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Wow...✨(‘0’)
大好きです!!!もう一生監禁されてろ((
ツキノワグマの習性を知っているだろうか?
植物性の強い雑食で、大型草食獣を捕食することもある、本州や四国に生息する夜行性のクマだ。
それだけならまだかわいいのだが、鉄筋をへし折り、鉄板を噛み砕くほどに力が強く、縄張りも持たないために1日で何十キロと移動する。
そしてなにより、よく知られているのは獲物への執着ではなかろうか。
兄貴が自分のものにならない
いつからこんなことを思い始めたのか、今となってはもう覚えていない。
だけど、俺は毎日毎日毎日毎日悲しくて悔しくて、こっちを向いて欲しかった。
俺だけを見て欲しかったのに。
兄貴は、姉御を見るんだ。
月夜の晩、京都は兵庫に呼び出され、人気のない鬱蒼とした公園に来ていた。
「兵庫?なんでこんなとこ呼んだん?なんか悩み事でもあるんやったら、お家で話そうや?」
「急に呼んでごめんなさいっす、京都さん」
「…?」
兵庫は不気味なほどの良い笑顔で、京都を見つめる。
何か違和感を感じ、京都は身構えた。
「俺ね、もう我慢の限界なんすよ。兄貴は京都京都って、ずーっと…俺といる時もそうっす」
兵庫は一歩、また一歩と近づいてくる。
それに合わせて、京都も後退る。
「だから…死んで欲しいっす」
「兵庫…あんた、何言うてんの…」
ジャキっと兵庫の爪が伸び、鋭いそれが月光に照らされる。
風が一陣吹いて、京都は走った。
(あいつ…まだ追って来とる…!僕が死んだらどうなる…?兄貴…ってことは、大阪よね…?このまま僕が殺られたら、大阪が危ない…!!!)
後ろから来る殺気に内心冷や汗をかきながらも、京都は動きにくい着物で走った。
ザシュッッッ!!
「ッ!?ごふっ…!」
急に背中に大きな衝撃が走り、背中がありえない方向へ曲がる。
「ヒュッ…ヒュッ…」
「まず1人…お世話になりました、京都さん」
「ま…て…ッ!!」(大阪…大阪が…)
徐々に視界が暗くなり、去っていく兵庫の足だけが見えた。
「…ぁ?」
ぱち、と目を覚ました。
見たことがない壁と冷たい床に、脳がサーっと覚醒していく。
「どこやねん…ここ… 」
ジャラッ
「…なんやこれ…?きもちわる…」
よく見れば四肢を縛られ、首にもプレートがついているのか、チャラチャラと小さく鳴る首輪が嵌められていた。
「あ、起きたっすか?」
「兵庫!」
「おはようございますっす!元気そうでよかったっす!」
「なんやよかった、誘拐されたんか思ったわ!な、これ早よ解いて!」
おはようという言葉に疑問を抱いたものの、よく知った顔を見て、大阪は安堵した。
「え?なんで解かなきゃいけないんすか?」
この言葉を聞くまでは。
「…は?え、いや…なんでって、逃げるためやけど…?」
「は?」
「ひっ…兵庫…?な、なんかお前、おかしっ…」
兵庫は大阪の口を片手で塞いで低い声で何かを呟いたかと思えば、気が狂ったように明るい声で話し始める。
「兄貴はまだわかってくれねえの…? あーそっか!兄貴はまだ寝ぼけてるんよな?!そうよな!ここまでやったのに、俺の気持ちが伝わっとらんわけないよな!そうでしょ?ねえ。そうやんな」
「ぅッ…ぁ…」
ミシミシと顎の骨が嫌な音を立てた。
痛みで生理的な涙が出てきた。
兵庫は奥の見えない瞳で大阪の瞳を見つめ、手の力を強めてくる。
兵庫はツキノワグマ。
力の差は歴然であり、人骨を砕くことくらい容易い。
「…おっと、流石にやりすぎやったかな?許してくださいね、兄貴」
「ゲホッ…ハ…ハッ…ヒュッ…」
ガチャガチャと音を立てながら、兵庫からできる限りの距離を取った大阪。
兵庫はにこっと笑い、「お土産がある」と言って赤い布を引きずってきた。
「これ、何かわかりますか?」
「…わからん… なん…?これ…?」
「京都だったものっす」
「…ぇ?」
「ちょっと顔を抉りすぎたっすかね?えーっと…あ、これ京都の扇子やったっけ?これでどうです?」
からんと音を立てて大阪の前に投げられたそれは、確かに大阪が京都に贈った扇子だ。
一部赤くなっているが、青地に紫の花が見える。
「ぁ…あ…あ…」
「これ、兄貴からの贈り物でしたよね。羨まし…」
赤い布の正体がわかった気がして、大阪は扇子を見つめながら涙を溢すことしかできない。
そんな大阪を見ながら、兵庫は扇子を踏み折った。
「じゃあ、俺はコレの処理してくるんで。折れたやつでもええんなら、それあげるっすよ。また来ますね」
「…………」
決壊したダムのように涙を流す大阪は、もう反抗心を無くしたようだ。
ずるずる引き摺られていく赤い布と踏みつけられた扇子を交互に見比べながら、大阪の地獄の生活は始まった。