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#一次創作
Hoha
37
月白
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いね
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羽海汐遠
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第二話【貴族吸血鬼と拷問官】※暴力表現を含む
「…ここは」
「ここは森の中さ。なに、そんなに怯える必要はない。簡単な話さ。この道をまっすぐ歩いてノクターンという名の吸血鬼の屋敷に行く。たったそれだけ。それで、契約は完了だ。」
「…そこに行ったらどうなるんですか?」
「吸血鬼に保護してもらえる。ブラットは今や貴重な存在で、夜は化け物に襲われ、病院で採血をすれば研究対象として研究員に捕まるだろう。だから、この人の気のない森の奥の屋敷で吸血鬼に保護してもらうんだ。私とあいつ…ノクターンとの契約はブラットを引き渡すこと。だからそう怯えるんじゃない。ノクターンはとても紳士的で、クラシックとワインが好きな上品な男だ。見た目もものすごく美しいし、ものすごく強い。彼に逆らう化け物はいないくらいにね。だからきっと安全さ。お前好みの男だと思うよ。それに、嫌だと思えば逃げ出せばいい。恋愛小説みたいで悪くない展開だろう?」
確かに、好みの男性に保護してもらえて、その上趣味も良くて…となると悪くないかもしれない。
ところで、ノクターンといのはショパンの曲名だろうか。確か夜想曲だったような…きっと、穏やかで優しい人なのだろう。
「ほら、笑顔が戻ってきた。いってらっしゃい」
そういうと魔女はどこかへ消えてしまった。
仕方ないので言われた通りにまっすぐに歩く。後ろを振り返ってはいけない気がした。
なんだか追われている感覚がして足を早める。夜の森は怖くて仕方ない。不思議なことにいつもより疲れを感じるのが遅くなった気がした。しばらく走ると道が開け、大きな屋敷が現れた。
洋風の白のような形をしていて、真っ赤で刺々しいバラが咲いている。
門のインターホンを鳴らす前に、メイド服を着た女性がやってきた。
「なにか御用でしょうか。」
そのメイドは機械的な口調でこちらへと語りかける。目にはハイライトがなく、不気味な雰囲気があった。
それに、腕や首筋にいくつも注射痕のようなものや牙で噛みつかれたような跡がある。
それを見るとどうにも緊張するし、身構えてしまう。
「っ、その、魔女に言われてきました。ノクターン様のお屋敷で間違いないでしょうか?」
「…はい、左様でございますが。」
「えっと、私もよくわからないんですけど、魔女がブラットを引き渡すという契約をしたらしくて…それで…」
「ご主人様に確認して参ります。少々お待ちください。」
「、!はい、ありがとうございます」
まるで足を怪我したかのようにぎこちなく走るメイド。ここで逃げた方が良かったのだろうか。しかし、暗い森の中を行くあてもなく彷徨い妹と同じ病気に苦しんで死ぬ勇気はなかった。
しばらくすると屋敷の中から長身の赤髪の男性がでてきた。異様な威圧感と雰囲気があり、そばにいるメイドは震えている。
思っていた優しくて落ち着いた雰囲気とは程遠く、それでも目が離せない。惹き込まれるようなその美貌は予想な遥か上を行くのにものすごく不気味に感じられた。
「ご、ご主人様をお連れいたしました。それでは、わ、私はこれで失礼いたします。」
メイドが去り、気まずい沈黙が落ちる。先に口を開いたのは男の方だった。
「お前がブラッドか。」
「っ、はい…その、私もよくわかっていなくて、本当かどうかは、わからないんですけど」
「…血を飲めばわかる話だ。来い。
…それと…逃げようなどとは、思うなよ。」
「は、はい」
どうしよう。もう後戻りはできない。もしかしたらこのまま、血を吸い尽くされて死んでしまうかもしれない。
あるいは妹と同じ病気にかかるのかもしれない。そう思うと足が震え、息が苦しくなった。
怯えていると男が口を開く。
「…まずは風呂に入れ。」
「…へ?」
予想外の発言に思わず間抜けな声が出る。
「ずっとそうしろとは言わん。が、食事の際は私の趣味に合う服装に着替えてもらいたいたくてな。風呂に入って服と靴を替えろ。」
「わ、っかりました。」
「服はメイドに用意させる。サイズを測らせてもらうぞ」
「はい…」
「失礼する」
きっと、食事というのは吸血のことなのだろう。直接吸うから風呂に入って欲しいのだろうか。
そんなことを考えていると、先ほどとは別のメイドがやってきて採寸しようとする。
すると男は無言でメジャーを奪い取って淡々と測っていく。
「…随分と細いな。ところで、好きな色はあるか?」
「えと、ピンクです。」
「ほう。なら、ピンクと白にしてもらうか。…白の方が、血がついた時にわかりやすい。」
「ありがとう、ございます。」
測り終わったのかメイドが持っているボードを取り上げて数字を書いて渡す。
男がメイドに視線を向けて口を開く。
「注文書だ。この通りに作れ。いいな?」
「はっ、はい。かしこまりました。失礼いたします。」
「風呂に案内する。ついてこい」
「はい」
メイドは去り、男と共にエレベーターに乗る。
男はそこで9階のボタンを押すと、口を開いた。
「私はノクターンという。ショパンの曲名だ。お前、名はなんという。」
「山城、帆晴です。」
「コハルか。」
「い、いえ、ヨットの帆の字と晴って書いてホハルです」
「失礼した。…悪くない名だ。…ついたな、こっちだ」
「んっ、」
ノクターンについていく。エレベーターに乗った後はどうもフワフワする感覚が残る。
それも9階も上がったとなると仕方がない。
「ここだ。あがる頃には仕立ては終わらせて置いておいてやる。脱いだ服はそこのカゴに入れておけ。」
「…すごく、綺麗ですね。わかりました、ありがとうございます」
「礼儀正しいな。感心する。では」
そういって立ち去るノクターンの背中はすごく美しいものに見えた。
だが、それと同時になんとも言えない違和感も覚えた。
とりあえず服を脱いでシャワールームに入る。湯船と床は白色で、水が流れる部分とシャワーの取っ手だけ少し赤くなっていた。
「…血?」
ゾッとする考えが浮かぶが、そんなことを気にしていても仕方がない。
温度に気をつけながらシャワーを浴び、薔薇の浮かんだ風呂に入った。
「…ふう、」
窓からは夜景が見渡せたが、木々が永遠と生い茂るだけで特に面白いものはない…と思いきや、たまに魔法使いのようなものが飛んでいたりした。
しばらくして風呂から上がると、約束通り綺麗なピンクと白の可愛らしい下着とドレスが置かれていた。
ドレスを着るのは初めてで少々苦戦したが、何とか着ることができた。
靴はピンク色のヒールで、リボンがついていてかわいらしいものだった。
普段はパンクファッションを着ているが、密かにこういう可愛らしい服装にも憧れていたから、少し気分が上がる。
「…よし」
外に出るとメイドが立っていた。
「…ドレス姿、とてもお似合いです。それでは、お部屋にご案内します。」
「ありがとうございます」
シャワールームのすぐ隣にあるようだった。
部屋の中もピンク色で、可愛らしいぬいぐるみや、大好きな子猫のキャラクターのぬいぐるみまであった。
ドレッサーにクローゼット。それに、大好きなパンクロックのCDやレコードまで置いてあった。おそらく私の服装を見て用意してくれたのだろう。まるで夢の世界のようだった。
「なにかたりないものがございましたらそちらのベルでお呼びくださいませ。お手洗いは先ほどのお部屋に入られましたら、シャワールームの扉のすぐ隣にございます。それでは、失礼いたします。」
「はい、ありがとうございます」
メイドが去って数分後。ノックがなり、ノクターンの声が聞こえる。
「失礼する。」
「、!」
「…似合っている、悪くない。気に入ったか?」
「はい、めっちゃ好きです、ありがとうございます」
「…その笑顔はいつまで持つだろうな。いや、失礼。気にするな。」
さらっと恐ろしいことをこぼすが、何もなかったかのようにベッドの方へ誘導される。
ノクターンはベッドのそばにバッグを置いた。
「…?」
「安心しろ。変な手出しはしない。座れ。」
そう言われて大人しく座ると、ノクターンが上から見下ろしてくる。
おそらく、190cmはあるだろう。体格差を改めて感じた。
ふと、何かを感じたのかノクターンは目を細める。
「…濃いな」
「え、?」
「フェロモンの話だ。」
「フェロモン、ですか」
「知らないのか。ブラッドは吸血鬼を誘惑するフェロモンと、甘美な血を持っている。」
「…すみません、」
「謝ることではない。気にするな。…吸血についてだが、首筋から直接吸わせてもらう。それが一番美味しいからな。安心しろ、牙から毒が出るからほとんど痛みは感じない。」
そういうとノクターンはバッグから何かを取り出し、それを隠し持った。
「ベッドに横たわって目を閉じろ。大人しくすれば、すぐに終わらせてやる」
言われた通り横たわる。ものすごく緊張する。きゅっと目を閉じて待つ。
バッグを漁る音が聞こえたと思ったら、今度はベッドが軋んで上半身を持ち上げられる。
「声を出すなよ。」
「っ…あ、!」
首筋に鋭い牙が当たり、突き刺さる。想像以上に痛かった。が、だんだん痛みが引いてくる。
「ん…」
強く噛まれたような気がした。が、しばらくすると牙が離れ、またベッドに横たわらせられる。
「目を開けろ。」
「…!?」
目を開けると、手首にナイフを突き立てられていた。
「声を出すなと言ったはずだ。が、お前は二度声を出した。」
そう言ってノクターンは私の手首を深く切った。
「あぁ…!!」
悲鳴が上がる。ノクターンはそれを楽しそうに見ていた。
「質問に答えろ。魔女は私のことをどんな人間だと言っていた?」
苦しい。痛い。そんなことに頭が回る余裕はなかった。
「黙り込むか。なら毒を使うしかないな。『自白』」
そう言ったノクターンの口からは僅かに紫色の煙が出ていた。
『自白』という声が耳を通して頭の中に入り込むような感覚がした。脳が侵され、グラグラする。
そして口が勝手に開いた。
「魔女は…あなたのことを、とても紳士的で、クラシックとワインが好きな上品な男だと。見た目もものすごく美しいし、ものすごく強くて、彼に逆らう化け物はいないといっていた。それと、きっと私の好みだろう、彼といればきっと安全だ、とも言っていた。」
それを聞いたノクターンの口元が歪む。
「ふっ…はははっ!私といれば安全だと?私がこの750年、何をしてきたと思っている。」
「え…?」
「私は拷問官だ。苦しめるのが趣味でな。私に逆らう化け物がいないのは、恐怖で支配していたからだ。」
「っ…!!」
この場から逃げなければ。そう強く感じ、起きあがろうとした。
が、すぐにノクターンによって押さえつけられる。
「抵抗するか。面白い。分からせてやる」
そういうとノクターンはもう一度、同じ場所をナイフで抉った。骨が見え、今まで感じたことのないような鋭い痛みが走った。
「あぁぁっ!!」
「いい響きだ。『重力』」
ノクターンが『重力』と言った途端、先ほどと同じ頭に入り込むような嫌な感覚がして急に体が重くなり、まるでなにかに押しつけられているような、重力が重くなったような感覚に陥った。
「なに、これっ…!」
「口頭毒魔法だ。吸血鬼の一部が持つ能力でな。口頭で脳や神経に直接命令を出し、感覚を支配できる。」
恐ろしい魔法だった。それと同時に、なんとも言えない怒りと屈辱が湧き上がった。
「っ…の、卑怯者!!何百年も拷問で人を苦しめ私欲を満たした変態が!!お前なんか…っ!」
言い終わる前にノクターンに再び首元に強く噛みつかれる。
重力が元に戻ると同時に、視界がぼんやりとして、やがて目を閉じてしまった。
コメント
1件
え、ちょっと待って!?!?😱💦 魔女の「紳士的で優しい」って紹介、完全に罠じゃん!!ノクターンかっこよすぎて一瞬ときめいちゃった自分を殴りたい…「拷問官」ってタイトル見てたのに普通に騙されたわ😭 でもさ、帆晴ちゃんがドレス褒められて「めっちゃ好きです」って笑顔見せた後に拷問始めるの、ギャップエグすぎてゾクゾクする…。口頭毒魔法とか重力操作とか、吸血鬼設定めっちゃツボです!続き気になりすぎて今夜眠れないんだけど!!⋆♡