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15話 「王都の空気」
城壁が近づくにつれ、人と荷馬車の往来が増えていく。
王都の門は相変わらず混雑しており、検問の兵士が忙しなく書類を確認していた。
「いつ来ても人が多いね」
「まぁ、これだけ商売や冒険者が集まる街だしな」
俺たちは旅人用の簡易検査を受け、無事に王都へ入る。
まずは冒険者ギルドへ。
受付嬢が依頼完了の書類を確認し、銀貨数枚を差し出してきた。
「お疲れさまでした。最近、郊外で小競り合いが増えてますのでお気をつけくださいね」
軽く礼を言い、報酬を受け取る。
昼食を済ませた後、街をぶらつくことにした。
ルーラは珍しそうに市場を見回し、小さな屋台で売っている果物をじっと見つめている。
「食べたいのか?」
「……別に」
そう言いながらも、ミリアが買ったリンゴを渡すと、無言でかじり始めた。
その時、ふと路地の奥から視線を感じた。
暗がりの中、粗末な外套を纏った数人がこちらを見ている。
彼らの視線は、俺やミリアではなく――ルーラに向けられていた。
「……行くぞ」
さりげなくルーラの肩に手を置き、視線から離れるように大通りへ戻る。
ミリアが小声で問う。
「知り合い?」
「いや……だが、放っておくと面倒になるかもしれん」
夕暮れ、宿に戻る頃には市場の喧騒も薄れ、街灯に火が灯され始めていた。
ルーラは特に何も聞いてこなかったが、その小さな瞳の奥で、何かを警戒しているように見えた。
この次は第十六章:裏通りの影として、ルーラに関わる小事件を発生させるか、もう少し日常を挟むか選べます。
どちらにしますか?