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私の余命は1年もないらしい。
「仕方ないね」
私はそう言うことしか出来なかった。
「仕方なくねーよ!」
彼がいきなり叫んだ。
私は驚いた反射で、びくっとしてしまった。
「ごめんね」
ずっと言ってきた言葉。
また彼を困らせてしまうかもしれない。
もう彼に嫌な思いをさせたくないのに…。
本当にごめんなさい。
手術しない理由。
それは、これ以上彼に迷惑をかけたくなかったから。
ここで私の命を絶って、関係を終わらせようと思ったから。
そしてもうこれ以上、私も苦しくなりたくないからだ。
死ぬってこと、私でさえも分かる。
きっと苦しくて、寂しくて…。
言葉にできないようなものが、ぐっと込み上げてくるもの。
私はそれを承知した上で言っている。
簡単に言えば、この死に賭けている。
「もう帰る」
そう言葉を残し、彼は病室を出ていった。
彼と出会ったのは、合コンでだった。
一目見た時から私は彼に釘付けだった。
「(…メール、交換したいなぁ)」
そんな事を考えながらお酒をぐいっと口へと流し込む。
「(一番モテてるのは、咲良さんなんだろうなぁ…)」
私は人数が足りないから来させてもらっただけ。
咲良さんなんかにはかなう訳がない。
咲良さんは黒髪ロングで、綺麗系で、胸も大きくて愛嬌もある。
みんなは咲良さんに釘付けだ。
私は茶髪ミディアムで、可愛くも綺麗でもなく、胸は…まぁまぁあるが、大きいってほどでもない。
私に勝ち目なんて、最初から無いんだ。
「う、ぷ…」
やばい、飲みすぎた。
慣れないものなんか飲むからだ。
「大丈夫?」と智輝さんが駆け寄ってくる。
「う、ごめんなさ…」
私は目眩で視界がぐらついてしまい、智輝さんの胸に頭をぶつけてしまった。
すみません、と何度も謝っていると、気づけばトイレにいた。
私は何度も嗚咽しながら、智輝さんに背中をさすってもらった。
「本当にごめんなさい」と言った次の瞬間、熱いものが込み上げてきた。
私は吐いた。
智輝さんの目の前で。
終わった。幻滅された、絶対。
なんならおおと呟いていた。
「すみません…本当に…ごめんなさい…」
私は気がつけば涙が出てしまっていた。
「…手伝うよ」
智輝さんが私の口の中に指を入れてきた。
「んぐっ!?」
なにこれ…喉の奥まで指が来て、 なんか苦しい。
凄く迷惑かけてるよね、きっと。
私は、その後も何回も吐いた。
気がつけば、布団の中にいた。
「(終わった。)」
もう、寝よう。あの人の事なんか忘れよう。
忘れて、楽になろう。
でも。
少し、嬉しかったな。