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雲雀side
ポンポンっと頭を触る感覚がして、
目を覚ます。
渡「ん⋯」
ムクっと顔を上げて、
身体を伸ばすとKNTと目が合う。
⋯目が合う。
風「⋯え?!KNT!」
起きてる。KNTが。
風「はは、ひば、ごめんな」
渡「ん。大丈夫。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎でも無理はすんなって俺言った」
風「ごめん」
謝ることしかしないKNTに
イライラしたけど、 病人だから許してやる。
てか
渡「なんで熱あんのに学校来たの?」
どうせ謝られるだろうけど。
そしたらこの質問にはスラッと答えてくれた。
風「体育祭じゃん?ひばとサッカーじゃん?
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎かっこいいとこ見せたいじゃん?だから」
⋯ということは。
俺のため?
俺にその、サッカーしてる姿見せたくて
無理してきたってこと?
渡「なんで⋯、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎てか今年じゃなくたって来年も⋯」
風「なんとなく、来年じゃ遅い気がして」
なんだよそれ。
遅くなんかねえのに。
俺、お前が思ってる以上に
お前しか見えてないよ?
渡「⋯そっか」
一瞬にして訪れる沈黙。
それを破ったのはKNTだった。
風「ここまで⋯どう運んだの?」
渡「あぁ、横抱き」
風「?!なに、お姫様抱っこってこと?!」
渡「うん、そうだけど」
運んだことを聞かれたから答えたら
なんかパニクってる。
そんなにパニくる?
風「重く⋯なかった?」
渡「ふは!逆。軽すぎてビビった」
風「へ?」
渡「まじで軽すぎ。俺より軽い、絶対」
風「いや、ひばよりはあるよ」
さっきまでパニクってたのに、
急に冷静になるじゃん。
急に真顔なんじゃん。
まじでこいつといると楽しいわ。
感情が色々と動くから。
しばらく話して「もう大丈夫」と
答えるKNTを支えて保健室を出る。
出る間際に「ひば、ありがと」そう言われて、
顔が熱くなる。
風「はは、顔真っ赤!ひばが今度熱出した?」
なんて触ってこようとするから、
慌てて顔を背けた。
風「じょーだんっ」
顔を背ければそう言ってスマスタと
歩いていってしまう。
その背中を小走りに追いかける。
体育祭が無事に終わって、
KNTも完全復活してた。
なんかまだ、
俺にお姫様抱っこしてもらったことが
恥ずかしいのかたまに顔を赤くする。
これって、俺の事好きってことであってる?
って幼なじみのセラおに聞けば
『そういうことじゃないの?
てかまだ付き合ってなかったの?』と
呆れられる始末。
それからは季節は秋を通り越して、冬。
2月。
もう、2年が終わろうとしてる。
ああ、もうすぐ終わりかあ。
クラス替えとかしたら、
KNTと離れるんかな。
それは嫌だなぁ。
その前に告っちゃうか。
とか色々と頭で考えていると、
KNTに声をかけられる。
風「この後暇?」
渡「うん、暇」
風「じゃあ、俺に付き合って」
渡「いいけど、どこ?」
風「んー、内緒!」
なんだよ、内緒って。
お化け屋敷とかだったら許さねえよ?
まじでお化けとか無理だから。
なんて思っていた俺をぶん殴りたい。
連れてこられたのは、夏休みに2人できた海。
この前は太陽に照らされてたけど、
今日は夕陽に照らされてる。
まだこれもこれで猗麗。
風「なぁ、ひば」
オレンジに光る海を眺めていると、
名前を呼ばれる。
渡「なに?」
風「ひばって好きなやついる?」
渡「へ?」
突然そう聞いてくるからびっくりして
KNTを見るけど海から目をそらさない。
風「だから、好きなやつだって」
好きなやつ。
渡「⋯いるよ」
風「⋯そっか、だよな」
なんでそんな悲しそうな顔すんだよ。
俺が、好きなのはお前だよ。
KNT。 と喉まででかかった言葉を飲み込む。
風「今から俺が言うこと、
独り言だと思って聞いてて」
そう言うとKNTは、ポツリと話し始めた。
風「俺、この前、振り向いて欲しいやつに
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向いて貰えないって言ったべ?」
渡「⋯」
風「んで、何かしようって思って
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎夏休みとか結構遊び誘ってたんだけどさ」
俺だけじゃねぇんだ。
遊んでたの。
風「まだ振り向いて貰えてなくて
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎そしたらこの前そいつの前で倒れてさ」
俺の他に居たか?
KNTしか見てなかったから
わかんなかったけど。
風『でも、ある意味良かった。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎弱いとこって見せたくねえけど見られて
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎良かったかもとか思って』
渡「⋯うん」
風『でもさ、もう高2終わるじゃん?
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎でクラスも変わるしさ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎気持ち伝えようと思って』
うわ。
好きなやつが告るって話、
聞くのこんなに苦しいんだな。
なんか泣きそう。
風『⋯⋯好きだよ。ひば』
渡「⋯」
好き⋯誰を?
風『雲雀』
俺の名前⋯?
風『こっち向いて』
グッと肩を掴まれて、向かい合わせになる。
風『好きだよ、雲雀。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎俺と付き合ってください』
俺の目をしっかりと見て、
真っ直ぐ伝えてくる。
俺もKNTを見つめてるはずなのに、
何故か視界がぼやけてきて。
風「⋯はは、なぁに泣いてんの。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎そんな嫌だった?」
俺、泣いてんのか。
泣いてんだ。
違う。嫌じゃない。
その思いを込めて、横に首を振る。
渡「⋯KN⋯T。KNT、俺っ⋯も好き」
あれ、俺こんなに涙もろかったか。
なんでこんなに泣いてんだ。
風「え?!ひば!もっかい!
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎もっかい言って!!」
嫌だね。
恥ずかしい。
でも「雲雀』そう呼んでくれたら
言ってやってもいいよ。
風「雲雀、もう1回言って」
やっぱり。
お前は俺の心読めすぎ。
渡「⋯好き。KNTが好き。俺も」
涙が止まってはっきりと見えるKNTの顔。
愛おしくて、隣にいたい。
そ う思うKNTの顔。
風「抱きしめていい?」
渡「⋯好きにしろ」
風「素直じゃないなぁ⋯」
そう言いながらギュッと俺を抱きしめた。
これ以上ないくらい強い力で。
やっと、やっと俺の恋叶った。
叶うはずないと思ってたこの恋が。
嬉しくて。
だけど声には出せない
俺だからギュッとKNTの腰に腕を回した。
2月。
こんな寒い時に海に連れてこられて。
オレンジ色に輝く海に見守られて
俺はKNTの恋人になった。
風「⋯あ、これ。はい、雲雀」
『雲雀』って好きなやつに言われると
なんかこんなにも嬉しいんだな。
渡「なに⋯これ」
KNTが俺に渡してきたのは紫色の花。
風「告白、成功したら渡そうと思ってて。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎アネモネの花ってことだけ伝えとく」
アネモネ⋯。
ぜんっぜん分かんねぇ。
後でセラお達に聞こ。
てか、男から花束貰うとか地味に恥ずいわ。
風「かわいいね、雲雀」
花を見つめる俺を『ひば』ではなく
『雲雀』そう呼んでクシャっと撫でた。
⋯あ。
風「俺から⋯さ、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ひとつ言いたいことあんだけど」
渡「ん?」
風「振り向いて貰いたい人に
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向いて貰えたわ」
あの約束、しっかり覚えてるからな俺。
だから、報告⋯な。
渡「はは、俺も。振り向いて貰いたい人に
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向いて貰えたわ」
すんげえ遠回りな気がするけど
それも俺たちらしいかななんて。
渡「そういえばKNT、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎なんで突然 俺の事名前呼びしたの?」
風「んー?ずっと前から決めてて、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎告るときは 名前で呼んで成功したら
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎それから名前呼びに変えるって」
ずっと前⋯っていつからだろうか。
渡「ずっと前って?」
風「俺が雲雀に初めて出会った日」
あの、屋上の時から?
渡「あの屋上?」
風「うん、あの屋上。
でも雲雀が思ってる時じゃないよ」
渡「え?」
風「俺ね、ちょうど1年前のこの日に
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎雲雀に出会ってんの』
⋯は?
渡「は?!」
風「サボろうかなって屋上行ったら、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎寝てんだもん。 気持ちよさそうにさ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎2月にだよ?ブレザー掛けて寝てんの。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎その姿見たらさ一目惚れしてさ、雲雀に」
⋯⋯一日惚れ。
風「んで、会いたくて結構屋上通ったんだけど
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎すれ違いで全く会えねぇの」
あんなに屋上に行ってて、
会えねえってのも逆にすごい。
風「そしたら、なんと、同じクラスになれて。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎チャンス!って思ってあの日屋上まで
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎追っかけてったの」
渡「⋯すげぇな」
うん。凄いわ。
だって俺が好きにならない。
そういう場合だってあったわけだし。
風「⋯雲雀は?」
渡「俺⋯は、気づいたら。常に一緒に居て︎ ︎ ︎
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎KNTと いると心地よくて
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎あの駅で背を向けるのが
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎寂しいとか思って。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎気づいたら惚れてた。お前に」
スラスラと出てくる言葉。
すげぇ恥ずいんだけど。
風「はは、やっぱり雲雀はかわいいね。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ね、俺の事奏斗って呼んでみ?」
割と恥ずい事言ったんだけど俺。
軽くスルーしないでもらっていいですか?
割と恥ずい事言ったんだけど俺。
軽くスルーしないでもらっていいですか?
そんで そんな、名前呼び急かすなよ。
結構葛藤してたよ? 話してる時。
渡「⋯かな⋯と」
風「ん?聞こえなーい」
渡「あぁ!もう!かなと!」
風「へへ、ありがと。大好きだよ、雲雀」
高校2年生の冬。
ヘラヘラと嬉しそうに笑うお前の隣は
俺だけになった。
渡「⋯俺も。大好きだよ、奏斗」
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