お金の引き出しをする為に、銀行に俺はきていた。勿論、通帳は俺の財布に入っている。というか、こういう強制家出もほぼ2週間に一回はあるほど頻繁にあるので通帳を持っているが、はじめの頃は通帳がなくて金欠でよく困っていた。・・・笑えねぇ(ボソッ)
「福沢諭吉2枚と、野口英世が4枚・・・・十分だろ」
銀行のATMから、そのぶんの金額を引き出した俺は、今日の晩飯は何にしようかと頭を巡らせていた。
親も居ないし、自分の財布と相談しながらではあるが好きなものを沢山食べられるということで口元がニヤついてしまった。なぜだか知らないが俺の周りの人がちょっと離れたような気がする。
そうして銀行から出て、路地裏を通ろうとした時、たまたま視界の隅に入ってしまった人影、あまりに珍しい為、見てしまった。それは、青髪の少年が満面の笑みで、銀行に火を点けようとしていた所を。
「は?、ッ!おい!、何してんだ!よせ!」
俺は咄嗟の判断で口がでてしまった。その声を聞いた少年は火を付けるのをやめ、不快そうにゆっくりとこちらを向いた。
「あ?、せっかくオレが気持ちよく火を点けようととしてるのに何邪魔してくれてんの・・・・・?もういいや・・・・・死ねよ」
彼はキレながら、手をこちらに向けて、火の玉を出した。
「うお!、危ねえぇ!」
俺は、迫る炎の玉を横に転んで避けた。そのまま飛んでいった火の玉は銀行の向かいにある八百屋に当たり、そのまま大きな炎となって八百屋を包んだ。ざまあみろ、小さい頃俺を馬鹿にした罰だ!。やべぇ、今日は飯が進む!。
「ッチ、さっさと死ねばいいのに・・・・・」
そう言いつつ再び俺の方に迫る火の玉。前のよりも早く大きく、そしてその炎の玉は俺の死のカウントとなっていた。だが俺には、ダイスカプセルがある。俺はどこからともなく出できた。黒いカプセルを火の玉に向けて、投げつけた。
「ダイスロール!」
その黒いカプセルは火の玉に向けて飛んでいき、火の玉を相殺した。
「なッ!!!!!」
青髪の少年は、自身の火の玉が相殺されたことに動揺し、固まってしまっていた。いやそんなに動揺しんでもええやん?さて、俺のサイコロの目はどうなっているのかな。俺はゆっくりと進んだ。強キャラ感があっていいから。
「へぇ、何者?お前・・・・」
俺の強キャラオーラをビンビンと感じたのか、少年は初めてのあったときの気怠げな感じから打って変わってニヤリと笑いをして、声を弾ませながらそう言う。俺は3つの8面ダイスのサイコロを拾い上げてゆっくりと落ち着いているように返した。
「俺はただの通りすがりの家出少年だ。」
「答える気はないってことね・・・・・!!!!」
その発言が彼に冗談として受け止められ、そして、拾い上げたサイコロの方に視線を向けた。
赤いサイコロ(身体能力値) 1(一桁)
ステータスオール1×(身体能力値)1 =ステータスオール1
青いサイコロ(能力数) 3 #【修復】__リペア__# #【水作成者】__ウォータークリエイター__# #【部分空間移動】__パーソリーテレポート__#
黄色いサイコロ(武器) 2 鞭 攻撃力10 耐久値10
赤いサイコロが毎回1しか出てこないことに最近殺意を覚えてきた。死ね!!
まあ、それは置いといて、液体を作れるこの【液体作成者】はあの少年に有効だ。早速使って見るか。身構えた少年にゆっくりと笑いながら向いた。
「少年、さっきまでのお返しだ。放火をしないって約束してくれたらここは開放してあげよう」
もう被害は出てるけどね。(八百屋)しかし、俺の舐めた態度が気に食わなかったのか、挑発的に言った。
「嫌だね。お前なんかに止められるわけ無いじゃん・・・・・。」
そういうと彼は両手から火の玉を作り、互いの火の玉を胸の中心で重ね、より強い玉を生み出し、少年はニヤリと笑いながら唱えた。
「#火炎砲__ファイアーキャノン__#!!!」
避けるのが精一杯だったあの火の玉よりもより強力で、強い玉が俺の方へ着々と近づく、避ければ八百屋に当たるが、貫通してその後ろの駄菓子屋に当たってしまうかもしれない。あの駄菓子屋のおばちゃんはとてもいい人で内緒でうめぇ棒や、ねり飴を貰ったことがあり、恩がある。八百屋は知らん。せいぜい、焼け跡になれ。
そう思うと、自然と両手を重ねて液体を作ることにした。火に有効なのは水だ。俺は、水が出ることを願いながら唱えた。
「#水光線__ウォータービーム__#!!!」
俺の手から勢いよく出てきた水が、少年の必殺技と思われる火炎砲に当たる。火炎砲と水光線が当たる。2つの技が重なり合い、衝撃波が出来る。
「いっけぇぇぇ!!」
少年の声とともに、火炎砲の威力がより高くなる。しかし、俺も負けるわけにはいかない。駄菓子屋のおばちゃんのためにも。
「ハァァァ!!」
その声とともに俺の水光線はさらに威力が高くなる。両者とも一歩も引かない戦いが続いた。あれ?、【部分空間移動】使えばよくね?。あ、雰囲気的に駄目なやつだわコレ。そう思いながら水光線を出していると、何処からともなく腹にパンチが食い込む。相手は青髪の少年だった。
「ガハッ!」
水光線がパンチによって無くなり、火炎弾も俺に当たり、路地裏の隅にふっとばされる。何とか全体が焼け焦げることは免れたが当たった所は燃えてしまった。
「ハハハハ!!!、いやぁ久々にオレについてける相手が出てきて楽しめたけど、オレの方が上だったねぇ」
そう言い、頭を指す。少年の方が頭がいいとでも思っているのだろうか。クソッ、俺が【部分空間移動】を惜しみなく使っていれば!。だが、俺は#銀行の放火__・__#を止めることを目的にしていた。それに、俺にトドメを刺すのは遅すぎた様だ。
「いやぁ楽しかったなぁ・・・・・。でも、これで終わりだ。死ね!」
俺に火の玉を向けて、トドメを刺そうとした時、サイレンの音が鳴り響いて、段々と近付いてきていた。そう、俺はこれを狙っていたんだ。俺はニヤリと笑いながら少年を見た。俺を殺したら火が放つ大きな音とその煙が出てきてバレてしまい、BS認定される。でも瀕死の状態で放置なら、見つかるリスクがなくなり、BS認定されない。そして、相手に向かってスキルを発動したら、たとえ正当防衛でもBSではない限りそれは罪に問われるため、黙認するしか道はない。その中で少年はどうするか。
「ッチ、お前を殺して見つかるのはまずい・・・・・決着は、次にする・・・・・」
彼はそう言い残すと、走り去っていった。俺は、火炎砲に当たった所を咄嗟に見た。やはり焼けた様なあとが生々しい。
「【修復】」
俺は、焼けた体に向けてスキルを行使すると、激痛がはしるものの、ゆっくりと傷を修復した。ついでに、焼け焦げ跡がある服を修復し、ゆっくりと事態が大きくなる前にその場を去った。
チラッと見たが消防隊員の健闘も虚しく八百屋は全焼していた。ヤッタゼ☆
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