テラーノベル
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そして、十五歳の春。
二人が最後に言葉を交わしたのは、月が美しい夜の庭園だった。
「滉斗、今日から君は若井家の次期当主として、北の国境へ修行に行くんだってね」
元貴の声は、もう子供の頃の甘えた響きを持ってはいなかった。静かで、どこか諦念を含んだ王族としての声。
「…行きたくないと言えばお前を連れて逃げれるか?」
「冗談はやめて。君は僕を守る剣になるんでしょ?」
元貴は、寂しそうに微笑みながら、自分の首元に下げていた翡翠の首飾りを外し、滉斗の手に握らせた。
「これが僕の代わり。……さよなら、ひろぱ」
その夜を境に、二人の交流は完全に途絶えた。
手紙の一通すら届かない月日が流れ、いつしか二人は「幼馴染」という言葉で片付けるには重すぎる想いを抱えたまま、大人になってしまった。
一人は、国民から不安視される戦えぬ次期国王として。
一人は、心を氷で閉ざした国最強の若き当主として。
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コメント
2件
めっちゃ好きです 続きどうなるのかなぁ