テラーノベル
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交際2週間目にして、僕は気づいた。
僕たちはあまり、恋人らしいことをしていない。恋人らしいことと言えば…キスを2回。以上である。これは由々しき事態だ。付き合いたてのカップルと言えば、もっとベタベタしているものではないか。
そういうわけで、僕は敦彦をデートに誘うことにした。敦彦と2人で遊びに出かけたことは何回かはあったのだが、恋人として一緒に出かけたことはなかった。「初デート」というやつだ。初デートと言ったらどこだろう。やはり映画が無難だろうか。敦彦と観るに相応しい映画か…。
僕はPCを立ち上げ、最寄りの映画館で上映中の映画を調べることにした。
『呪い村』
却下。僕はホラーが苦手だ。
『猫と僕と人喰い鮫。』
ほのぼの系かと思ったら裏切られた。何だよ最後の。人喰い鮫だって?
『初恋♡ラブ』
そっとPCを閉じた。全く、ろくなものがない。
交際経験のない僕が、敦彦との初デートに適した場所なんて見つけられるわけがなかったのだ。
もう少し調べていいものがなければ、敦彦に相談することにしよう。
「___と言うわけなんだけど、敦彦。行きたい場所とか、ある?」
僕はそう言い切って、パンにかじりついた。この塩レモンパン、美味しいな。
おや、敦彦からの反応がない。視線を塩レモンパンから移すと、彼は口を半開きにして驚いたようにこちらを見ていた。何かおかしなことを言っただろうか。
「敦彦?」
「…あ、あぁいや。まさかお前からデートに誘ってくれるとは思ってなくて。その、嬉しいよ。」
デート。僕も心の中で連呼していたけれど、相手から直接言われると何だか恥ずかしい。
敦彦はそうだな、と言いながら顎に手を当て、考える素振りをみせる。
「映画がいいかな。『猫と僕と人喰い鮫。』が観たい。母さんが感想を熱弁してくれたんだが、どんな映画なのか検討もつかなくてな。気になってるんだ」
なんと。敦彦の母親はあの映画を観たのか。もしかしたら、僕が思っているよりまともな映画なのかもしれない。
パンの最後の一口を食べ終わり、僕は言う。
「なら、それにしよう。じゃあ駅前集合で、10時でいい?」
敦彦は両頬を膨らませながらこくりと頷いた。
そんなに詰め込まなくても、パンが逃げていくことはないだろうに。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回は前後編に分けることにしました。
1番最初の湊人くんの言葉は、私の心の叫びでもあります。
本当はもっと2人のいちゃいちゃを書きたいのですが、私では技量が足りず…。
とはいえ、初心者ですので。頑張ろうと思います。
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