたら、キスとかしてみちゃったり。
でも
目が覚めたら、目が痛くなるほど真っ白な部屋にいた。
「とー…ます」
とーますもいて。他に…は、ピカチュウも、ひまじんもいた、こうたんも、なっしーもこのも。他にも何人かの参加勢、詳しく言えば著名の。
「…のじゃ、」
彼の優しい声で名前を呼ばれるのは、本当に嬉しい。永遠に呼び続けて欲しい。
「……どうしよう、これ」
とーますが指さす方には、扉があった。真っ白の。
「開けてみよーぜ!」
「ははっwwええなぁw何があるか気になるわぁ」
「ちょ、やめたら?勝手に。何があるかもわかんないじゃん」
大人達がざわざわしていると、ガチャっと、扉の開く音が部屋に静かに響いた。
そこにいる全員が扉の方を見た。そこには…
「えっすごー!みんな!みてみてー!」
参加勢で最年少で、純粋と言われているどるぴんがいた。
「どるぴん!何勝手に開けてんの!?」
するとどるぴんの兄的存在の、最年少ニート部部員のペニガキが彼の腕をひっぱる。
しかしどるぴんは片方の手でしっかりとドアノブを掴んで
「みんなみて!」
と呼びかけた。
何人かが恐る恐る扉の隙間から扉の向こう側を覗く。
「あっ!?!なっな、なにあれ!!?」
うるさい…。こいつはかっちゃん。20代半ばだと言うのに、精神年齢は3歳ほどだろう。
彼が驚いた顔で指さす方に、わらわらと人が集まる。
俺も行ってみると、
真っ白な部屋に沢山の凶器と、ひとつの大型テレビが置いてあった。
銃、剣、ハンマー、ナイフにカッター、ロケットランチャーなどの、ゲームの中でしか見た事の無いものもあった。他にも毒のようなものもある。それも大量に。
「何これ…」
「やば、」
「すご……」
何人かの参加勢が武器に触れる中、俺含め何人かの参加勢は、テレビに近付く。
誰かが電源ボタンを見つけたらしく、真っ白な画面が映る。
『聞こえるか?』
ノイズのかかった高い声。ボイスチェンジャーを使っているのだろうか。
真っ黒なパーカーを深く被った不気味な人は俺らに語りかけるように話し始める。
『えー、これから君たちには』
『デスゲームをしてもらいます。』
ざわっと、空気が動くのを感じた。
みんなが混乱に陥る。
俺だって混乱した。だって、そんな馬鹿げた、ドラマとか漫画とか…ラノベとかの中でしか起こりえない事なのに。それをやれ、なんて。
「いや、みんな落ち着いて…!」
そんな中、高く透き通った女の声が響く。このだ。
「信じるなよ…!だってこんな馬鹿げたこと、するわけないじゃん!法律的にもやばいしさ、」
『法律か……。まぁ、そんなものどうでもいい。ここは現実世界じゃないからな』
「は!?」
このの声に反応するように、ノイズの声が喋る。
『ここは正確に言えば、お前らの夢の中だ。』
ざわ…
「じゃぁ!殺しても目が覚めるだけ…」
『…頭がいいな、【ながつき】』
またもや部屋がざわつく
「なっなんで僕の名前…!?」
『まぁそこは置いといて』
『…ここはお前らの夢の中だが、死んだからと言って目が覚めることは無い。お前らは一生目覚めない。植物人間になる』
頭がくらくらする。
なんでこんなことに
俺…悪いことしたっけ
いや、本当に夢?
「のじゃ…!」
いつの間にか俺は倒れかけてて、とーますの腕の中にいた。
『貧弱だね、【のじゃじゃ】。カップラーメンばっか食べてるからだよ』
「っ、」
何で食生活まで知ってるんだこいつ…
「……Kunさん?」
とーますが、ここにはいないはずの人間の名前を出す。
「Kunさん、なんでしょ?」
「だって、喋り方がまんまだし」
『……さぁね』
「く、Kunさん!」
「なんで…こんなことを」
『えーー?い』
ブチッ
「は、」
「……Kunさん、じゃない」
低い声が響く。
皆が声の方を見ると、リモコンを持ったでぽんが立っていた。
「でぽん、?なんで…」
「、Kun、さんが…こんな事すると思う?」
「みんな……信じて」
「Kunさんは、こんな事しないよ」
「…そうだな」
「確かに」
「Kunさんはこんなやつじゃない」
「…だね」
「うん、急にテレビ消して…ごめん」
「大丈夫」
「あ、りがと」
でぽんは沢山の人に見られ緊張したのか、リモコンを近くに居たながつきに渡して、背を向け最初いた部屋に入った。
ガチャ、と、ドアが閉まる。
『おい!話の途中だったろ!何テレビ消してんだ、』
「あ、e、」
『はぁ…まあいい、』
『で、お前らは…殺し合って』
『最後の一人が生きて勝つまでは、ずっとここで生きていくことになる』
「はっ、」
「そんな…」
『衣食住の心配はしないでいい、それはこちらで用意しておいた』
ギイィィ…と、ドアの音がした。
「うわぁ…!!」
そこには、俺らにはあまりにも豪華すぎる部屋が広がっていた。
天井にはシャンデリア、大きなテレビにふかふかの絨毯とソファー。無駄に大きいキッチンやトイレまで。あと、沢山ある部屋。
『じゃ、こっちのテレビは用済みだから。何か質問があったらリビングのテレビを付けてくれ。じゃ』
ブチ
…
「…俺ら、ほんとにここで、生活すんのか……」
「家に帰りたい…」
「仕事しなきゃ……」
沢山の絶望の声が聞こえてきた。
「え!むっちゃ部屋綺麗なんだけどー!」
「えー?うわ、ガチじゃん!やば!」
みんなが部屋に入って行って、いつの間にかリビングに2人で立ち尽くしていた。
ん?てか…あれ?
「部屋1つ…足りなくね?」
「え、?どういう…」
俺ととーます以外全員部屋に入っているはずなのに。ひとつはでぽんの部屋だ。だけどもうひとつは…
「《とーます・のじゃじゃ》…」
「え、俺とのじゃ同じ部屋?」
「え、え…あ、テレビの人に」
『んー?なにー?ボリボリ』
なんか食ってるし…
そんな事を思いながらも、先程のことを聞いてみる。
『ボリ…、あーそれね、普通に足りなくなっちゃって。1番平和そうな2人…な気がしたから』
???
『ま、そーゆこと』
「…ま、平和そうだし大丈夫でしょ」
ガチャ
「は!?」
「えっ、」
「……一人部屋…じゃね?これ」
「だ、だよね」
机も小さいし、椅子もひとつ。明らかに1人用の部屋だ。しかも…
ベッド、ひとつしかない。
「えっえっ、えぇ…?ベッド…え、」
珍しく顔を赤くして、とーますは混乱している。
「…仕方、無いかぁ…」
とーますがにやけているのを、俺は見逃さなかった。
◇◇◇
「んで…えと、なんやっけ」
「はぁ、だから…生きる為に、それぞれの仕事見たいなのを決める…ってこと」
「そそ、」
このがひまじんに呆れながらも、それぞれに仕事を割り振りしていく。案外人をまとめるのは上手い、こいつら。
「じゃ、のじゃ…お風呂係?」
「…嫌」
「サボりそーだからとーますも」
「りょうかーい」
「めんどい…」
「で、いにんさん飯係でええか?」
「お前みんなのこと殺す気?」
結局
洗濯・・・あーけん、この、陰キャ転生、できおこ
ご飯・・・いにん、らーば、なっしー、こうたん、二重顎、しらそる
お風呂・・・とーます、のじゃじゃ
探索(?)・・・ウマヅラハギ、ながつき、でぽん
武器管理・・・おぱいち
※その他の人は掃除
となった。
「めっちゃ終わりって感じ…!」
「何かを間違えた気がする」
「探索って何…??」
「武器管理おぱさんひとりでええんかなぁ」
「っはは、www」
「じゃ、のじゃ。お風呂洗いに行こっか」
「、ん」
「探索の人にお風呂の場所聞かなきゃな」
◇◇◇
「ひっろ!!頭おかしいだろ…」
「2人で終わるかなぁ…」
高級そうなタイルを踏み、シャワーと洗剤を探す。
ツルッッ
「ぎゃ」
「のっ、!」
ドテッ
「…とーま、す、?」
「…っあ、ごめ…」
「……だいぶ危ないね、この状況」
とーますが、俺を押し倒したみたいに、なっている。かなりまずい。
焦っているような彼の表情に、不覚にもどきっとしてしまう。彼が起き上がってしまって、残念と思ってしまうほどに。
一日は意外と、平和に終わった。
いにんとしらそるの作った飯を食べて、風呂ではみんなでお湯を掛け合って、戦って。あったかい布団で、とーますに抱きしめられながら寝て…
こんなに平和で楽しいなら、ずっとここで暮らしていたい。
でもそんな願いは叶わない。叶うわけない。
事件が起こったのは2日目の夜8時半。
◇◇◇
「やべー、寝てた寝てた」
昼寝が長引いて、夜になってしまっていた。
俺は部屋にとーますがいない、と分かったから風呂に行く。きっと風呂を洗ってくれているのだろう。早足で部屋を出て風呂場に行く。
ガラガラ
「とーます!ごめん、!寝てて……」
ぬちゃっ
「え?」
気持ち悪い感覚。ぬるぬるで冷たくて…、洗剤かと思っ
「のじゃ!!?」
「まってっ、」
「…は」
俺が踏んでいたのは血。
とーますの手には血のついたナイフ。
そして俺の額には冷や汗。
「…のじゃ……」
「お、おま、なにして」
あまりの恐怖に後退りする。とーますは光の無い目で俺に近付いてきた。とーますに背を向けて走り出そうとした、瞬間に滑って転んでしまった。
「いっだ、」
胸を強く打って、動けそうにない。転んだ拍子に手にべったりとついた血に、ひっ、と声が漏れる。
ひた、と足音が聞こえて目を閉じた。
こいつになら、殺されてもいい……と恐怖の感情を消そうと意味のわからないことを頭に浮かべた。
「のじゃ…このことは」
「誰にも言わないで?」
「え、?」
口封じの為に殺されると思ってた、のに。
まぁ、良かった…かも
「あとさ、死体処理…手伝ってくれる?」
どこまでも自分勝手だな、とーます。
でも、こんな所も好きだったりするかも
◇◇◇
ここに来た日から段々と、こうたんがおかしくなっていっている。
それは言わずもがな、皆分かっている。
わどるどやなっしーは気にかけていて、よく話しかけたりもしていたが、段々部屋から出る回数が減っていっていた。
でも、いつしか部屋から出ることも無くなって、誰も気にしなくなっていった。
そんなある日、こうたんの部屋にノックの音が響いた。警戒しながら扉を開けると、そこには大柄な金髪の男が居た。
「…陰キャ転生…」
「よ」
「何しに来たの?まさか、僕を殺しに来た?」
「いや、そんなことはしねぇよ。ひまじんとおぱいちが見当たらねぇから、聞きに来た。」
「…………そう、ここにはいないよ」
「あそ」
「てかお前、病んでない?」
「病んでないよ」
「…じゃあ、この血の匂いはなんだよ。リスカしたのかと思ったけど、違うなら怪しいな」
「陰キャ転生には関係ないでしょ、帰って」
「…どけ」
ドンっと、こうたんを押し退けて無理矢理部屋に入る。すると、さっきより強く血の匂いが鼻をツンと刺す。
「は」
「なんだよっ、これ…!」
そこには丁度先程探していた2人の遺体が転がっていた。後ろを振り向いた、瞬間、こうたんが襲いかかってきた。
素早く避けてこうたんが倒れる。
パーカーを掴んで持ち上げた。首が絞まって苦しそうな声を出している。
「お前」
「殺したのか」
キスでもするかのように顔を近付けて言った。
本当は、殺したいくらいに憎い。
鼻でも口でも噛みちぎってやりたい。
「…そうだよ」
苦しそうに、絞り出すように言った。
そして叫んだ。
「会いたいんだッ!!」
「いもむしにも!!!こうせいにも!!他にもッ…!!!たくさん、たくさん…話したい……僕…死にたくない、まだ…!!!」
そう言って血の付いたナイフを振り上げて、俺を刺そうとしてきた。俺は両手でこうたんの首を絞めた。
「あ゙っ…!!?!」
「いやだぁ゙!!やめ゙てっ!!!」
グサ
「…あ?」
「ッフー、フー、」
俺の腹から血が流れて、熱い。
なんでだ…目元も熱い、
「……俺だって、会いてぇよ…」
涙が零れた。
「なんで、殺したんだよ、俺の大事な友達を。お前にだってわかるだろ、友達が居なくなった、辛さ…」
「分かりたくもないから」
「……あそ」
「最期まで、仲良くなれなかったな、俺ら」
「…」
手の力が抜けてこうたんが床に落ちてしりもちをつく。
俺もそれに続くようにして倒れた。
一瞬、緑色の服の男と緑色の髪の男が見えた
気がした。
◇◇◇
『はぁ?人が殺されたらどうする?』
「いや、人が死んでるんですよ!?犯人を野放しにしとくんですか!?」
珍しくできおこが声を上げている。
そりゃ…陰キャ転生が、あんな酷い姿で見つかったんだもんな。
『あー、そういや教えてなかったな。』
『そーいう時は会議を開いて、犯人と思うやつを通報するんだ』
「会議…?」
『そ、で、会議を開く時は俺を呼んでくれればいい。城全体にアナウンスしとくから』
「…わかりました、じゃあ」
「会議を開いてください」
◇◇◇
「…で、誰が、殺したんすか」
そんなのわかる訳もなく、みんな喋らない。
「……じゃあ、階段下のタンスの存在を知っていた人はいる?」
「あそこで、あーけんが陰キャ転生を見つけたらしいから」
「あっ、ぼ、僕は…、ただ、見つけたから気になって開けただけで」
「大丈夫あーけんさん、疑ってないから」
「は?なんで?あーけんが犯人かもしれないだろ」
探偵ヅラしたウマヅラハギが怪訝そうに聞く。
「だってあーけんさん、陰キャ転生のこと報告してきたとき、大泣してた…から。殺した犯人が大泣きする訳ないだろ」
「そう…」
「で、タンスのこと知ってる人は?」
…
「いない…」
「て、てかさ」
このが何かに気付いた、らしい。
「…ながつき、いなくね?」
「え…?」
「あ、ほんとだ」
「トイレ?」
「どこだよ…」
「まぁ、今は陰キャさんのことだけ」
「まって!」
「…あーけんさん、どうした?」
「でぽんもいない」
「あ、これイチャついてるわ」
「会議をバックれてまで…」
「許せないですね」
「……」
この後も会議は続いた。
何処で死体が見つかったのか、疑わしい人は誰か…
結局、誰が殺したのかは分からずに会議は終わった。
◇◇◇
ドサ
部屋に入った途端に、とーますがベッドに押し倒してきた。
「のじゃ、あの事言わないでくれてありがとう。俺怖くって、まだ心臓がドキドキしてる」
そう言って俺の手を掴んでとーますの胸に当てた。
心臓がうるさい。とーますも、俺も。
「そりゃ、言うわけない、」
「お前が好きだから」
なんて返せばいいのか分からなくって。
告白してしまう。
でも、友達としてって受け取ってくれるだろう。
「…俺も好きだよ」
「付き合う?」
「へ、?」
「あれ、恋愛的にじゃなかった?今の好きは」
「ぁ……いや」
「恋愛。付き合う」
「……良かった」
そう、ポツリと呟いて俺にキスしてくる。
身体が熱い。とても。
このまま溶けてしまいそうなくらいに。
「…ゃ…め……、ぇ」
声が上手く出ない。
なんとか押し返して逃げようとして試みるも、腕を抑えられて逃げられなくなってしまう。
足で蹴ろうともしたが、舌を絡められて力が抜けてしまった。
「ぁ……っ…」
諦めた。
このままチョコみたいに溶けてしまおう。
◇◇◇
翌朝、ながつきがキッチンで何かをしているのをわどるどが見つけた。
「ながつき…?」
わどるどが不審そうに声をかけた。
「あっ、す、すみません昨日は。昼みんなゲームしててうるさくて、最初の部屋で昼寝してたら…こんな時間に」
「ふぅん、で…ながつきご飯係じゃないけど。ここで何してるの」
「昨日会議に来なかったから…みんなに何か出来ないかなって、朝ごはんを」
おどおどとオムライスを見せる。作り途中だがとても美味しそうだ。
「へー!美味しそう!いい匂い」
「起きてる人は呼んでくるね」
昨日、というか何時間か前まで、ここの城にいる数人を除きほぼ全員でゲーム大会をしていた。だから、起きてる人は少なかった。奇跡的に。
「「「「いただきまーす!」」」」
「おいしっ、ながつきにしては…w」
「うまっ!」
「ながつきくん料理上手ー!」
「えへ、ありがとうございます、」
ながつき、わどるど、この、どるぴんのたった4人でご飯を食べた。目の覚めるような美味しさのオムライスを。
「このお肉、美味しいー!!」
「ふぁ…ねむ、ゲームしすぎて疲れたわぁ」
ゴク、
「ん、ながつきそれ、?」
「あ、胃薬。ちょっと胃の調子悪くて」
「そう、お大事に」
「ありがとう。じゃ、僕は先にごちそうさま」
◇◇◇
「みっ、みんな!!」
おやつの時間。午後3時。
突然ドアが勢いよく開き、なっしーが部屋に飛び込んできた。
「でっ、ぽんが…会議、会議!!」
「はぁ!?!今、は…」
なっしーが小さく悲鳴をあげた。
ふかふかのはずのカーペットは吐瀉物で汚れている。カーペットやソファーには、3人の参加勢が倒れている。
その中にこのも居た。
「こ、このさん…?」
「……っ、なっしー…?」
苦しそうになっしーを見るこのに心が痛む。
「……お前の前でなんか、死にたくねぇよ…っw」
『うわぁ、かなり酷いな…』
誰かがテレビをつけたのか、あのノイズ声が聞こえてきた。
でもそんな声も聞こえない程に、なっしーは号泣している。どんどん冷たくなっていくこのを抱きしめながら。
◇◇◇
「ひぐっ…っ、ぐす…」
「こののことは…まぁ、置いとけないけど」
「今は…でぽんについて、話してくれる、?」
「っ、ぐす…」
小さく頷いて話し始めた。
「ずびびっ……なっしぃ…武器が欲しくて…」
「……ごめんなさいっ!!なっしーひとりでっ、武器…取りに行こうとしてぇ…迷っちゃって…っ、そしたらぁぁ」
「でぽんさんがっ!」
「首だけっ、で……落ちててぇ…」
「は!?」
「え」
「でぽん…嘘だろ……」
「ながつき!!良いのかよ…!」
「…ああ」
「………ごめんなさい…でぽん…みんな…」
ながつきは涙をポロポロと流している。
きっと、守れなかったって泣いてるんだ。
この場にいた全員がそう思っていた、はず。
「…………殺して、」
「ごめんなさい……」
「は」
重い重い沈黙の中、ながつきの嗚咽だけが静かに響いていた。
◇◇◇
『で、ながつきは追放されたので処刑しました』
「…ながつき、死んだのか、」
「……あいつが、悪い…」
「でぽんも、どるぴんもわどるども…このも、死んだ……」
ながつきは、でぽんの肉と毒をオムライスに入れた、と言っていた。
サイコクズ、と誰かが呟く。
「……」
「みんな、」
あーけんが震える声で話している。
「たくさん人が死んじゃったのは…辛い、し、悲しいけど…」
「……みんなで強く、生きていかなきゃ…」
「…そうだな」
少し沈黙が流れたものの、DDの一言によって、同意の声がどんどん上がってきた。
「だな、!」
「そうだね、みんなで…」
「がんばろ…!」
陰湿で、優しい奴など数少ない50人クラフト。そんな陰湿な奴らが優しい声をかけてくれて…あーけんは泣き出してしまった。
きっと、きっと嬉しかったんだろう。
◇◇◇
「…とーます」
「ん?」
のじゃじゃがいない2人の部屋で、らーばが、いつもと少し違う様子でとーますに話しかける。少し緊張しているようにも見えた。
「どうしたの、?」
「今は…デスゲーム、してるんだよね」
「うん」
「…俺、さ…とーますが、居なくなったら、死んだら…それに、俺が死んでとーますに会えなくなるのも、怖くて」
「本当に怖くて…怖くて…!だから………っ」
「…うん、」
「………………す、好き」
「えっ、」
「とー…ます、が」
「す、好き」
「え、」
突然すぎた告白に驚くとーますに、キレ気味でらーばが突っ込む。
「だから好き、!何回言わせんだよ!」
「会えなくなっちゃう前に…言っておきたくって、」
「…ありがと」
そう言って、おいで、ととーますが言う。
らーばが?の表情を作るが、何秒か後に気付いたように顔を真っ赤にした。
「ぁ……、ん、ん」
ぎゅっと、とーますに抱き着いて。
ありがとう、その一言だけで何故か涙が出てきた。なんで…
更に力を入れてとーますを抱きしめる。
そっと、首に片手を回した。
とーますがビクッと体を跳ねらせた
可愛い、と呟いて……もう片方の手も首に回した。
「っ、え…らーば?」
「なにして」
ギュゥゥゥ
「っ、ぐ!?」
首に力を込めて、
ごめん、ごめん、ごめん…
ギュッッッ
とーますが俺に抱きついてきた。
急すぎて驚いて、首に込めた力が減る。
「とーます…?」
ぐっ
「っ!!?」
「とーます…っ、なん……」
涙をボロボロと流した。
ありがとうの一言に
自分がした事の醜さに
あまりの痛みに
彼の行動に…
「…ごめんね、らーば」
「俺、好きな人を守らなきゃ」
「っ……」
馬鹿な俺でもわかるよ
好きな人…俺じゃ、無いんだなって。
この胸の痛みは何なのだろう。失恋の痛み?
別れの痛み?
いや、刺された痛みかな。
「……ごめん、とーます…」
最後、これで最期だから、
言わせて?
「大好き」
バタッ
◇◇◇
ガチャッ
「おい、ワシのベッドの上で何してんだよ!」
「のじゃだけのベッドじゃないから、いいのいいの」
「良くない…」
「ま、とりあえずかえるくんのとこ行ってくるから、のじゃお風呂洗いお願い」
「はぇ、?」
バタン
は?なんでかえるくん?なんでアイツなの?
俺にしてよ…、俺に頼れよ。前だって、アイツの死体処理してやったよ、俺。俺の仕方、下手だった?何が悪かったの?ねぇ…とーます。
俺、お前の役に立ちたいよ。
◇◇◇
また会議だ。
会議会議会議…つまんない。
「えと、俺です」
「そうですねかえるくん」
「あの…らーばが、死んでました。多分、ナイフで刺されてて」
「え、」
「は?」
「そんな」
ああ…とーます、やっぱかえるに手伝って貰ったのか。
そんな事を思っていると突然、俺の隣に座っていたとーますが手を握ってきた。突然だった。
「秘密だよ」
と、耳元で囁かれた。
ゾクッと寒気がして、鳥肌が立つ。耳元で囁いた刺激のせいでも、もし言ったら、という恐怖のせいでもある。
もし言ったら?なんて、聞こえるか分からないで聞いてみた。
そしたら、とーますが痛い程に手を握ってきた。恐怖で涙がこぼれそうになるのを必死に抑える。
「誰がやったのかは、検討がついてるから、」
「今回は通報の為に、処刑の為に呼んだ」
「え?」
声が漏れた。
「それは、誰が…」
探偵ヅラハギが質問した。
かえるがゆっくりと立ち上がって
「…のじゃ」
人差し指で俺をさした。
「は」
「俺…?」
「ま、待って!!」
急に、紅茶が声を上げた。
「の、のじゃじゃ無い!!」
「え?」
「おぱいちさんが死んだあと、俺が武器管理してるってのは、みんな知ってるよな?の、のじゃはみんなで最初確認した時も何も持ってなかったし、のじゃは武器を取りに来たりもしなかったで…」
「ほな…!」
急に早口で説明され、かえるは困った顔でゆっくり手を下ろす。
「えっ、でも、でも…」
「……じゃあ、なんでのじゃじゃが殺したと思うん?」
「それは……あの」
「のじゃとらーばが仲良いのは、知ってるやろ?アンタも」
「そ、そしたらながつきがでぽんを殺したのも、」
「それはながつきがサイコパスだっただけや。のじゃはサイコパスじゃないで」
「根拠……いや、そんな」
「…そういうかえるが、殺したんじゃないん?らーばを」
流石本物の京大。とてもかっこいい。
ウマヅラハギとは違って。
「ぃ、いや…ねぇ、とーます……」
「…かえる」
「…が、犯人じゃないの?」
かえるは、目を見開いて、そのまま黙ってしまった。
そしてかえるは、追放され処刑されてしまった。
「とーます…?」
「ん?」
「俺…なんで、疑われ…たの?」
「うーん…ながつきと同じように思われたのかなぁ…」
「…そうか、」
死ななくて良かった。
そしたら、とーますと会えなくなる。
◇◇◇
また、とーますが人を殺した。
どうして殺すんだ、みんなでここで、幸せに生きればいいじゃないか。どうして、外に出たがるんだ。
今回殺したのは、いにんと二重顎。
一番風呂と鼻歌を歌いながら風呂場に一人で来たいにんを殴り殺して。
一人で洗剤を探していた二重顎と鉢合わせ、首を絞めて殺した。
「手伝って?」
「…ん」
好きだ。
だから、断れないし、みんなにこの事を言えない。
◇◇◇
「とーます」
また、会議。
死体が見つかるの早すぎだろ…
「…」
ウマヅラハギが見つけたらしい。
探偵ヅラハギのくせに。
「とーます…今回は、今回は…」
「何」
「……見つけた。証拠を」
「?」
「悪いけど、全員の部屋に入らせてもらったんだ」
ざわ
「は!?」
「最低!!」
「常識なさすぎ」
「でも!!」
「ここから…出たいんだ。出れなくても、人を殺すようなやつは全員処刑して、ここで幸せに暮らしたいんだ…!」
ウマヅラハギの行動にイラつく者も多かったが、意見に賛成する者も多く、少しずつだが静かになった。
「…で、とーます、お前」
「かえるを…使ってたんだろ?」
「え?」
なんでバレた
隣に座っている俺なら分かる。ハッキリ聞こえた。いつもより低い声でとーますが言った。
とーますが俺の手に手を絡めてくる。
「使うなんて…そんな事、しないよ」
「俺は聞いた、証拠もある。伝言も貰った」
「全部、かえるに」
「…例えば?」
「この写真。もう、諦めて死んでくれ」
そう言って机の真ん中に置かれたいくつかの写真には、とーますが死体を持ったり隠したりしているのが隠し撮りされていた。
全ての写真には、かえると思われる服を着た手が写りこんでいる。
「かえるは、」
「『とーますのことは大好きだけど、俺を使った事は許せない』」
「…って、処刑の直前に言ってたよ」
こんなあっさりと…
はぁ、とーますと、会えなくなってしまう?
いや、絶対にさせない。
「Q.D.E 証明完了…!」
かっこ悪い。
震える声で、青ざめた顔で言うウマヅラハギ。
ああ、お願いとーます。
嘘を吐いて。何とか誤魔化して。
まだ会いたい、あの夜みたいなこともしたいし、まだやりたい事が、話したい事、言いたい事が…
「そーだよ。ね、のじゃ」
頬を赤らめて。上目遣いで俺の事を見る。
恋人繋ぎをした手をみんなに見えるよう胸の辺りまで持ち上げて。
「……俺?」
その後は覚えていない。
頭に入らなかった。風船のように、空気が抜けていくように聞いた内容は頭から消えていく。
でも、ひとつだけわかった。
とーますは追放されて、俺は何故か助かったということ。
追放?
処刑?
とーますが死ぬ?
…会えなくなる?
会えなく?
その四文字が頭に浮かんだ時点で、少ない筋肉を精一杯使って走り出していた。
◇◇◇
「とーます!!」
本能か何かなのか、処刑部屋に辿り着いた。
『処刑部屋』と汚い文字で書かれたプレートがぶらんとドアノブにかけられている。
俺は扉をどんどんと何度も叩き、それに疲れると扉を強引に開けようとし始める。
ガチャ
ドタン
急に開いたものだから、思いっきり転んでしまう。
今だけは痛みも忘れてとーますを探そう、と、立ち上がる。
「とーまっ、」
何でだろう。
声が出ない。
あまりの美しさに。
首にロープを巻かれて、穴があきそうな床の上で固定されたとーますは、処刑される直前だと言うのに、とても綺麗な顔でいて。
目をつぶるとまつ毛が長いのがより目立って。本当に、天使か何かかと勘違いしてしまいそうだ。
「あれ、のじゃ?なんでここに」
「とーますと、!…会えなくなるのがいやだから」
「…ありがとう」
「じゃ、待ってるよ」
ガタン
やだ
いやだ
まって
ドスン
「いっ…あれ、」
「なんで俺…生きてんの」
とーますのロープを切った。
ナイフで。
普段なら絶対に出来ない、こんな事。
これが火事場の馬鹿力か。
ぎゅう
「ちょ、のじゃ、苦しい」
「いい」
「もっと苦しめよ、馬鹿…」
涙がボロボロ流れる。
止まらない。
とーますが俺の頬を舐めた。犬みたいに。
「泣かないで?」
「あとのじゃ…いいの?」
「……何、が」
「追放された人を、助けて」
「…だめ」
「だから、責任取れよ」
「追放されて、俺も…追放される対象になった事、」
「いいよ」
「2人で逃げよ」
「…逃げる必要、なんか無い」
「え?」
「……2人で幸せに、ここで、一生…一緒にいる」
「それが、お前のする事。とーます、」
◇◇◇
とーます、俺、とんでもない事をしてしまったのかもしれない。
いや、俺がしなくても、誰かが選ばなければいけない選択だったかもしれない。
まっすぐに、お前を助けに行かなくてごめんな。
すぐにお前を助けに行けば、ロープを切ろうとした時に首に傷は付かなかった。
ごめん、手伝わせて。
いや…違うか。
今までのお礼?
そんな事どうでもいいか。
片付けなんかしなくていいか。
俺ととーますの2人だけで、幸せな生活が送れるなら。
◆◆◆
「ずびっ……こ、うたん」
「なんで…」
医者は言った。
もう一生、目覚める事は無い、と。
「こうたん……まだ、俺…言えてないことがあるんだよ」
「好きなんだ、お前が」
漫画の中だったら、起きてくれるのかな。
童話みたいにキスしたら、起きてくれるのかな。
ロマンチックじゃなくても良い、だから
もう一度、あの馬鹿みたいにうるさくて明るいこうたんに合わせてくれ。神様。
でも神様は返事をしてくれない。
はは、なんて残酷なんだ。
◆◆◆
くしゅん
自分のくしゃみで目が覚める。
どうやら裸のままで寝ていたらしい。
隣にはとーますもいる。
今日はやけに眩しいなぁ…と、目を凝らして見ると。
窓があった。
「え?」
窓?窓なんかあったっけ。
窓から外を覗いてみる。そこには薄紫色の空が広がっていた。
『ここは正確に言えば、お前らの夢の中だ。』
あいつが言っていた言葉を思い出す。
そうか…夢。
でも、それにしてはリアルだな。
「ん…のじゃ?」
「あ、おはよう、とーます。」
今日も、幸せな一日が始まるのか…!
いや、幸せは続かない。
永遠なんてないんだ。いつかは壊れてしまうんだ。
どれだけ大事に、大切に管理していたって、どんどんヒビが入って、いつかは割れて粉々になってしまう。
『だめだなぁそれは。許せないね』
久しぶりに聞いたノイズ声。
感謝を伝えた俺が馬鹿だったらしい。
とーますにはまだ言っていないし、知らないだろうが、そんな幸せな生活を送ろうものなら、食料も腐らせ、水やガス、電気など生活に必要なもの全て止めてしまうらしい。
丁度いいと思う。
俺もそろそろ、とーますだけは嫌になってきた。
あんなに好きだったのにな。
みんなに会いたい。
いにん、ベノム、この、ピカチュウ、
らーば
他にもたくさん、数え切れないほどの人に。
でも、とーますと会えなくなるのは嫌だ。
どうしたらとーますと一緒にみんなに会える?
小さな脳で一生懸命考えた。
◇◇◇
全部、全部のじゃの為だ。
悪い事をしているって自覚はある。
「ここから出たら、何でもしてあげる。」
「今、このナイフで首切ってもいいんだよ?」
何とか脅して、でぽんを殺させた。
あのサイコパスブリは、でぽんの他に3人も殺してくれた。
「かえるを守るから」
「ね、のじゃのせいにしよ?」
鼻水をすすりながら、目をゴシゴシと擦りながら指切りをしてくれた。
約束だよって言うと、ん、と小さく頷く。可愛い。
「大丈夫だよ。ありがとう」
のじゃは、俺以外の生きている人を全員殺してくれた。
俺が死体の散らばったリビングを見るなりのじゃは、叫んで泣いた。
違う!お前のため!嫌わないで!って、
なんであんなに可愛いんだろうね。
可愛い過ぎて不思議。
◇◇◇
「歪んでくれて、ありがとう」
ポケットに手を突っ込んで、小さめのナイフを取り出そうとしたとき、突然言われた。
なんの事か、いや、別になんの事でも無いのだろう。
「元からだよ」
そう言って、にこっと笑っておいた。
その夜は沢山噛まれて吸われて、溶かされて。
早く、夜を終わらせて。
夢を覚まさせて。
◇◇◇
「とーます、大好き」
「だからまだ、起きないでいて」
引き出しからナイフを取り出した。
朝日に反射してキラキラと輝く。
気持ち良さそうに寝るとーますの頬に、そっとキスをした。起こさないように。サラサラの銀髪を撫でて。
ナイフを両手で握って振りかざす。
「みんなに、会おう」
小さな脳で必死に考えた。
自分勝手でごめん、ごめん。
さぁ、夜を終わらせよう。
2人だけの夢を覚まさせて。
血が飛び散る。
意識が朦朧になって
◇◇◇
『なんか最近平和だな〜。ちょっと様子見てみるか』
『…は?』
『は、誰もいねぇ…みんな死んでる……』
『ゲーム、終わりにしなきゃ』
◇◇◇
今日は、みんなと会う
はずだったのに。
みんなで何も考えずに、参加型、ニート部、ゲームとかの話をしたり。
とーますとは、いつもみたいに手を繋いでみたりして、もしかしたら、キスとかもして。
でも
目が覚めたら、目が痛くなるほど真っ白な部屋にいた。
「とー…ます?」
とーますがいて。他に…は、ピカチュウも、ひまじんもいた、こうたんも、なっしーもこのも。他にも何人かの参加勢、詳しく言えば、あのデスゲームに参加してた人。
「…のじゃ、」
彼の優しい声で名前を呼ばれるのは、本当に嬉しい。永遠に呼び続けて欲しい。