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第89話「光と闇の破界」
轟音――。
まるで宇宙そのものが崩壊していくかのような咆哮が、空間のあらゆる軸をねじ曲げた。
サタンが放つ、真の闇の力。
それは単なる破壊ではない。存在そのものを否定する、“絶対”の力だった。
サタン「さあ……余に“答え”を示せ。命とは、何か」
英雄たちは各々、加護の力を限界まで引き出し、応戦する。
⸻
第一撃――リオン
リオン「この拳で、未来をこじ開けるッ！！」
ポセイドンの加護が完全に発動し、リオンの腕に龍の顕現が重なる。
怒涛の連打が、闇を一瞬、切り裂く――！
だが。
サタン「力は確かに強い。だが、“信念”が揺らげば、すぐに折れるぞ」
サタンの影が後方に伸び、リオンの背後から絡みつく。
リオン「くそっ、離せッ！！」
次の瞬間、影が爆ぜてリオンを吹き飛ばす。
⸻
第二撃――セレナ
セレナ「光で……この闇を焼き尽くす！」
アポロンの力が集中し、セレナの全身から黄金の光柱が噴き上がる。
《太陽神爆輪・煌天陣（こうてんじん）》！
その閃光は、あらゆる悪しき魔を焼き尽くす力を持つはずだった――
サタン「見事な光だ……だが、光は闇を深くするだけだ」
黒き羽を広げ、サタンは光を呑み込み、消し去った。
セレナ「……っ、そんな……！」
⸻
第三撃――ウカビル
ウカビル「もう逃げねえ……！ アレスの炎よ、俺の命ごと燃やせ！！」
《烈煌神焔・爆心陣》――
拳に乗せた戦神の魂を全解放し、渾身の突進を繰り出す！
サタン「その命の灯火、美しい。だが脆い」
サタンの掌が、ウカビルの胸元を貫いた。
ウカビル「……がはっ！！」
吹き飛ぶウカビル。血が、地に落ちる。
⸻
第四撃――ゲズ
ゲズ「みんなの想いが……この矢にある！」
アルテミスの魔弓を引き絞り、月光の大矢を放つ！
《月神弓・断絶》――
運命を切り裂くほどの一撃だった。
サタン「……面白い。貴様の中にだけ、まだ“何か”が眠っている」
闇が収束し、サタンは矢を右手で受け止めた。
サタン「それが“命”の輝きか？ ならば――余自ら、その火を摘み取ろう」
ゲズ「来いよ……化け物。俺が、“命”ってやつを教えてやる！」
⸻
英雄たちは深手を負いながらも、なお立ち向かう。
だが、サタンの力は次元そのものを崩壊させるほどのもの――。
そして、サタンが静かに手を掲げた瞬間――
サタン「終わりの始まりを告げよう。
《冥界融合・アポカリプス》――」
黒と赤の渦が天に拡がり、空間が音を失った。
リオン「……まずい……あれは」
セレナ「この世界ごと、消す気……！？」
ゲズ「ここで、止めるしかねぇ……！」
全てが崩れゆく中、英雄たちは最後の一歩を踏み出す。
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