大きな館の一室で、1人の男が、日記に文字を書き乍小さく呟いた。
「今日は、凄く楽しいことが起こりそうだ__。」
斗。その次の瞬間、玄関でベルがチリン、チリン、と鳴った。
「おや、お客様かねぇ?」
男はにっこりと笑い、日記を閉じた。
episode【Ⅰ】/人外の館
「此処が例の館か…。」
斗、玄関の前に立っている男が独り言を呟く。そして館のベルを鳴らす。
「ぁ“あ、客人かい?」
扉が開いたと共に、1人の男が立っていた。
着物を着た1人の男。鋭い角、牙、爪を持った…、その姿はまるで『鬼』の様だ。
「初めまして、僕は『エドワード』。…この森に迷い込んで しまって、此処に辿り着いたんです…。」
適当な嘘を吐く。彼は狩人だ。人外を殺/す目的でやってきた。
偶然迷い込んだ訳でもなく。故意にこの館にやって来たのだ。
「『エドワード』…か。へぇ。」
鬼の様な男が返答する。
「拙者は『凪』。貴様、迷った、斗言ったなぁ“? …まぁ“良い、入れ。」
『凪』と名乗るものにそう言われ、エドワードは館に足を踏み入れる。
目を輝かせて、広い館の中を一周見渡す。
「先ずは館主殿の部屋迄案内してやろう。」
凪にそう言われ、歩き出す彼にエドワードは着いて行く。
半透明の美しい羽でふわふわと飛んでいる妖精や、
グラスに入った赤い液体を飲んでいる女等、館主の部屋に行く道中に
色々な人を見掛けた。…いや、『人』とは言わないな。
少し階段を上がったところで、一つの部屋があった。
其の部屋の扉をトントン、斗凪が2回ノックした。
そして「失礼する。」斗言い、部屋の扉を開いた。
「おや、凪君…、どうかしたのかい?」
エドワードは、声が聞こえた方向に目を向ける。
目を向けた先には、にっこり斗笑う男が見えた。
其の男からは、何と言えばいいか分からないが、物凄く……、
強いオーラの様なものを感じた。
「客人を連れてきました。」
凪がそう言葉を発すれば、『館主』斗呼ばれる男は
「今日はお客様が多いねえ…。」
斗言い、エドワードの方を向く。
「__やあ、『人外の館』へようこそ__。」
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