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すると一度止まった体は鉛のように重く、体は酸素を求めてぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返してゴホッと咽せてしまった。
体が熱い。
嫌な汗が吹き出て、涙が出る。
「ゴホッ、はぁッ、も、もうダメなのかな」
鼻先に乾いた地面があり、埃っぽい。それでも喘ぐように呼吸を繰り返す。
その呼吸の合間に不快な音を聞いて、倒れたまま後ろを見るとゾッとする光景があった。
土蜘蛛達はわらわらと、我先にと広場に雪崩れ込んでいた。
無数の金色の瞳達は私を捉えながら、忌まわしい脚を力強く動かして確実に私へと迫っている。
迫る赤黒い群れはぞわぞわ、ギチギチ、ガサガサと不快な音が大きくなって、恐怖が増すばかり。
まるで私が蜘蛛の糸に掛かった、獲物のようだと思った。
「炎、ここで私の炎を使ったら……!」
咄嗟に土汚れが付いた手を前に出してみるが、手前に居た子供の大きさの土蜘蛛がギギィッと、金属を擦り合わせるような音を立てた。
「!」
その音に怯んでしまい、手を胸元へと引き寄せてしまう。
「っ、怖い。意識が集中出来ない」
術をちゃんと使う最低条件は、意識集中して力を|術《すべ》ること。
でなければ力は暴走する。暴走とは体内で力が暴発してしまうこと。
それを知った今、この状況下では私にちゃんと力を使えるのは無理だと思った。
力を使えたとしても土蜘蛛の群れは蠢き続けて、私を囲もうとジリジリとその距離を詰めている。目の前の一匹を運良く炎で焼いても、残りの土蜘蛛達を一掃出来るなんて思えなかった。
「はぁっ、はあっ、凄いなぁ……杜若様達はこんな怖いものと、いつも戦っているんだ……」
場違いな感想で現実が変わる訳でもない。
土蜘蛛の群れが私と距離を詰める音は、枯葉の川の中にいるようで、ガサガサザラザラした音が不安を増幅させる。
土の生臭い匂いも感じて気持ち悪い。
また走り出すにも、足は疲労で震えてまだ動けない。いつの間にか草履が脱げて足袋が汚れていた。
それを見て自分の運命を悟ってしまった。
そっか。私ここで終わりなんだ。
今から土蜘蛛達に食べられる。
──杜若様においなりさん、渡せなかったな。
もっと、ちゃんと喋ってみたかった。
これから、いろんなことをしてみたかった。
そんな思いが頭をよぎった。
すると先程、鳴いた大きな土蜘蛛がガサゴソと私に近づいて来た。
土蜘蛛が大きくて鋭い節足を、前に伸ばせば私に届く距離。至近距離で大きく脚を振りかざすのを見てしまい──。
「殺されるっ」
思わず体を小さくして、強く目を瞑ると。
『チ、がう』と言う音を聞いた。
さらに──『征こゥ。一緒ニ』と、聞こえた。