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すちは隣に横たわるみことの髪を、そっと指で梳いた。
昨夜の熱はまだ残っている。肌に残る余韻と、互いの温もりがそれを物語っていた。
「おはよう、みこちゃん」
優しく呼びかける声に、みことがゆっくり目を開ける。
「……ん、おはよう……」
声は少し掠れていて、顔には昨夜の名残が色濃く残っている。
それでも、視線はまっすぐにすちを見つめ返していた。
すちはそっと額に口づけを落としてから、囁くように言った。
「昨日の……みこと、すごく綺麗だった。いつもと違って、積極的なみことも……すごく、よかったよ」
みことはぱちりと瞬きをし、それから少しだけ顔を背けて、枕に頬を埋めた。
「……覚えてるよ。ちゃんと……酔ってたけど、全部はっきり」
その声はどこか甘く、でも恥ずかしさに揺れていた。
そして、ほんの少し間を置いて、ぽつりと続ける。
「……まだ、残ってる感じするの。すちの、いっぱい中に……」
その言葉に、すちは思わず息を呑んだ。
みことは顔を真っ赤にしながらも、ちらりと視線を向けて、続ける。
「だから……ねぇ……すち……出して、くれない……?」
喉が鳴るほどの沈黙のあと、すちはみことの腰に触れ、静かに彼の願いを受け入れるように唇を重ねた。
すちはそっと、みことの腰を引き寄せると、内側に優しく触れた。
みことの体がぴくんと反応し、口元を覆って声を堪える。
熱を宿したその身体に、まだ昨夜の名残がしっかりと残っていて──すちは指先で確かめるように、ゆっくりと撫でる。
「……まだ、たくさん残ってる」
囁く声に、みことは小さく身じろぎしながら、赤く染まった頬をすちの首にすり寄せた。
「……っ、だから……お願い、してって……言ったのに……」
みことの指がすちの背に回り、爪がほんの少し食い込む。
すちはその手を優しく取ると、敏感な場所を外さないように丁寧に撫でながら、ゆっくりと掻き出すように動かし続けた。
そのたびに、みことの息が上ずり、体が熱を帯びていく。
「……感じてるの、隠さなくていいよ」
そう囁いた瞬間、みことは堪えきれずにすちの首筋に噛みついた。
「……っ、ごめ、でも……っ、もう、っ……だめ……!」
肩が震え、足が絡みつく。
堪えていた声が、甘い吐息と共に溢れ、みことの身体は小さく跳ねながら、その瞬間を迎えた。
すちはみことの頭をそっと抱え、髪にキスを落とす。
「……いっぱい我慢してたね。偉いよ、みこちゃん」
その優しい声に、みことの胸がじんわりと熱を帯びる。
涙ではないけれど、込み上げる想いが喉を締めつけるようだった。
「……好き。すちが、好き……」
みことはもう一度、静かにその言葉を呟いた。
すちはただ黙って、その声を胸の奥に刻むように抱きしめた。
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すちは肩口をそっと撫で、自分の首筋に触れた。
そこには、みことが甘えるように、でも本能のままに噛みついた跡が、ほんのり赤く残っている。
鏡で見ればきっと目立つのだろう。
それなのに、なぜか胸の奥から熱がこみ上げてくる。
――こんなふうに印を残してくれるなんて。
いつもは小悪魔みたいにふわりと笑って、触れては逃げるようなみことが、昨夜はまるで逆だった。
縋るように、求めるように、すちを必要として、すちだけを見つめてくれた。
「……噛まれたとこ、熱持ってる。でも、なんか……嬉しいな」
ぽつりと呟いた言葉に、隣でみことが顔を覗かせる。
「……えっ、見える? 結構強く噛んじゃった……ごめん」
「謝らなくていいよ。むしろ、もっと……やってくれてよかった」
すちは微笑んでみせるが、その瞳には静かな光が宿っていた。
そして少しだけ真剣な声音で、みことを見つめる。
「でも、ひとつだけ。……お酒、俺以外の前で飲むの、絶対ダメ」
「……え?」
みことのまばたきが一度だけ、音を立てるように静かに響いた。
「昨日みたいに甘えて、誘って……俺だから受け止められたけど。もし他の誰かだったら、って考えると……嫌でたまらない」
そう言いながら、すちはみことの手を取り、その指先に唇を落とす。
「……俺の前だけで、崩れて。俺の前だけで、無防備になって」
低く、けれど優しく重ねられたその声に、みことの胸がきゅうっと締めつけられる。
「……わかった。俺、すち以外の前では飲まない。……飲みたいとも、思わないよ」
まっすぐに向けられるみことの瞳は、どこまでも素直で、何より真剣だった。
すちはその言葉に安堵しながら、そっと抱き寄せる。
そして、静かに耳元で囁いた。
「……それでいい。みこちゃんは、俺だけのものなんだから」
みことはその言葉に、顔を赤く染めながら、けれど嬉しそうに小さく笑った。
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