朝の光が森に差し込む中、4人は小屋の前に集まり、朝の作戦会議をしていた。いさなが釣りキットを手に取りながら言う。
「食料を確保するのが先だと思うが…」
「恐竜だよね!」ゆうなが勢いよく割り込んだ。
萌香が驚いた顔でゆうなを見つめる。「ちょ、ちょっと待って、恐竜って…あの、昨日見たやつ?」
「そうだよ!」ゆうなが目を輝かせて答える。「だって、めちゃくちゃカッコよかったじゃん!最高じゃない?」
みりんが苦笑いを浮かべる。「そんな簡単に仲間になってくれるわけないでしょ。あれ、普通に襲ってきたら全滅だよ?」
「手なずけられたら、ここでの生活が楽になるかもしれない。」ゆうなが食い下がる。「草食っぽかったし、意外といけるかも!」
4人は昨日の夕方、森の奥で 首の長い草食恐竜を目撃していた。巨大さに驚きながらも、温厚そうな目つきが印象に残っていた。
「確かに草食恐竜だったな。」いさなが腕を組んで考え込む。「でも、どうやって近づく?普通に行ったら蹴られて終わりだぞ。」
「餌を使おう!」ゆうなが自信満々に提案する。「草とか葉っぱとかあげれば仲良くなれるんじゃない?」
「草って言ったって、どんな草が好きかわからないじゃん。」萌香がため息をつく。
「まぁ、やるなら慎重にだな。」みりんが釣りキットを片付けながら言った。「一応、距離を保ちながら試してみるのはありかも。」
準備を整えた4人は、昨日恐竜を見かけた場所に向かった。いさなはロープとナイフを手に持ち、みりんは水筒と薬を携え、萌香とゆうなはそれぞれ葉っぱや果物らしきものを集めていた。
「いた!」ゆうなが指を指す。その先には、大きな恐竜がのんびりと草を食んでいる姿があった。
「おい、でかいな…」いさなが思わず声を漏らす。
「まずは、私が行くよ。」ゆうなが草を手に持ちながら一歩前に出た。
「おい、無茶すんなよ!」いさなが慌てて止めようとするが、ゆうなはニコニコと笑って振り返る。「大丈夫!私、動物に好かれるタイプだから!」
ゆうなが恐竜に向かってゆっくりと歩み寄る。手のひらに載せた草を見せながら、「ねぇ、これ食べてみない?」と優しく声をかけた。
恐竜はゆうなの存在に気づき、一瞬だけ動きを止めた。しかし、ゆうなが差し出した草をじっと見つめたあと、ゆっくりと首を下ろしてきた。
「わっ、本当に食べてくれるの!?」ゆうなが目を輝かせる。
恐竜は草を慎重に口に運び、もぐもぐと食べ始めた。その姿に、後ろで見ていた萌香が思わず拍手をする。
「すごい!ゆうな、本当に仲良くなれそうだよ!」
「でしょ?」ゆうなが誇らしげに振り返る。「やっぱり私の勘は正しかった!」
恐竜は草を食べ終えると、満足そうに鼻を鳴らし、ゆうなにさらに近づいてきた。
「おいおい、本当に懐いたのか?」いさなが警戒を解ききれない様子で言う。
「たぶんね!」ゆうなが恐竜の鼻先にそっと手を当てる。「この子、いい子だよ。」
みりんが笑いながら恐竜に手を振った。「名前つけたくない?仲間なら名前が必要でしょ。」
「いいね!」ゆうなが目を輝かせる。「じゃあ、リオってどう?」
「リオ?」萌香が首をかしげる。「どうしてその名前?」
「リオデジャネイロみたいで響きがカッコいいから!」
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