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話が付きそうになったタイミングでシヴァが驚くほどの何かが有ったと言うのだろうか?
コユキは再びプレゲトーンとその手前に広がった草原に目を凝らそうとしたが、そこに登場した存在を見つめる為には凝らす必要が毛程も無いと判断し、普通に見てそして息を呑んで目を剥き出したのである。
今しがた全景を見渡した時には存在しなかったモノがそこにはあった。
西洋風のドラゴン、それも三つ首を狂った様に振り回しながら、自らの翼を忙しなく動かしつつ大空を飛ぶ緑の巨体であった。
翼や角の部分、ハンマー状でスパイクの生えた尻尾の一部が金色に輝いている。
何より、何度見直しても目の錯覚か? とコユキが思う程であったのが、そのサイズ感である。
軽く百メートル位は有るのでは無いだろうか? あまりの巨体になんとなく合成写真やコラに見えた。
コユキは戦慄を覚え、震える声で言ったのである。
「こ、こりゃぁアジの言う通りだわ…… あ、あんなの相手にしてたら命が幾つあっても足りないじゃないのぉ! ここは迂回とかを検討すべきよね! まあ! みんな見て御覧なさい、あの化け物の邪悪そうな姿を! 知性の欠片(かけら)も見られないわぁ、きっと食欲と殺戮本能だけで出来ているんだわ! 魔将アウレウスか…… 碌(ロク)な物じゃないわね、薄汚いわっ! もうペッよ、ペッ!」
トシ子も同意の様だ。
「本当じゃのう、流石にあそこまでデカい悪魔は見た事も無いからのぉ、コユキの言う通り、魔獣いいやもっと低レベルな魔物、モンスターじゃろうて、うわぁ、頭の悪そうな顔じゃわい! 気持ち悪いのう!」
「本当だぁ、何かぁ、遠目にも目つきがぁ、変態っぽいのがぁ、判るよねぇー?」
「だね、子供には見せられないわよ、十八禁よ十八禁! ねえ、ユキ姉? あんな気持ち悪い奴初めて見たね、ん? お地蔵様、どうしたの?」
素直な意見を言っていたコユキの姉妹の内、下の妹リエの肩を控え目に叩いた地蔵、スプラタ・マンユの甥スカンダ、アレキサンドロス三世は無言で自らの伯父達と親父を指し示したのである。
彼の指の先では小さ目なパズスが大きな弟アジ・ダハーカの頭を背伸びしながら撫でており、いつの間にかヒュドラを地に降ろし、兄アジ・ダハーカの肩に飛び乗っていたシヴァが鱗塗れの緑の頬に手を沿えて、優しく撫で上げている姿があったのである。
リエは呟いた。
「えっと、こ、これは? どう言う?」
スカンダは深いため息と共にリエ、リョウコ、トシ子、コユキの目を順に見つめながら言う。
「あのですね…… 皆さんが超絶全否定中のあの竜なんですけど、ね…… あれって伯父さん、アジ・ダハーカさんのオリジナルの姿、邪竜形態、所謂(いわゆる)分身体なんですよ、ね…… ねぇ、醜いですよね? そう思われるでしょう? 皆さん人間ですからね、それは仕方ないんですけど、ね…… まあ、伯父さん的には酷く傷ついている訳なんじゃ無いでしょうかねぇ? 割と真面目でガラスのハートってか、他人の評価とか気にするタイプなんですよね? んだから、下手したら死ぬんじゃないでしょうか? あの変態…… ってか十八禁でしたかね……」
『っ!』