テラーノベル
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何度観たかも分からない 見飽きた風景
誰も入れない、机や椅子が重なった階段
自分の呼吸の音しか聞こえない
静かで俺だけの場所
1つの足音が響く⎯⎯⎯⎯⎯⎯
『ぁれ、先約』
俺だけだった空間に、彼は突然現れた
整った輪郭、すごく綺麗に通った鼻筋、キラキラと潤った瞳
うわ、イケメン
『まぁいいや、此処いいですか?』
「ぇ、ぁ、うん。」
見ない顔
上履き赤だ、1年生。
1年にあんな子いたっけ
人が来るの初めて。
教室戻ろ
俺は無言で立ち上がる
急に俺の前に現れた1年だと思う彼は、少しキョトンとした顔で俺の背中を見つめていた
『大倉、空人…』
俺は結構クラスの中では明るい方だと思う
男子 「空人~!これからカラオケ行こーぜ!!」
空人 「うんいいよ~笑」
女子 「空人来んならうちらも行くー!!」
男子 「たく、お前ら来たって結局空人に引っ付いてるだけだろうがぁ」
女子 「当たり前でしょ!なんのために行くと思ってんのよ!」
空人 「ほらほら!早く行かないと時間なくなるよー!笑」
多分クラスの中心にいるんだろうなって自分でも思う
でも本当の俺は、クラスの中心とかになる男じゃない
正直こういうノリとかもそんなに好きじゃないし
女子 「てか聞いてよ空人~」
空人 「んー?」
女子 「最近○○ノリ悪くね?」
女子 「え、ガチわかるんだけどw 」
男子 「あいつノリ悪すぎてまじだるい」
男子 「○○最近勉強集中したいから、俺らと遊ばないらしーぞ」
女子 「は?何それダルすぎなんだけど」
空人 「まぁまぁ笑笑」
こーゆとこ
これがあるから一軍的なのって本当に嫌いだ
勉強するのの何がダメなんだか
俺は学校の中でも結構なイケメン枠に入ってるっぽい
だから高校入学早々、元気のいい男子や女子は俺に近ずいてきた
そのうち勝手にクラスの中で俺の周りに集まった4.5人のグループができてて、
その中でニコニコしてたらいつの間にかそこから抜けることは難しくなってた
ずっとこんなとこにいるのも流石にしんどいから
お昼とかは適当に理由つけていつもあの場所にいる
使われなくなった棟の一番端の3階と4階の間の階段
1年の秋頃に学校フラフラしてたら見つけた
誰も知らない、俺しかいない
唯一の俺だけの時間を過ごせる場所
この日までは⎯⎯⎯
あそこ、もう行けないかな
俺にはあそこしかないんだけどなぁ…
明日もう一回行って
またあのイケメン1年生くんがいたら諦めよ。
でも少し、
居てくれないかなと願う自分がいたことは気付かなかったことにしたい
夜が明けて、今日も憂鬱な1日が始まる
空人 「おっはよ~!!」
クラス 「はよー!!!」
男子 「空人今日放課後遊ぼーぜ!」
空人 「あー、ごめん!今日はダメだー」
女子 「えぇ、がちぃ?!」
空人 「すまん!また後で誘って笑」
男子 「はいよー」
ちょっと今日はだるかった。
少し心臓の音を大きくしながら階段を上っていく
空人 「……いない、か… 」
『います』
空人 「ッぅわぁっ!!!」
『wwww』
『今、俺がいなくて少し悲しかったですか?笑』
空人 「そんなわけないでしょ笑」
「てか君誰なのよ」
『俺、1年3組の小泉光咲です』
光咲 「2年1組、大倉空人せーんぱいっ」
空人 「?なんで俺の名前…? 」
光咲 「学校の中でイケメンだって、1年の女子とかが騒いでて」
「先輩結構有名人だよ笑」
空人 「へ、へぇ…」
あ、思い出した
入学早々、1年のクラスの前で女子の列作った子だ
イケメンなくせして塩対応って有名だった
小泉光咲。
喧嘩っ早いっていう噂もあったりなかったり
光咲 「で、なんでそんな学校の中でも陽キャとして有名な大倉先輩がこんな所に?」
空人 「…だるいんだよねー、ノリ合わせんの」
光咲 「…んー、なんか複雑な感じですか」
空人 「…w、そうだね、そう笑笑」
「…なんか光咲くんの前ではありのままの自分でいられる気がする、笑」
「気が楽」
光咲 「じゃぁ、今見てる先輩は俺しか知らない先輩なんだ笑」
空人 「うん、だからみんなには内緒ね笑(シー」
口に指を1本当てて、彼に顔を近ずけた
光咲 「……っ」
「…ぁ、先輩、俺の事呼び捨てでいいよ」
一瞬彼の眉間にシワがよった気がしたが、すぐに戻ったから気にしないことにした
空人 「ん〜、じゃぁ光咲ね!」
「てか、君は敬語を覚えなさい笑」
光咲 「めんどくさい、てか先輩以外はちゃんと使ってるしー」
空人 「まぁ別にいいんだけどさ笑笑」
光咲 「やった笑」
俺らはこの場所で誰にも見つからないように
毎日決まった時間に2人で過ごすようになった
光咲 「じゃぁ先輩また明日ね」
空人 「うん、またね」
今まで1人だったこの場所も、2人でいることの方が多くなり
毎日どうでもいいような話をしたり
2人で曲を聴いたり
平凡な毎日を送っていた
next.⎯⎯⎯
コメント
2件
今回も最高です! まさか後輩が光咲だとは
うわ、すごくいいですね…。「俺だけの場所」に突然現れたイケメン後輩、っていう出会いのシチュエーションがもう胸掴まれました。クラスの中心で“演じてる”空人先輩の孤独感と、光咲くんの前でだけ見せる素の自分とのギャップが切なくて。敬語やめて呼び捨てにするところ、距離が縮まる感じがたまらない。続き、めっちゃ気になります!