たらこ
◇
「あづい〜〜〜〜〜〜!」
『んね、まだ10月なのに』
椅子に座りながらも机にべたりとうつ伏せになるたらこはもはや夏の風物詩と化すほどに溶け込んでいて、周りの男子もそれなー、やら、出た、夏の風物詩!などと返している。
『…ね、たらこ。暑いなら髪結ってあげようか』
毎日金糸の髪をおろして登校するたらこ。
夏が来る度、暑くないの?と聞く。もちろん返事はYES。そりゃ暑いに決まってる。
一度「髪結ばないの」と聞いてみたことがあるが、俺のアイデンティティ無くすな〜?と言われたのでそれ以降聞いたことはない。たらこのアイデンティティは他にもあると思うんだけれど、特に髪を気に入っているからだろう。聞いたことないし単なる予測だけど。
「いーの?」
きらきらと目を光らせてこちらを見る。
『いいよ。たらこの髪、触ってみたいって思ってたし。』
というか、いいのかな。
アイデンティティって言ってたのに。
…まあ、いいと言うのだからいいんだろう。
下ろした髪だけじゃなくて、ふわふわゆれるたらこの髪も見たいと思っていたし、たらこの綺麗な髪が好きな私からすれば願ったり叶ったりだ。
「ポニテ?」
『うん、そのつもり』
「お団子とかは?」
たらこは前を向いて頬杖をつきながら結んでも首に当たったりしたら暑いし、と言う。
それも、そうか。
『…じゃあお団子にするね』
ポニーテールが見たかったのだが、残念だ。
でも、きっとお団子もたらこに似合うし。眼福なのに代わりはない。
「お願いしまーす」
◇
『できたよ』
「鏡あるー?…ありがと、」
ポケットから鏡を出し、たらこに渡す。
たらこは自分の髪を鏡で確認してから、「うお!!俺かわいすぎん!?」とテンションが上がっている。
喜んでくれたのならなによりだ。
『あ、ついでにシュシュつけてもっとかわいくしてあげる。』
手首につけているのは、赤色のシュシュ。
たらこのルビーのような目と同じ色。
黒色の髪ゴムの上にシュシュを重ねると、少しきつかったのかシュシュが無くなった手首に少し跡がついていた。
『そのシュシュ、たらこに似合いすぎるからプレゼントしたげる』
私は持っていても使わないけれど、たらこはたまに結ってあげればついでにつけてくれるだろう。多分。
「……ありがとー……、…ナマエ、シュシュプレゼントする意味、知ってる?」
『? そんなのあるの?しらない』
「んや、俺も知んない。あるのかなーって思っただけ」
『そっか、?』
たらこの目の奥がどろりと溶けたように感じたのは、きっと気のせい。
◇
シュシュをプレゼントする意味 _ 一緒にいたい
(諸説あり)
アクセサリー、お菓子、花…
色んな意味があるの、オシャレでいいよね〜!
コメント
3件
俺服あげるのすき(?? プレゼントとか花とか宝石とかにも意味あるの好き