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2回目の卒業。でも、卒業という言葉の中で少し特別な意味を持つ小学校の卒業は、様々な感情を生ませてくれる。
「さむっ、あーちゃんお腹冷やしてない?」
「大丈夫。奏舞のほうこそ、この前風邪引いたんでしょ」
「そうだよ奏舞。あんまり冷やさないで」
卒業式の日。私たちは最後の登校日になる。でも、何も変わらない。いつも通りランドセルを背負って、いつものメンバーで、何気ない会話をするのだ。違うのは、服装と髪型だけ。
「なんで卒業する人が早く行かなきゃいけないんだろ」
なぜだかわからないけど奏舞がぷりぷりしている。
でもたしかに、私たちは祝われる側なのに祝う側より早く来いというのは腑に落ちない。
奏舞はたまに、常識だけど常識になる意味を考える時がある。それは考えてもくだらない事だったりするけど、考える時間が大切なんだと最近思うようになった。
「おはよ」
「アイラ!おはよぉ」
「おはよう愛楽」
「光平、いつの間に愛楽を呼び捨てに…?」
「空舞気づいてなかったの?前々からあーちゃんのこと呼び捨てにしてたじゃん」
「ちゃん付けは罪深いと思っていたけど呼び捨ては尚更だ…!!」
「空舞はさっきから大丈夫?」
頭を打ったのかと心配になるけど、とりあえず無視しておくことにした。
こんな会話が今日からできなくなるわけじゃない。みんなと会えなくなるわけでも、小学校に一生来れなくなるわけでもない。それでも、少しだけ淋しさを感じるのはなぜなのだろう。
考えても仕方の無い、常識か。
「御神愛楽」
「はい」
卒業証書を受け取る。校長先生が、がんばってと微笑んでくれた。
私たちはこの先、どう生きていくのだろう。全く同じ面々が同じ中学校にあがるわけではない。感じ方が変わったり、世界の見方が変わることだってある。そんな変化ばかりの世の中で、私たちは頑張れるのだろうか。
「和倉光平」
「はい」
きっと、がんばれる。頑張れなくても、他の仲間が頑張ってくれる。仲間が疲れた時は、私ががんばればいい。世の中は大抵、そうやってできている。
これもまた、考えても仕方ない常識なのだ。
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コメント
1件
卒業式の日の「何も変わらない日常」と「ちょっとだけ違う淋しさ」のバランスがすごく素敵でした。空舞が光平の呼び捨てに大げさに反応するところとか、奏舞が「なんで卒業する人が早く行かなきゃいけないんだろ」ってぷりぷりしてるところ、本当に小学生だなあって微笑ましくなります。でも「考えても仕方のない常識」という言葉が何度か出てくるのが、子どもながらに何かを感じ取っているようで、切なくもあり温かくもありました。卒業証書を受け取る場面、校長先生の「がんばって」の微笑みがとても印象的です。新しい一歩を踏み出す彼女たちの未来が楽しみになる、優しい回でした。