テラーノベル
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「寝たふり」
カチャ。
玄関の鍵が開く音がした。
時計を見ると午後七時過ぎ。
みこちゃんが帰ってきたらしい。
ソファで動画を見ていたこさめは、ふと思いついた。
🦈「……」
ちょっとだけ。
ほんのちょっとだけ。
いたずらしたくなった。
だからスマホの画面を消して、ソファにごろんと横になる。
目を閉じる。
寝たふり。
完璧。
たぶん。
玄関のドアが閉まる音。
荷物を置く音。
それから。
👑「ただいまー」
みこちゃんの声。
こさめは反応しない。
もちろん寝たふりだから。
👑「こさめちゃん?」
返事なし。
数秒後。
👑「寝てる?」
足音が近づいてくる。
こさめは内心ちょっとわくわくしていた。
すると。
👑「ほんとだ」
すぐ近くから声がした。
👑「寝てる」
みこちゃんがしゃがんだらしい。
気配が近い。
近い。
めちゃくちゃ近い。
🦈「……」
こさめは必死に耐える。
笑ったら負け。
👑「可愛いなぁ」
聞こえた。
小さい声だったけど、しっかり聞こえた。
👑「寝顔好き」
恥ずかしい。
なんか恥ずかしい。
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でも動けない。
寝てる設定だから。
👑「お疲れだったのかな」
優しい声。
そのあと。
ふわっと何かがかけられた。
ブランケット。
たぶん。
👑「風邪引いたらだめだし」
ぽんぽん。
頭を撫でられる。
優しい手。
こさめは思わず目を開けそうになる。
でも我慢。
👑「今日ね」
突然みこちゃんが話し始めた。
👑「大学で面白いことあったんだよ」
独り言みたいな声。
👑「こさめちゃん起きてたら話したかったな」
なんだそれ。
こさめは少しだけ胸が温かくなる。
🦈「……」
👑「まあ寝てるなら仕方ないか」
すると。
ソファが少し沈んだ。
隣に座ったらしい。
そして。
ぎゅ。
🦈「!?」
抱きしめられた。
こさめは危うく飛び起きそうになる。
なんで!?
寝てる人に!?
👑「んー」
みこちゃんが満足そうな声を出す。
👑「こさめちゃん補給」
意味がわからない。
👑「今日も好きだなぁ」
小さく呟く。
🦈「……」
こさめは固まる。
付き合っているから知っている。
知っているけど。
改めて聞くと恥ずかしい。
👑「ほんと可愛い」
ぎゅう。
さらに抱きしめられる。
少しのしかかってきて重い。
あったかい。
でも重い。
👑「起きたら何食べたいかな」
🦈「……」
👑「オムライスかな」
🦈「……」
👑「ハンバーグかな」
なんで寝てる前提で会話してるんだ。
そりゃそうかこさめ今寝ているんだった。
みこちゃんは楽しそうだった。
そのまま数分。
本当にずっと話しかけている。
しかも全部甘い。
甘すぎる。
こさめは限界だった。
耐えられない。
恥ずかしい。
🦈「……みこちゃん」
👑「うわぁ!?」
みこちゃんが飛び上がった。
👑「起きてた!?」
🦈「途中から」
👑「途中から!?」
顔が真っ赤になっている。
珍しい。
いつも余裕そうなのに。
👑「全部聞いてた?」
🦈「だいたい」
👑「うわああああ」
みこちゃんが頭を抱える。
こさめは吹き出した。
🦈「こさめちゃん補給ってなに」
👑「忘れて」
🦈「無理ぃ〜」
👑「お願いだから忘れて」
🦈「寝顔好き」
👑「やめて」
🦈「今日も好きだなぁ」
👑「やめてぇ!」
みこちゃんがソファに突っ伏した。
耳まで赤い。
こさめは笑いながらその頭をぽんぽん撫でる。
🦈「おかえり。大学の話聞かせて」
そう言うと。
みこちゃんはしばらく黙ってから、小さく笑った。
👑「……ただいま」
結局そのあと一時間くらい。
みこちゃんはずっと「恥ずかしい……」を繰り返していた。
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コメント
1件
わあ、今回も最高に可愛かったです…!寝たふりしてるこさめちゃんのわくわくと、それにまんまと引っかかって甘々補給を始めるみこちゃん、二人の距離感がたまらないですね。「こさめちゃん補給」とか「今日も好きだなぁ」とか、寝てると思ってるからこその素直な言葉が全部刺さりました。最後バレたあとのみこちゃんの大慌てと、こさめちゃんの笑顔が浮かぶようで、読んでるこっちまで温かい気持ちになりました!