「ふーむ」
白手袋をした、三十代くらいの背の高い男性が、俺が出したブツをじっくり眺めている。重さを測ったら、叩いたり、機械で何やら観察したり、かなり時間をかけている。
「これは確かに純金に間違えないようですね」
鑑定士の低い声に俺の心は高鳴った。
「ただ、不思議なかたちなのが気になりますね。プライバシーなので深くは聞きませんが、元からこの形だったんですね?」
俺は頷いた。二十歳は超えてるから、買い取りしてもらうのに法的な問題はないはずだ。ただ、二十歳の人間がこんな金の塊を持っているのは不自然なことに違いない。とっとと売ってしまいたかった。
「査定金額は、15万円です」
「え!」
俺は思わず叫んだ。15万円!?俺のバイトの三ヶ月分よりも多い。それが、今日ためしに持ってきた1日分の排泄物の値段だと…。
「それではご確認ください。いち、に、さん…」
鑑定士が俺に払うお金を数えている間も、実感がわかなかった。
いったいどうなってるんだ。
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