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私にとって最も大切なこと。
それはもちろん、お兄ちゃんとの愛に満ちた生活! ただひたすらお兄ちゃんを愛し続けるだけの人生を送りたい!!…………なんてね。
さて、今日は何をして過ごそっかな〜♪ 私はベッドの上でごろんと横になりながら天井を見上げる。
この家に引っ越してきてから1ヶ月半くらい経つけど、まだまだ新しい発見がある。
例えばここは2LDKだけど寝室にはダブルサイズのベッドが置かれている。
これはもう一緒に寝るため以外考えられないよね。
でもここで問題なのは私が先に寝ているときにお兄ちゃんが部屋に入ってきた場合だ。
もし寝返りを打った拍子にうっかり抱きついてしまったりしたら……
きゃー! もうすぐ授業始まっちゃうよぉ……! 遅刻だよぅ! 今日は遅刻ばっかりしてるよぉ~!! はぁ…………もうお嫁に行けないかも……。
先生ごめんなさいっ!! でも、あの時は仕方なかったんです!!……えへ♪ だって男の子に告白されちゃったんだもん♡ しかも二人同時にねっ☆ 私モテ期到来!? キャッホーイ!! これで私は一生安泰!! さすがの私も彼氏いない歴=年齢じゃなくなっちゃうかも♪ やったぜぇ~い!!! だけど今はちょっとだけ後悔しているかな? なんでって? そりゃそうだよね。
だって私には今好きな人がいるんだから―――
*****
「ふわああぁぁぁ~!」
とある日の昼休みのこと。
中庭で一人の少女が大きなあくびをしていた。
少女の名前は天宮アスカ。
日本人離れした顔立ちをした彼女はこの学校の有名人でもあった。
なぜなら彼女は容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の三拍子揃った超が付くほどの優等生で、さらに家柄も良いときているのだからまさに非の打ちどころのない女の子と言えるだろう。
そのため彼女のことを悪く言う者などこの学園にはおらず、教師ですら一目置いているくらいだ。
もちろん男子生徒からの人望も厚くて人気も高いのだが……なぜか彼女にだけは彼氏がいないらしい。
これはおそらく本人が恋愛に興味がなく、むしろ嫌悪感すら抱いてしまっていることが原因だろうと噂されている。
というのも彼女にとって恋とは下らないものであり、まったく価値の無いものだと決めつけていたからだ。
つまり異性に対しての関心や興味が全くないのである。
それどころか同性に対してもどこか距離を置いている感じがあり、あまり親しく話そうとしないのだ。
まるで他人との付き合いを拒絶しており、誰とも関わり合いになりたくないといった様子さえ窺えるほどである。
だがそれも無理はないかもしれない。
なぜなら彼女の家庭環境はかなり複雑で複雑な問題を抱えていて、家族との関係がうまくいっていないことが原因で心を閉ざしている可能性が高いからである。
しかもその問題は根が深くて簡単に解決できるものではないのだとか。
だからこそ学校では明るく振舞っているものの、家に帰れば一人きりになってしまう孤独な生活を送っているのではないだろうか? もしそうであるとするなら可哀想なことだと思う。
でもだからといって僕にできることなんて何もないし、何をしてあげればいいかも思いつかない。
ただ傍にいるだけでいいんじゃないかと思ったりするけど……それじゃダメなんだろうか?
「……やっぱり駄目だよなぁ」
隣を見ると彼女は静かに寝息を立てており、今日もまた夜更かしをしたようだ。
この子は一体いつ眠るつもりなんだろう。
いやむしろ本当に眠っているんだろうか? もしかすると夢の世界に浸っているだけかもしれない。
「ふぅー」
とりあえず少し落ち着いたので深呼吸をしてみる。
すると鼻腔には女の子特有の甘い匂いが広がり、柔らかそうな唇はすぐ目の前にあった。
「……ん?」
そこでようやく自分が何をしているのか気付き、慌てて身体を離して距離をとる。
いつの間にか眠っていたようで、目を覚ました瞬間に誰かの顔があったという状況らしい。
「お、おはようございます……」
「ああ、うん。おはよう」
彼女は顔を真っ赤にして俯いており、こちらを見ようとしない。
どうやら相当恥ずかしいようだ。
「ごめんね、ちょっと寝ぼけてたみたいでさ」
「いえ! 全然大丈夫です!」