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ドズル社ハウスのキッチン。朝の光が差し込む中、おんりーは一人、手際よくコーヒーを淹れていた。
「おあよぉ……。おんりー、早えな……」
背後から、寝癖を爆発させたぼんじゅうるが、ゾンビのような足取りで現れる。
おんりーは振り返りもせず、カップを二つ並べた。
「ぼんさん、遅いですよ。もうすぐ収録始まるのに」
「わかってるよぉ。でも昨日、編集で寝たの3時なんだって……」
カウンターに突っ伏すぼんじゅうる。おんりーはその横に、ブラックコーヒーを無言で置く。
「……ん、サンキュ。おんりーは優しいなぁ、ほんと。俺のこと大好きだもんな?」
ぼんじゅうるがニヤニヤしながら顔を上げると、おんりーは冷めた目で、自分のカップを口に運んだ。
「……別に。余っただけです」
「照れんなよ!このツンデレ!なあ、今日のエンドラ討伐、俺がかっこよく決めるとこ見ててくれよな?」
「期待してません。どうせまた、変なところで落ちるんでしょ」
バッサリ切り捨てるおんりー。だが、その口元はほんの少しだけ、コーヒーカップに隠れて緩んでいた。
「ひどっ!見てろよ、今日こそ『降参です』って言わせてやるからな!」
「はいはい。その前に、その寝癖直してきてください。画面外でも見苦しいんで」
「おんりー、お前、今さらっと毒吐いたな!?」
憤慨するぼんじゅうるを背に、おんりーはスタスタとリビングへ向かう。
その後ろ姿は、いつものように誰よりも速く、そして頼もしかった。
ドズル社ハウスの収録室。赤ランプが灯り、お馴染みの挨拶が響く。
「どうも、ドズルです!」
ドズルさんの元気な声に続いて、メンバーが定位置につく。今日の企画は『超難関アスレを2人1組で攻略せよ』
ペアはくじ引きの結果、おんりーとぼんじゅうるになった。
「よっしゃああ!最強の相棒、おんりー!俺たちの絆を見せつけてやろうぜ!」
「……足、引っ張らないでくださいね、ぼんさん」
おんりーはマウスをカチカチと鳴らし、一切の無駄がない動きでスタート地点に立つ。
「冷てぇ!お前、配信外だとあんなに優しくコーヒー淹れてくれたのに!」
「ちょ、ぼんさん!バラさないでください、キャラ崩れるんで」
おんりーの珍しく焦ったような声に、チャット欄が「おんぼんてぇてぇ(尊い)」の文字で埋め尽くされる。
「よーし、スタート!」
ドズルの合図とともに、おんりーが弾丸のように飛び出した。
一ブロックの隙間を縫い、空中で方向転換する神業。対して、ぼんじゅうるは……。
「うわあああ!待って!おんりー、速すぎ!そこどうやって飛んだの!?」
「普通にジャンプするだけですよ。……あ、そこ、溶岩出ます」
「えっ、ギャアアアア!!」
断末魔とともに、画面に流れる『bonjjは溶岩遊泳を試みた』のログ。
「ぼんさーん!!何やってんの!」
メンバーの爆笑が響く中、おんりーは中間ポイントでピタリと止まり、チェストから予備の装備を取り出した。
「……たく。これ使ってください。次は落ちないでくださいよ」
「おんりー……お前……」
「はい、喋ってないで早く来てください。時間の無駄です」
突き放すような言葉。けれど、おんりーは、ぼんじゅうるが追いつくまでその場を一歩も動かなかった。
「……ふふ、おんりー。お前、実は俺が来るの待っててくれてんだろ?」
「……うるさいです。早くしてください。」
ヘッドセット越しに聞こえる、おんりーの小さな、けれど確かな苦笑い。
これこそが、ファンが愛してやまない「おんぼん」の収録風景だった。
⚠このお話はフィクションです
NEWT…♡20